■ たくましい華人魂の日常 ■
3年前、香港へ行った時のことだ。
香港島から九龍へ行く時に地下鉄を使ったのだが、乗り換え駅へ着いて電車のドアが開いた瞬間、その時が来た。
電車に乗っていた殆どの人が猛ダッシュで、ホームの反対側に止まっている電車へ移動するわ、するわ。
おばちゃん、子供、若者関係なくみんなで、取り残されたのは、ほんのわずかな観光客くらいである。
1人や2人でなく、ほぼ全員がマラソンのスタートのピストルの合図が鳴らされたごとく、走り出したのだ。
そこまで急いで、何があるというのだろうか?少し、いや香港人にとってはだいぶ遅れを取ってしまったであろう私は、急ぐ必要も無いのに一緒につられ、訳もわからず少し小走りで、電車を乗り換えた。
そんなせっかちな華人世界を思わせるのが、このシンガポールにもある。
それは、MRT(地下鉄)のエスカレーター。とにかく「速い」のだ。
どれだけ速いかと、口で言っても想像できないだろうが、あえてたとえるなら、日本でエスカレーターにじっと立っていると、一生懸命歩いている人を良く見かけるが、そのエスカレーターを一生懸命歩いている人くらいの速さで普通に動いている。なので、日本のようにエスカレーターを歩いて急ごうなんて人は殆どいない。なぜなら、歩くのは怖~い速度だからだ。
慣れないと、乗った時に、あらっと、よろけてしまう。
華僑の人は、やっぱりせっかちのようである。そう、時は金なり、少しでも急いでお金を稼ごうという、生粋の華人魂が日常に根づいている。
▲こんな感じで洗練されたエスカレーター。
ホームの行き先表示は大型液晶TVで、映画
の予告とともに、電車が来る時間が1分単位
で表示される。
2006. 4.26