「もっと早く生まれたかった…。」
まだ10代の頃、Led Zeppelin や Black Sabbath など70年代
ハードロックを後追いで聴きまくり、心酔していた僕にとって
「70年台をリアルに体験できない…、という現実。」
これが大きな喪失感のようなものを生み出していた。
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それから、年月は過ぎる。
今の僕は、自分が過ごしてきたこの時代に、
自分が生まれたことをとても感謝している、
「これだ!」と思えるたくさんの音楽を、リアルで体験できたからだ。
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80年代初頭、僕たちは衝動とスピードに飢えていた。
曲が早くて、ギターが鳴ってて、ドスが効いたヴォーカル
それさえあれば、何でもよかった…、そんな僕らは、その頃タワーレコードに大量に出始めていた、何やらヘンテコなドクロ柄のジャケットのレコードを買い漁った。
まだ情報のない時代、ジャケットの裏面にあるメンバー写真の「顔つき」で決める、そんな「ジャケット買い」をしては、家に帰って一喜一憂していたのだ。
「また、やられたよ~!」
正直、それらは音質も悪く、演奏も今ひとつ、ロック好きの中にも、理解者は多くはなかった。あくまで「マニア向け」音楽、でも、それもよかったのだ。それまで聴いたことがないような何かがそこにある、僕はそんな気がして、次に何が出るか、ワクワクしてたのだ。
そんな音楽はやがて、「スラッシュ・メタル」と呼ばれるようになる。
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ある日、妹の部屋から物凄いメタルが聴こえてきた。
Battery / Metallica 1986
メタリカの怒りにはどこか正義の感じがする
政府の悪巧みにブチぎれて、立ちはだかる市民団体みたいだ。
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「なにこれ?」 「え、知らないの??」
Metallica の3rdアルバム、 "Master of Puppets" だった。
言っておくが、妹はそれまでDuran Duran 大好き女だ。
この時すでに、事態は一変していた。
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メタリカの1stは友人が、2ndは僕自身が持っていた。この2nd、"Ride the Lightning"は上出来のアルバムだった、でもそれは、あくまで「マニア向け」音楽の中で…、にすぎない。
しかし、これは違う。
作りこまれ、無駄を排した楽曲の出来、過度がない安定した演奏、
メジャーレーベルにふさわしい録音状態、それまで聴いたことのない音。
スラッシュ・メタルが扉を開けた、
そんな瞬間だ。
このアルバムはTOP40にランクインするほど売れた。
そして、メタリカはこの後の " ONE " でグラミー賞まで取ってしまう。
こんな事、一体、誰が想像できただろう?
この過程、そして驚き、新しい音…。
それが僕たちのリアルなのだ。
<おわり>

