妻にストレスを与える言動で「夫源病」を引き起こす夫がいます。あなたは妻を追い詰めていませんか? 夫源病を引き起こす夫がよく口にする「10の禁句」があります。ご自身の言動にあてはまるところがないか、ぜひチェックしてみましょう。夫源病を引き起こす夫の特徴について、離婚カウンセラーが解説します。 【表】あなたは口に出していませんか?…「夫源病」を引き起こす夫がよく口にする「10の禁句」

夫源病とは?妻がうつになることも?

「夫源病」とは、夫の言動が原因で妻の心身に何らかの不調が起こることをいいます。やがて夫の存在そのものが妻にとって大きなストレスとなり、自律神経や内分泌系のバランスが乱れ、頭痛やめまい、動悸、不眠などの症状が現れます。夫源病は医学的な病名ではなく、心療内科・循環器内科の専門医である石蔵文信医師(故人)によって名付けられたものです。 石倉医師は、更年期障害に悩む女性を診察している中で、妻の不調の多くは夫に原因があると気付いたそうです。夫源病は更年期障害によく似た症状が特徴ですが、中高年に限らず、パートナーのいる女性であれば誰でも起こり得ます。夫が帰宅した途端に症状が出たり、夫の休日に症状が悪化したりするのは夫源病の特徴です。 夫源病は身体だけでなく、精神面にも影響を与えます。気分が落ち込む、感情の起伏が激しい、などの症状がひどい場合は、うつ病に発展する可能性もあります。うつ病が重症化すると治療に時間がかかるため、早めの対処が必要です。

<strong>夫源病を引き起こす夫の特徴は?</strong>

男女が一緒に生活する上で、考え方や価値観の違いなどによる多少のストレスは避けられません。しかし、ストレスが度を超えると、妻を夫源病に追い込んでしまいます。夫源病を引き起こしやすいのは、次のような夫です。    ◇   ◇ ・自分勝手な夫 ・妻に対して上から目線の夫 ・家事・育児をしない夫 ・妻と会話をしない夫 ・浮気・不倫経験のある夫    ◇   ◇ 夫にこうした特徴や過去があり、妻に何らかの不調が生じている場合は、夫源病かもしれません。自分や配偶者の性格には慣れてしまうものですが、客観的に振り返ってみましょう。 ▽自分勝手な夫 相手の状況や気持ちを考えず自分勝手に振る舞う夫と暮らしていると、妻はストレスを抱えやすくなります。妻の体調が悪いときでも家事を要求したり、妻が忙しそうにしていても手伝わなかったりすると、妻は夫に対して不満が募るのも当然です。また、妻は無理をして家事や育児を続けることで、体調も崩れやすくなります。 ▽妻に対して上から目線の夫 プライドが高く、妻を見下す言動をとる夫も、夫源病を引き起こしやすい傾向にあります。毎日のように上から目線でものを言われれば、誰でも大きなストレスを感じるものです。このタイプの夫は、人前では文句を言わず謙虚に振る舞うことも多いため、妻が周囲に相談しても信じてもらえず妻が1人で悩みを抱え込むことがあります。 場合によってはモラハラやDVに発展する場合もあり、心身ともに妻を追い詰めていきます。特に、夫が定年を迎えて2人きりの時間が長くなり、妻が更年期に似た症状を訴え始めるケースが多いようです。 ▽家事・育児をしない夫 家事・育児を妻に任せっきりにするのも、夫源病を引き起こしやすい夫の特徴です。共働き世帯が増えた現代でも、家事・育児は妻の役目だと考える男性は多くいます。このタイプの夫は、家事・育児を妻1人に押しつけ、それが当たり前だと感じているため感謝の言葉もかけません。 家事・育児を1人でこなすだけでも大変ですが、相手からいたわりの言葉がなければ、妻は大きな不満やストレスを抱えます。 ▽妻と会話をしない夫 妻と会話をしない夫も、大きなストレスを与えている場合があります。子育て中であまり外出できない妻や専業主婦の場合、人と満足にコミュニケーションがとれません。夫との会話が少ないと、悩みや愚痴のはけ口を見失い、妻がふさぎ込んでしまう可能性があります。 ▽浮気・不倫経験のある夫 過去に夫が浮気・不倫をしたことがトラウマとなり、妻を苦しめ続けている場合があります。夫に対する不信感が拭いきれず、常に不安を抱えている状態は相当なストレスでしょう。また、浮気・不倫をされたことで女性としてのプライドや自信が傷つき、ふさぎ込んでしまうこともあります。

 

 

夫源病を引き起こす10の禁句とは?

夫源病を引き起こす夫がよく口にする「10の禁句」があります。次の10の禁句を言ったことがないか、または言われたことがないか振り返ってみましょう。    ◇   ◇ ・「他の妻(母親)はそれくらい1人でできる」 ・「俺のご飯まだ?」 ・「1日家にいたのに何してたの?」 ・「なんでこんな風にするの?」 ・「主婦は気楽でいいね」 ・「俺のおかげだ」 ・「お前のせいだ」 ・「俺には関係ない」 ・「へ~」 ・「俺も一緒に行く」    ◇   ◇ これらの10の禁句のうち1つでも日常的に妻に向けて発していると、夫源病を引き起こしやすくなります。夫源病の予防・改善のために、10の禁句を発しやすい場面や、それを聞いた妻の気持ちなどを見ていきましょう。 ▽「他の妻(母親)はそれくらい1人でできる」 妻から家事や育児を頼まれたとき、「他の妻(母親)はそれくらい1人でできる」と言ってしまう夫がいます。中には「俺の知人はフルタイムで働いて家事も育児も1人でこなしている」などと、特定の個人と妻を比べる場合もあります。 このような言葉を聞いた妻は、自分が他人より劣っていると感じ、自信を失ったり、もっと頑張らなくてはいけないと追い詰められたりするでしょう。特に、良妻賢母でありたいと願う女性ほど傷つく一言です。 ▽(妻が体調悪い時に)「俺のご飯まだ?」 妻の体調が悪いときでも、心配するより先に「俺のご飯まだ?」と言ってしまう夫がいます。また、妻が仕事から帰ってくるなり、不機嫌に「ご飯は?」などと聞くパターンもあります。 この一言は、妻がご飯を用意することが当たり前だと思っていなければ口から出てきません。また、相手の状況を考えず自分勝手に発している言葉であり、投げつけられた妻は非常に大きなストレスを感じます。 ▽(専業主婦に対して)「1日家にいたのに何してたの?」 10の禁句の中でも、特に専業主婦に対して発せられやすい一言です。単純に「何をして過ごしていたのか」を尋ねるのではなく、「1日中家にいたのに何もできていない」と妻を責める意味が込められています。特に、夫が仕事から帰ってきたときに食事の支度ができていなかったり、部屋が片付いていなかったりすると、このように言ってしまいがちです。 家事や育児をしたことのない夫は、外で働くより、家にいる方が楽だと考える傾向にあります。朝から晩まで家事や育児に追われていた妻からすると、「仕事しかしていないくせに」「自分でやってみてよ」など、大きな不満を感じます。 ▽(家事のやり方に対して)「なんでこんな風にするの?」 家事や育児を妻に任せておきながら、そのやり方に不満があると「なんでこんな風にするの?」「こうすれば良いのに」と口出しをしてくるパターンです。神経質な夫は、洗濯物のたたみ方や食器の洗い方など細かいことまで口を挟んできます。妻からすれば、「気に入らないなら自分でやれ」と言いたくもなるでしょう。 ▽「主婦は気楽でいいね」 専業主婦やパート勤務の妻に対し、このような言葉を吐く夫もいます。はっきりとした言葉にしなくても、子供の夜泣きで睡眠不足の妻に対して「家にいるだけだし昼寝すれば良いじゃん」と言ったり、パート先の人間関係で悩んでいる妻に「どうせパートだし辞めれば?」などと言ったりするのも同じことです。 洗濯や掃除、買い物、調理などを1人でこなす妻は、常にマルチタスクを抱えている状態。それなのに夫から気楽だと言われれば、相当な不満やストレスを感じることでしょう。 ▽「俺のおかげだ」 自分の稼ぎで妻を養っているという意識が強く、「俺のおかげで楽に生活できる」「俺が頑張って稼いだから美味しいものが食べられる」などの言葉を持ち出す夫がいます。夫婦は本来平等なもので、妻の稼ぎが少なかったとしても関係ありません。 妻が家事や育児をこなしているから仕事に専念できているのに、あたかも夫だけの力で生きているような言い方をされれば、妻がストレスを抱えるのは当然のことでしょう。 ▽「お前のせいだ」 自分の思い通りにならないときに、妻に責任転嫁する夫もいます。例えば、遅刻をしたのは起こさなかった妻のせい、1日体調が優れなかったのは妻が用意した朝食のせい、子供の成績が良くないのは妻の育て方のせい、などと何でも妻のせいだと責めるのです。 小さなことであっても、人間は責められればストレスを感じ、それが積み重なれば精神的に追い詰められてしまいます。毎日のように責められているうちに、夫の姿を見るだけで動悸や息苦しさを感じるようになる妻もいます。 ▽(育児の話などに対して)「俺には関係ない」 育児や近所付き合いなどを妻に一任している夫は、子供や人間関係の悩みについて妻から相談されても「俺には関係ない」「自分で何とかしろ」と聞く耳を持ちません。本来は一緒に子供を育て、周囲と関わっていくべきである夫の協力を得られなければ、妻は1人ですべてを抱えることになります。 ただでさえ家事や育児の負担もある中で、悩みの対処も1人でするとなると、妻は非常に大きな不安やストレスを感じます。 ▽(妻の話に対して)「へ~」 「俺には関係ない」とはっきり口にしなくても、気のない相づちばかり打っていたら無関心なのと同じです。悩みを打ち明けられたときに限らず、その日の出来事を妻が報告したときなども「へ~」「あっそ」などと無関心な相づちを打つ夫は多くいます。 自分に無関心な相手に対して話をしたいと思う人は少ないでしょう。気付けば夫婦間の会話が減り、妻は夫の顔を見たくないとまで思うこともあります。 ▽(妻の行く場所に)「俺も一緒に行く」 妻の行く場所に、どこでもついて行こうとする夫もいます。仲が良いとも考えられますが、妻にとっては息が詰まる場合もあります。特に、子育て中やフルタイム勤務の妻なら、たまには1人の時間を満喫したいと思うでしょう。また、家にいる時間も常に一緒にいたがる夫だと、妻はストレスを感じやすくなります。

 

 

夫源病を治すには?夫ができることはある?

妻が夫源病になったとき、夫には何ができるのでしょうか。夫源病を治すためには、妻のストレスを取り除くことが不可欠です。そして、その原因が夫である以上、夫は自分の非を認めて改める必要があります。夫源病を治すためには、10の禁句を覚えておくとともに、以下の方法を試してみてください。 ▽話し合いをする まずは、妻がどのようなことに不満やストレスを感じているのかを夫婦間で共有しましょう。妻自身も、夫の何に不満を感じているのか理解できていない場合もあります。原因を突き止めることで、夫はどこを変えれば良いのか、それが可能かどうかなどが見えてくるでしょう。 ただし、夫と話し合うこと自体が妻のストレスになる場合もあるので、メールや手紙を利用するのもひとつの方法です。 ▽プチ別居をする 夫源病の原因が分かっても、すぐに改善するのは難しいものです。妻の体調不良が深刻な場合は、数日~数週間ほど別居してみましょう。夫婦間の距離を置くことで、症状が改善されやすいのも夫源病の特徴です。 ▽離婚を検討する 夫婦仲の修復ではなく、離婚を検討する道もあります。身についた習慣や性格を改めることは難しく、夫の言動を変えるより離婚した方が楽だと考える人も多くいるようです。夫源病を引き起こした原因がはっきり分からない、または夫婦仲の改善が難しい場合、妻の体調不良が重度な場合などは、離婚を視野に入れるのもやむを得ないでしょう。

夫源病の予防・改善のため10の禁句を覚えておこう

今回紹介した10の禁句は、妻の気持ちに寄り添っていれば本来は口から出ないはずの言葉です。夫が日頃から妻をいたわり、優しい言葉をかけるよう意識することで、夫源病は予防できるはずです。  妻が夫源病かもしれないと感じている夫は、10の禁句を頭に入れ、自分の言動や妻の気持ちを振り返ってみることが大切です。また、夫源病の症状で悩んでいる妻は、まず夫に態度を改めてもらい夫婦関係を見直すことが必要でしょう。 ただ、「家庭」という密室で行われる会話や夫婦の関係には、「普通はこうだよね」という夫なり、妻なりの「普通」が通用しないことが多いです。 その夫婦にとっての「普通」の擦り合わせがうまく行かない場合、声の大きい方が「正義」となり、他方は「自分が悪いのだ、私の我慢が足りないのだ」と自責の念に駆られてしまうことがあります。これを夫婦2人だけの間で緩めていくことは本当に難しいことです。 夫婦の話し合いだけで解決できないときは、カウンセラーや弁護士、医師などの専門家にも相談してみてください。