夫へのストレスが原因で、うつっぽくなったり頭痛が起きたりといった不定愁訴を「夫源病(ふげんびょう)」と名付けた医師の石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)さんによる連載です。第2回目は診察の経験から考える、夫源病の改善方法についてです。

目次
夫源病の改善方法とは?

前回もお話ししたようにモラハラ夫は自分が妻を傷つけているという意識はあまりなさそうです。むしろ自分が良い夫であると思っているので、かなり始末が悪いのです。私の診察を受けられる女性の夫にカウンセリングをしても、最初は「心外だ」という態度です。中には怒り出す方もいらっしゃいます。
自分は妻とは対等な関係でいると考えている夫も、夫婦でカウンセリングをしているときに、「こいつはね!」とか「お前はね!」とか言い続けられます。このような呼び方自体がモラハラということに、気付いていないようです。このような夫には会社でのパワハラの研修をもう一度思い出していただき、家庭でも応用していただくことをおすすめしています。
妻に支配的な態度で接している夫だと、「妻には好きなことをさせています」とか「趣味とか旅行に行かせてやっています」などと言います。自分は理解がある夫と思っているのでしょうが、このような言葉を使い続けること自体がモラハラということに気付いていません。
私の診察に来られた夫源病の女性に関しては、私から夫に対していろいろなアドバイスができるのでまだ何とかなります。時には全く連絡できなかったり、相談にも来てくれなかったりする夫もいますが、その場合は夫源病を改善するのにかなり難渋します。
我々のような専門家に相談できる方はかなり少数でしょう。またこのような、夫婦の問題に踏み込んで、根本的な問題解消に取り組んでくれるような医療関係者はそれほど多くないと思います。
妻側は長年我慢をし過ぎてしまっている

何十年も夫婦関係を続けてきた方たちが夫源病に悩む様子を見て私が感じるのは、モラハラ夫自体も問題ではありますが、今までそれに我慢をし続けて何も言えなかった妻にも、ある程度問題があるように思います。
私がカウンセリングをしてきた夫婦の場合は、夫側に経済力があり、妻が専業主婦の場合が多いので、どうしても夫が支配的になり妻は我慢をする立場にあるようです。その我慢がたたって体調を崩すのですから、あまり我慢し過ぎるのも問題でしょう。
やはり一番の解決法は、妻自身が夫に、不平や不満を直接伝えることが大事です。このようにアドバイスすると多くの女性は「夫がキレる」とか「離婚されたらどうしよう」とおっしゃいます。
確かに離婚まで発展する可能性は、否定できません。そのためには、ある程度の経済的な準備はしておいた方がいいと思います。
私が見てきた限り、多くの夫は最初反発しますが、妻が別居や離婚を辞さないとの強い決意があるとわかれば、妻が出て行ったら困るのでかなり折れるようです。
また不満をぶつけることで、本当に別居や離婚に至る場合もあります。このようなリスクに関して、私はいつも「我慢していてもいずれ破綻すると思います、それなら早く破綻する方が良いのかもしれません」とアドバイスすることにしています。
反省もせず、態度も改めない夫とこの先長くいても体調を崩すばかりで、何も良いことはないでしょう。そのためには妻も腹をくくって夫と対峙することが大事です。
そのときには、先ほども述べたように、ある程度の経済的自立をすることや財産に関して目途をつけておくことが大切です。このような目途をつけて夫に対峙した女性はかなり強いと私は感じます。
むしろ夫から「妻が夫源病で助けてほしい。別居や離婚を言い出している」との悲痛な相談も少なくありません。残念ながら一度決意をした女性の意思は固く、このような場合は離婚や別居は免れない場合が多いのです。
夫源病と気付いたときの相談先は?

夫婦関係にこれまで我慢できていても、更年期になると心と体のバランスを崩す方が多くなります。
そのため夫源病で体調を崩している女性が相談する先は、女性外来や更年期外来などですが、その体調不良の原因の一因が夫だと気付いてくれるような医療関係者もそれほど多くはありません。
夫婦カウンセリングを行う臨床心理士などに相談するのも良いかもしれませんが、その際も夫の協力がなければあまり効果はないでしょう。
症状が軽いときは実家などで愚痴をこぼすのもいいでしょうが、夫の実家に相談するのはやめた方がいいでしょう。夫の両親は我が子がかわいいので夫の肩を持つことが多く、逆にストレスが溜まるかもしれません。
現実的な方法としては、不満を少しずつ出していく、厳しいかもしれませんが経済的な独立を図る、スポーツや趣味なのでストレスの発散をするなどがおすすめです。とにかくあまり我慢を続けないことが大切です。