白髪を遠ざける食べ物
理容師やヘアサロンの店長の経験や、現在経営している日本最多となったヘッドスパ専門店などを通して、私(辻)はおよそ1万人の白髪をサポートしてきました。
自分自身も20代後半に美容系の企業に勤務していたとき、ふと気づいたら、白髪が急に目立つようになりました。しかし、その後、30代になると、白髪は増えるどころか減ったのです。
そういった経験を踏まえ、私は頭髪専門家として「白髪は老化や遺伝によるものだから、治すことはできない」という常識を覆すべく、いろいろなことを試し、追求してきました。そして、やはり白髪改善の可能性を高めるいくつもの方法を見つけたのです。
その中から今回は、「食べ物」に絞ってご紹介しましょう。
最初にお伝えしたいのが、すべてのタイプの白髪を増やす可能性の高い「やめるべき」食べ物や習慣です。
白髪を招く、最大の原因と言ってもいいのが「現代型の栄養不足」。私たちのまわりには食べ物があふれているのに、なぜ現代人は栄養不足になってしまうのでしょうか。
知らずに食べている……?白髪を増やす食べ物
第一に、白髪を改善するために摂るべき栄養が何か、それが何に含まれているのかを知らずに食べていることがあげられます。
たとえば「脂肪」は、摂りすぎると血液をドロドロにし、血流を悪化させるイメージがあります。そのため、白髪の大きな要因となる「血流不足」を招きそうだと考えられます。
しかし脂肪は、タンパク質・糖質と並ぶ3大栄養素の1つで、生命維持や身体活動に欠かせないエネルギー源。ホルモンや細胞膜の材料となったり、脂溶性ビタミンの吸収を促したりなど、髪の毛の健康にも大切な役割を担っています。
実は、一言で「脂肪」と言っても、いくつか種類があります。脂肪を構成する脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類され、一般的に固形で、肉や乳製品などに含まれるのが「飽和脂肪酸」、そして常温では液状の油で、植物や魚(サンマやアジなどの青魚に多い)に含まれるのが「不飽和脂肪酸」です。
固形の「脂」を摂取しすぎると、確かに血液中の脂肪分が増加して、血流に悪影響を及ぼします。
その一方で不飽和脂肪酸のなかでも、特に人間の体内でつくることができない必須脂肪酸である「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」は、血液をサラサラにして流れを促し、白髪にも良い影響を与えます。
そのため、EPAやDHAを多く含むサバ、イワシ、サンマなど青魚は、白髪を改善し、健康な髪の毛をつくるために、積極的に摂取するといいのです。
ただし、不飽和脂肪酸の摂取の仕方で、1つだけ気をつけてほしいことがあります。「トランス脂肪酸」と呼ばれる、油脂を精製・加工する段階で生まれる不飽和脂肪酸は、血液中の悪玉(LDL)コレステロールを増やし、血液の粘度を増して、血流を悪化させることがわかっているのです。
トランス脂肪酸は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、マヨネーズや、こうした材料を使ったパン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどのスイーツ、フライドポテト、ポテトチップスなどの揚げ物類などに多く含まれています。
揚げ油はオリーブオイルにすれば、トランス脂肪酸がゼロないし大幅にカットでき、細胞の老化を防ぐオレイン酸が豊富なので、揚げ物を食べたい場合はオリーブオイルを使って自分で調理するといいでしょう。
だからといって食べたいものを我慢するのも大変ですから、対策としてはたとえば、マーガリンは使わず、バターを選ぶ。クッキーやパイなどは、使用食材を明記している店など信頼できる店で購入するか手作りしてみる。ファストフードやカップラーメンを食べる回数を減らす。できることから実践していきましょう。
大量の糖分は白髪を増やす
炭酸飲料やジュース、缶コーヒーといった大量の砂糖が含まれている飲み物も、白髪が増える原因となります。たとえば、500㎖のペットボトルの果汁飲料には角砂糖およそ13個分、炭酸飲料には角砂糖14個分、缶コーヒー1本にもおよそ角砂糖6個分の糖分が含まれています。
糖分が多い飲み物が白髪によくない理由の1つは、血糖値を乱高下させて血管を傷つけてしまうからです。傷ついた血管の壁は、修復されるたびに厚みを増し、結果的に血流を悪化させてしまうのです。
また糖分を筆頭に、余分な成分が大量に含まれた飲み物は、消化に負担がかかりカラダに必要な「水分」としての役割を果たしません。
私たちのカラダの60%以上は水分で構成されています。水分の3分の2は全身を構成する細胞の内部に存在し、残りの3分の1は細胞と細胞の間にある「細胞間液」と血液として使われます。そのため水分が不足していると、髪の毛やメラニン色素をつくる細胞の働きが悪くなってしまうのです。
また、カラダの水分が不足すると、血液から水分を奪うため、血液がドロドロになります。そして、血流が衰えて、髪の毛を育てる細胞に栄養が届きづらくもなるのです。
さらに、こうした飲料の多くには「果糖ブドウ糖液糖」などと表示されている、人工甘味料がよく使われています。果糖ブドウ糖液糖とは、くだものやはちみつに含まれる果糖を、トウモロコシなどのデンプンで反応させてつくられる甘味料です。
材料は天然のものばかりですが、実はれっきとした食品添加物であり、原料の大半は輸入された遺伝子組み換えのトウモロコシが占めています。天然成分から作られているかもしれませんが、一般的には起こりえない反応を起こしてつくられている「工業製品」と同じだと言えます。
そのため、分解して体外に排泄するために腎臓や肝臓に負担がかかり、血液の状態を悪化させて白髪を招きやすくなるのです。
さらに甘いものは、カラダを冷やします。冷えてしまうということは、血流が悪くなるということです。
カラダに水分を補給するのは、純粋な「水」が一番。必要な水分が吸収されれば、排泄もスムーズになります。甘い飲み物は嗜好品としてたまに飲むのにとどめ、日常的には水を口にするように心がけましょう。
どうしても「味がついたものが飲みたい」ときは、近年ではミネラルウォーターにフレーバーをつけたものが多くありますから、こちらを手にするといいでしょう。
禁酒までする必要はなし
よく「髪の毛のためには、お酒は飲まないほうがいいでしょうか?」と聞かれます。そんなとき私は「飲み方次第」だとお答えしています。
アルコールには血管を拡張する働きがあるため、適量であれば血流を改善します。また、人によってはストレス解消の手段として有効な場合もあるでしょう。
その一方で、お酒は飲みすぎると利尿作用に加えて、アルコール分解でも水を使うので脱水傾向になります。カラダが水分不足になれば頭皮は乾燥しますから、髪の毛の育つ環境が悪化します。
またアルコールは、少量であれば副交感神経を活性化しますから、リラックスすることができます。しかし飲みすぎると逆に、交感神経が活発になり寝付けなくなったり眠りが浅くなったりして、睡眠に悪影響を及ぼして、間接的に白髪ができやすくなるのです。
さらに、大量のアルコールが体内に入ると排出しなければならず、肝臓や腎臓がフルに活動することになり、血液の質がガクンと下がってしまうのです。
お酒による白髪への悪影響を防ぐには、まずは悪酔いするまで大量に飲まないこと。適量であれば、お酒のメリットを受けながら、白髪への影響を最小限にすることができます。
週に2日程(48時間程)続けて休ませる休肝日は、ぜひ取り入れてみてください。体調もとても良くなり、お酒もおいしくなりますよ。
ただ、そうはいっても、楽しい席ではついつい飲んでしまうという人は、お酒と一緒に水を飲みましょう。目安として、お酒1杯飲んだら同量の水を飲むといいと言われていますが、この量にこだわらず、多めに飲むとアルコールの分解と排出を促してくれます。
特に、お酒を飲んで帰った日は、寝る前に体温と同じくらいの白湯をコップ1杯飲みましょう。内臓を温めて活性化し、老廃物の排泄を促してくれます。
また「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬は、消化器や腎臓の働きを助け、むくみや二日酔いを改善する効果が期待できます。腎臓をいたわりながらお酒を飲むために、飲酒の前と後に1包ずつ飲むのもいいでしょう。
また、飲酒はカラダを酸化させてしまうため、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、水素をサプリなどで補うと、飲酒による不調をいっそう遠ざけます。
タンパク質は動物性と植物性どちらがいい?
白髪に悩む人にとどまらず現代人に不足しがちな栄養素の代表は、ミネラルやタンパク質です。
タンパク質は、筋肉や臓器を構成する非常に重要な栄養素であり、酵素やホルモンの原料にもなります。
良質なタンパク質を含む食品を選ぶ目安の1つに「アミノ酸スコア」があります。体内で合成できない必須アミノ酸9種類が、それぞれ必要量を満たしていれば、アミノ酸スコアは100となります。アミノ酸スコアが100の食品には、卵、牛肉、アジ、サンマなどがあります。
また、タンパク質には肉や魚、卵などに含まれる動物性と、豆類、野菜、穀物から摂取できる植物性があります。
動物性のタンパク質としては、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含むものが多い一方で、動物性の脂肪を多く取り入れがちになるという弱点があります。
植物性のタンパク質は、食べ物に含有されるタンパク質の量が少ないというデメリットはありますが、ビタミンやミネラルなどの栄養素を同時に摂取できるというメリットがあります。
そのため、髪の毛と全身の健康のためには、動物性と植物性、どちらも取り入れることをオススメしています。
髪の毛は18種類のアミノ酸が結合してできた「ケラチン」というタンパク質で構成され、その中で髪を黒くするメラニン色素の原料となるのが「チロシン」です。
チロシンを多く含む食材としては、チーズなどの乳製品、カツオ、マグロ、たらこなどの海産物、アボカド、バナナなどの果物に加え、アーモンドや大豆などのナッツ・豆類、タケノコがありますので、こうした食品を中心に、動物性と植物性のタンパク質をバランスよく摂るのがいいでしょう。特に旬の食材がオススメです。
乳製品、卵などは体質に合わない方もいるでしょうから、自分に合うものを適宜選んでください。
海藻類は本当に髪にいい?
髪を黒くするメラニン色素の原料となる「チロシン」を黒い色素に変化させる「メラノサイト」を活性化するのに効果的な栄養素が2つあります。それは「ヨード」と「アントシアニン」。
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「ヨード」を含む食材には、とろろ昆布、昆布茶などの昆布からできているもの、わかめ、苔、ひじきなどがあります。また、こうした海藻類は、ミネラルの補給源としても優秀ですし、腎臓にもいい影響を及ぼす食材です。昔から「海藻は髪の毛にいい」と言われていたのは、科学的にはこうした意味があったのですね。
「アントシアニン」は、イチゴ、ブルーベリー、ナス、黒豆、紫キャベツ、黒ゴマ、赤ジソ、アシタバなどの色が濃い食材に豊富に含まれています。
白髪の予防、改善には、まずは大きな原因の1つである「栄養不足」を解消することが先決です。その中で、こうしたメラニン色素の生成を促す食材を、積極的に摂取していきましょう。