日本から輸入してドイツで販売する時のVATはどうなる?

 

ドイツで起業し、日本から仕入れた商品をドイツで販売する場合、いくつかの税務および規制上の事項を理解しておくことが重要です。以下に、消費税(VAT)、輸入関税、申告手続きについて説明します。

日本からの仕入れに関する消費税(VAT)

  1. 日本国内の消費税

    • 日本からの輸出品に対しては、日本国内の消費税(消費税と地方消費税)は適用されません。つまり、日本のサプライヤーは、輸出する商品に対して消費税を課しません。
  2. ドイツでの輸入関税とVAT

    • ドイツに商品を輸入する際には、輸入関税と輸入VAT(Mehrwertsteuer、略してMWSt)がかかります。これらは、商品の種類、価値、および原産地によって異なります。
    • 一般的には、ドイツの標準VAT率は19%です。輸入時に、この19%のVATをドイツの税務当局に支払う必要があります。

ビジネス申告と税務

  1. VAT番号の取得

    • ドイツでビジネスを行うためには、VAT番号(Umsatzsteuer-Identifikationsnummer、略してUSt-IdNr)を取得する必要があります。この番号は、輸入VATやビジネス取引で必要になります。
  2. VATの申告と還付

    • 輸入時に支払ったVATは、通常のVAT申告を通じて還付を受けることができます。つまり、輸入した商品を販売する際に課せられるVATから、輸入時に支払ったVATを差し引くことができます。
    • 定期的にVAT申告を行い、売上に対して徴収したVATと、仕入れに対して支払ったVATの差額を税務当局に納付します。
  3. 関税の支払い

    • 輸入関税は商品の種類によって異なります。具体的な関税率は、商品分類(HSコード)に基づいて決まります。ドイツの税関ウェブサイトや、関税計算ツールを使用して確認できます。

 

前課税控除(Vorsteuerabzug)のプロセス

ドイツにおける輸入VAT(Mehrwertsteuer、MWSt)19%は、輸入業者が支払った他のVATと相殺(Vorsteuerabzug、前課税控除)することができます。具体的には、輸入時に支払ったVATは通常のVAT申告時に控除対象となり、最終的な納税額を減らすことができます。
  1. VATの支払い

    • 商品を輸入する際、輸入関税と共に輸入VATを支払います。このVATは商品のCIF価格(商品価格、保険料、および運送料の合計)に基づいて計算されます。
  2. VAT申告

    • 月次または四半期ごとに行うVAT申告(Umsatzsteuervoranmeldung)において、支払った輸入VATを申告します。
  3. 前課税控除の適用

    • VAT申告書に、輸入時に支払ったVATを前課税控除として記載します。この控除により、販売に際して徴収したVAT(Umsatzsteuer)から輸入時に支払ったVAT(Vorsteuer)が差し引かれます。
  4. 相殺後の納税額

    • 差し引いた後の残りのVAT額を税務当局に納めます。もし支払った輸入VATが徴収したVATよりも多い場合、その差額は税務当局から還付されることがあります。

実際の手続き

  1. 輸入時のVAT支払い

    • 商品を輸入する際、輸入申告書を提出し、輸入VATを支払います。
  2. VAT番号の取得

    • ドイツでビジネスを行うために、VAT番号(Umsatzsteuer-Identifikationsnummer)を取得しておく必要があります。
  3. VAT申告書の作成

    • 毎月または四半期ごとにVAT申告書を作成し、輸入時に支払ったVATと売上に対するVATを記載します。
  4. 税務当局への申告

    • 申告書を税務当局(Finanzamt)に提出し、必要に応じて差額を支払います。

専門家への相談

税務手続きや前課税控除の具体的な適用方法については、ドイツの税理士(Steuerberater)に相談することをお勧めします。税理士は、正確な申告方法や最適な税務戦略についてアドバイスを提供し、適切な手続きをサポートしてくれます。

まとめ

輸入時に支払ったVATは、ドイツのVAT申告において控除(前課税控除)することができます。これにより、最終的な納税額を減らし、ビジネスのキャッシュフローを改善することが可能です。適切な手続きと申告を行うために、専門家の助言を活用することが重要です。