黄昏時にうたた寝をする時間は、どんな睡眠より心地よく、

夢見心地という台詞が、実によく似合う。

 人の気配を感じ、ふと目を覚ますと、電車は停まって、一人

の男が目の前に佇んでいた。

目を擦ってよく見てみると、ついさっきまで隣に座って、一緒に

旅をしていた筈の少年が、その面影を残した立派な青年の姿を

して立っているのに気が付いた。

男は、俺に向かってこう言った。「この駅で降りて、別の旅路に

着こうと思う。」

その声を聴いて、俺は、自分が何年も夢の中にいた事を悟った。

と同時に、何故?という思いや、まだ終着駅ではないよ?という

言葉が一瞬で脳裏を駆け巡ったが、男にかける言葉が見つけら

れなかった。

なぜなら、長い間、一緒に旅をしてきたから、眼を潤ませながら

佇む男の胸中を、一瞬で察する事が出来たからだ。

 彼は、車窓から見える普通の景色とは別に、普通に旅をして

いるだけでは、決して見ることが出来ない景色を魅せてくれた。

それだけでも、贅沢な話だ。

これ以上欲しがったら、、、バチが当たるよな。

今まで、本当に楽しかったよ。君には感謝しかないよ。

楽しくてキラキラした時間を、、、、、在我灯。

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