順天堂医院耳鼻咽喉・頭頚科/顔面神経外来を受診してきました。2つの検査を行い、それに基づいて現状と今後について伺いました。以下、検査と診察の記録を記します。

 

1. 検査内容
(1) 誘発筋電図検査
・鎖骨、唇の上下、耳の横に電極を設置し、皮膚上から神経に電気刺激を与えて電位の波形をみる。(電気がバチバチ痛い)
(2) 標準純音聴力検査
・パルス音が聴こえている間ボタンを押す。「気導」(ヘッドフォンを通じて)と「骨導」(骨の出っ張りを通じて)の両方で、低音から高音までいくつかの周波数で聴こえ方を調べる。

 

2. 検査結果
・誘発筋電図によれば、麻痺している左側は、健康な右側の10%程度しか反応していない。
・聴力は、特に高周波数の領域で左のほうが悪い(10/18検査と同じ傾向)。

 

3. 現在の症状が出ている原因
・昔感染した水疱瘡ウイルスが神経に潜み、免疫力が低下したときに再活性化して発症するのが帯状疱疹。今回は内耳道(という骨の中のトンネル)を通る神経が腫れているためにそこから先の神経の機能に障害が出ている。
・顔面神経(主に表情筋の運動に関係)は、蝸牛神経(聴覚に関係)、前庭神経(平衡感覚に関係)とともに内耳道を通っているため、神経に異状がある場合に影響し合うことがある。顔面神経麻痺、難聴、めまいがしているのはこれが原因。

 

4. 病気の程度
・ハント症候群の程度としては、中くらいである。
・誘発筋電図で左が右の10%程度なので、後遺症は残る可能性が高い。

 

5. やってはいけないこと(神経の混線による「病的共同運動」を回避するため)
・顔面の筋肉を自発的に無理に動かそうとすること(手によるマッサージでなく)
・顔面の筋肉に対する低周波刺激(電気鍼)を行うこと

 

6. 今後の見込み
・めまいはいずれ快方に向かうだろう。
・顔面神経麻痺は、上方(額)から快復していくだろう。瞼は閉じられるようになるであろう。口の周囲が最後まで残る可能性がある。

 

7. 治療計画
・薬は、メチコバールとアデホスを継続する。ただしこれは症状を比較的に改善するためのものではない。
・筋肉は動かさないと拘縮する(縮んで固まる)ことから、回復のためにはリハビリが重要である。リハビリ室を紹介するので、顔の筋肉のマッサージ方法の指導を受け、毎日実施すること。やりすぎて困る、ということはない。当面週に1回リハビリテーション室に通い、リハビリの方法について指導を受ける。次回は11/10(木)。
・飲酒と症状の悪化については、エビデンスはない。(積極的に避けないといけないようなものではない)
・耳鼻科は当面月に1回受診する。耳鼻科とリハビリ室の連携医療となる。
・散歩などの運動は積極的にやったほうがよい。