日曜日、午後の憂鬱。 ④ | 追憶の骨 (bones)

追憶の骨 (bones)

音楽や映像だけでは残せない、あの時の僕たち。




Rocky Raccoon / The Beatles  1968



午前中の講習が終わり、近くで簡単な外食を済ませた僕は、そのまま会場に戻ることにした。午後の講習まで30分、やることは特に考えていなかった。

会場に戻ると、10人ほどの女性たちが机を囲んで話を始めていた。昼食のお弁当でも一緒に食べていたのだろう。さほど大きくない会場に笑い声が響く、こんな時の女性たちは、いつも楽しそうだ。

「どうも~、お疲れ様です~。」

適当な笑顔でそんな言葉を発しながら、彼女たちの横を通り抜け、僕は最前列の自分の席へと向かう。この人数、些細なあいさつが明暗を分ける。朝の一件があってか、女性たちの反応も、まぁそこそこ、というところだ。

僕は座席に座ると、机の上にある教材をぱらぱらと眺めはじめた。


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「これ、どうぞ、食べて。」

どことなく上沼恵美子に似た、50代後半の思しき女性が僕の前にやってきて、個別包装されたせんべいやクッキー、チョコレートなど数種類のお菓子を僕に手渡した。

「あっ、すいません、ありがとうございます。」

僕は目の前の上沼恵美子にお礼をする。

いや…、ちょっと待て。

これだけのお菓子だぞ…、

振り返ると、輪になっていた女性全員と、一斉に視線が合った。

「あつ、どうも、すいませ~ん。」

適当な笑顔で返す僕、綱渡り的な安堵感が訪れたのも束の間、

「よかったら、こっちで、一緒にどうですか?」

その輪の中心、高畑淳子が微笑んでいる。

このリクエストのハードルは高い…。



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<⑤につづく>