婚活女性の中には、高収入の男性を捕まえて玉の輿に乗ろうなんて考える方が少なくありません。でも、そんなに上手くはいかないのです。

◆5000円のセレブ妻入門セミナー、意味あるの?

 今回ご相談にきた愛菜さん(仮名・29歳)も、玉の輿を狙う女性の一人でした。そのためにこの後「愛されセレブ妻セミナー」に参加すると意気込んでいました。

「そのセミナーは行かない方がいいと思います。そんなうまい話があるなら、みんな愛されセレブ妻ですよ」
「でも、参加者の中にはセレブと結婚した人が何人もいるみたいで、誘ってくれた人も旦那さんが高収入なんですよ。特別に今回だけ参加費5000円なんです。もう振り込んじゃったし、今さらキャンセルなんて勿体ない!」

 こんなやりとりを2時間近くしていました。愛菜さんは東京まで電車で2時間半かかる町に住んでいます。年収は200万円台、;">アラサーである現在も実家暮らしを続けています。先日も、SNSで知った大手町のラグジュアリーホテルで開催された「愛されセレブ妻とのお茶会」とやらに参加し、そこで今回のセミナーに誘われたそう。

 セミナーのついでに、もっと婚活の効果が出る方法がないか探していたところ、私のことを知ったそうです。もし、私の予約がとれなかったら都内の有名縁結び神社に立ち寄る予定だったと話していました。

「じゃ、私も人生を劇的に変える秘策を教えますね」
「なんですか?」
「掃除です」
「はぁ?」

◆人生を変えるために、まずは部屋の掃除

 変なセミナーに飛びつく愛菜さんの性格は、持ち物や言動からも透けて見えます。

 まず、お財布は色がゴールドです。金財布は金運アップすると言われるからでしょうか。また、リボン付きのかわいいブーティーを履いているけれど、サイズがあっていないようでゆるそうです。

 手っ取り早くかわいくなろう、これさえやればお金が手に入るというものに、深く考えず飛びつく性格のようです。「今だけ特別価格!」というフレーズに惹かれ、衝動買いも多いことでしょう。

「彼氏が欲しいなら、まずは彼氏をよべる部屋にしよう。多分、モノが多くて人をよべないでしょう」
「当たってます!」

 結局愛菜さんはセミナーに参加せず、その日のうちに部屋の写真を送ってくれました。部屋の至るところにものが散乱し、その中にいつから使っているの…という学習机、電子ピアノもありました。

 彼女はその後、1か月以上かけてゴミを捨て続け、売れるものは売り、学習机も捨てて部屋を片付けました。これまで参加したセミナーでもらった資料、スピリチュアル本、資格試験のテキスト、化粧品のサンプル、口コミ評価高いから買ったけれど使わなかった化粧品、雑誌の付録……その日だけでゴミ袋4つのゴミが出たそうです。なんと、壁にはカビが生えていたそうです。

◆デートのために有給をとってくれたのに……

 汚部屋を脱出して、やっと婚活スタートです。休日がシフト制の愛菜さんは、貴重な日曜日休みを利用して婚活パーティーに参加しました。そこで、メガバンク勤務24歳男性とマッチングします。

「銀行員なんてすごいね!一人暮らししてるんだ!すごいね」愛菜さんは心から思ったことをそのまま伝えました。

 その日は連絡先を交換して後日会う約束をしましたが、日程がなかなか合わない。そこで、愛菜さんのために相手が有給を取ってくれることになりました。 いよいよデート前日、仕事で疲れていた愛菜さんは、なんと日程変更を申し出たのです。「だったら有給取らせるなよ」という捨て台詞とともにLINEはブロックされ、二度と返信は来ませんでした。

 

 

>婚活は同じレベルの人としか上手くいかない

 そこでまた愛菜さんは相談に来ました。LINEでのやり取りを見せてもらうと、愛菜さんは謝罪の言葉もなく日程変更を申し出ているのです。

「有休をとってくれたのに、自分の都合で前日に日程変更って失礼だし、謝罪がないのも非常識だよ。その方と仮にデートしても、結婚まで行く確率は低いと思います。婚活で上手くいく相手って、自分と同じレベルの人なんですよ」
「謝罪しようとしたらブロックされたんです!同じレベルなら、私は実家暮らしで高卒の契約社員としか結婚できないんですか!」
「そういう訳じゃないです。ただ、条件のいい男性が、同僚や同級生より愛菜さんを選ぶメリットってありますか? 愛菜さん自身が選ばれるように成長すればいいんですよ」
「メリットって……かわいいとは言われますよ。私だって頑張ってます!」

 見た目の話ではありません。彼はしっかり仕事をして一人暮らしで、自立した男性でした。一方、愛菜さんは自己管理もままならない女性なのです。

「かわいいだけで結婚相手を決めませんよ。家族になるんだから。まずは同じ失敗を繰り返さないように、せめて自己管理できるようにならなきゃ」
「でも、職場が遠くて通勤だけで疲れるんです。手取りは10万円台なので一人暮らしできるほどお金もないし」
「だったら、まずはシェアハウスで安く一人暮らし始めることもできます。職場近くでそういうのないか探してみたら?方法はいくらでもありますよ」

◆実家を出た方がお金が貯まるワケ

 愛菜さんの偉いところは、すぐに行動するところです。ご相談の後にすぐにシェアハウスを調べて、見学に行きました。幸い、彼女のご両親は「やっと自立しようとしてくれて嬉しい」と快く送り出し、引っ越しも手伝ってくれたそうです。なんと、デートドタキャン事件から1か月ほどで一人暮らしスタートさせました。

 家賃が出ていくと思うと、今まで気軽にしていた1000円のランチ代がもったいなく感じるようになりました。同僚はほとんど実家暮らしで、仕事帰りにカフェに立ち寄るのも当たり前。愛菜さんは、彼女たちの誘いを少しづつ断るようにしました。

 そうすると、不思議なことに実家暮らしの時よりも月末にお金が残るようになったのです。その後少しずつ自己管理ができるようになった愛菜さん。先日参加した婚活パーティーで知り合った、不動産会社勤務の年上の男性から告白され、ついに彼氏ができました。愛されセレブ妻セミナーに行こうとしていた日から半年以内に彼氏ができたのです。

 よく女子会をしていた同僚達に彼氏ができたことをすぐ報告しました。そこで問題が発生します。デートでドライブに行った話をした時に、彼氏の車の車種を聞かれたそうです。彼の車は軽自動車でした。

◆軽自動車の彼はダメな男なのか

 そうして愛菜さんはまた相談に来ました。

「軽自動車に乗っている彼氏より、もっといい男性がいるんじゃないのって言われたんです。いい人だし、優しい人なのに……どう思いますか?辞めた方がいいんでしょうか?」
「軽自動車なんて、金銭感覚がしっかりしているいい人じゃない。同僚の方の嫉妬なのでは?気にしなくて大丈夫ですよ」

 職場の同僚たちは、乗っている車や持ち物など、スペックで男性を判断するようでした。愛菜さんにとってその環境はプラスではないと判断し、正社員で働けるところに転職することをお勧めしました。

 転職活動3か月の末、不動産会社に就職します。人見知りしない性格が営業に向いていたのでしょう。遊びもデートも控えて猛勉強の末に、宅建も一発で合格しました。セレブ妻になろうとしていた年収200万円台の女性は、1年後に月収30万円の正社員になっていました。

「新しい職場には、実家暮らしの人は一人しかいないんです。環境が変わるとこんなに価値観も変わるのですね。『自分と同レベルの人としか上手くいかない』本当にその通りだと思います。自分が変わるのが一番の近道ですね。今の同僚には、セレブ妻セミナーに行こうとしていた過去なんて恥ずかしくて言えません」

 人はこんなにも変わるものなのですね。