ウチヤマ少年は中学に上がる頃、




順当にいけば「三島」に傾倒するような男の子の筈が、





何故か「アントニオ猪木」に真実と生きる道を見いだしていた。





「1976年のアントニオ猪木」という文庫本を閉じ、机に置くと、




前の席の女子の「おっぱい」を揉んだ。





いや、正確には前の子とかクラスの女子とか、そういう問題ではない。




学校すべての女子の「おっぱい」を揉んだ。





ある時、胸を揉んだ女子が泣いてしまい、先生に家まで謝りに行かされた。




そして、謝りながら、また揉んだ。




ウチヤマ少年は、一連のそれは、すべて親の愛情が足りなかったからだ、と理解し、




「それは俺の責任じゃねえ」





と完全に割り切っていた。





彼の親といえば、まるでハリー・キャラハンのような自分達の男の子に、




正直、戸惑いを隠せなかった。





ある意味、彼が「オ○ム」に向かわなかったのは、奇跡と言える事だった。





そして、その代わりが「アントニオ猪木」だ。






彼の親は初めての子育てでもあったが、それ以上に、




人間として彼のような子供、いや人間に出会った事が無かった。





「アイツは一体、何者なんだ?」




それは、すっかりウチヤマ少年の父親の口癖になっていた。






そして中学卒業と共に、新日本プロレスに入団した。















続く。