(毎日新聞 1月29日)
「会社に知られたら日本にいられなくなってしまう。日本人の家に赤ちゃんを置けば育ててくれると思った。」
こんにちは、ボーンズ88です。
昨年12月、日本に来ている中国人実習生(外国人労働者)の女性が「捨て子」で逮捕された、という事件。
… なんだかなぁ・・・。
と、もの悲しい気分になる話。
記事によると、この女性は、出産した当日に赤ちゃんを「捨て子」している。出産したのが昨年の12月、日本に入国したのは8月なので、子供が生まれることは承知で日本に来た、ということになる。
「随分、無責任な母親よね!」
と思われる方もいるかもしれないし、もちろん、僕もそういう意見を否定するつもりもない。
でもね…。
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「中国って、経済発展したんじゃないの…??」
経済発展の目覚ましい中国だが、ひとり当たりGDP(所得)はまだまだ日本の半分以下で、さらに、地域の格差が激しいため、貧しい所は相当貧しい、というのが実情だ。
また、中国では戸籍を移動するのは極めて難しい。
共産主義?の中国では、社会保障は国の基盤だ。とりわけ年金制度は(それが十分な額かは別として)国家の安定に直結する重要な政策だ。
経済発展している北京や上海と、貧しい内陸部では、物価が10倍以上違ったり、民族も、下手すれば、言語も違う。なので、年金の額が地域によって大幅に違う。
そこで戸籍の移動を自由にすると、貧しい内陸部から、何億人という国民が、大都市に押し寄せて、国家が立ち行かなくなる事態が容易に想像できる。なので、戸籍が自由に移動できない。
ここ20年の経済発展で、中国国内の格差は拡大、貧しい内陸部の国民が、高い賃金を求めて大都市に出稼ぎに出る、そういう社会構造になっている。
当然のように、そうした出稼ぎ労働者は、低賃金でいいように使われる。子どもができても、都市部の戸籍は取れないので、貧しい内陸部で育てるしかない。
つまり、現在の中国では、生まれた場所によって貧富の差が確定し、貧困が親子で連鎖してしまう仕組みなのだ。(もちろん、そうでない場合もあるけど)
習近平政権は「一帯一路」構想で、内陸部の経済発展を、政策の第一課題に掲げているが、実現にはまだまだ時間がかかる。
こんな中国の状況をみると、この「捨て子」事件の背景が、少しだけ想像できる。
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中国のカネ持ち層の間で、アメリカで子供を出産するケースが増えている。アメリカで生まれた子供は、アメリカ国籍を取れるからだ。
今回、「捨て子」をしてしまった女性はどうだろう?
今どき、日本の外国人実習生制度を利用する中国人が、カネ持ち層だとはとても思えない。
貧困層で育った彼女に、とてもアメリカに行く資金はない。このままでは、生まれてくる子供も、自分と同じような貧困層のまま、一生を過ごすかもしれない…。
そう考えた彼女は、現地のブローカーから借金をすれば、日本に行ける「外国人実習生制度」を利用して、日本にきて、子供を生んで、育てようとしたのではないだろうか。
もちろん、日本で子供を産んでも、日本の国籍は取れない。
それを彼女が知っていたかは分からない。ただ、子供が生まれるのを分かっていながら、中国の貧しい地域にいることに、耐えられなかったのではないか…。
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日本の「外国人実習生制度」は、本人たちが恋愛したり、結婚したりすることを想定していない。単に「安い労働力が欲しい」という、企業側の要望を実現させただけのクソ制度だ。
「会社に知られたら日本にいられない」
この現実を、僕たちはどう理解したらいいのだろう。
もし強制帰国になってしまえば、日本で子供を生むことも、育てることもできない。仮に中国のブローカーに借金があったなら、それを返すことさえできない。
お腹は日に日に大きくなり、彼女は追い詰められる…。
… せめて子供だけでも・・・。
彼女はひとり密かに出産して、子供を民家に置いていった…。
今日書いた文章は、僕の想像に過ぎない。彼女の実状は分からないし、報道されることもないだろう。
中国の格差は酷いし、日本の制度はクソだ。
そんな現実の中で、彼女を「無責任な母親だ!」と切り捨てることは、僕にはできそうにない。
<おわり>

