◆糖質とカロリー、同時に減らすと体力や筋力の低下に 主食を減らした分、タンパク質をしっかり摂る ここ数年、体重コントロールや生活習慣病の予防になると注目を集めている食事法「ロカボ」。

 

ロカボとはローカーボハイドレートの略で、低炭水化物を意味します。炭水化物=糖質を制限するだけの食事法なので挑戦しやすいという利点がありますが、半面、挫折してしまう人も多いようです。 

 

その理由について、これまで6000人以上の指導にあたってきた管理栄養士の麻生れいみさんは、「挫折の最大の理由は、エネルギー不足」と話します。

 

特に減量目的の場合、「食べる量を減らさなければ」と、ご飯やパンなどの糖質だけでなく、肉や魚の量も減らしてしまう人が少なくないのだとか。 「

 

その結果、体力や筋力が低下し、疲れやすくなる場合も。糖質を減らした分、タンパク質やビタミン、ミネラル、良質の脂質、食物繊維をしっかり摂って、充分なエネルギーを補わなければなりません。

 

特に筋肉の減少が顕著になる40歳以降は、将来の歩行困難や寝たきりを防ぐためにも、筋肉の材料となるタンパク質は、意識してたっぷり摂る必要があるのです」(麻生さん。以下同)

 

【ロカボの基本的な考え方】・主食を減らす(ご飯などの炭水化物は半分にカット)・主食や副菜を増やす(タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を足す)

◆低糖質の食事を続けて、将来の病気発症リスクを低減 糖質制限の本来の目的は、糖尿病や肥満などの生活習慣病を引き起こす「血糖値スパイク」を防ぐことです。 

 

「食事を摂ると血糖値が上昇し、それを下げるために膵臓からインスリンが分泌されます。すると、血液中の糖分が細胞内に取り込まれてエネルギーとして利用されたり、余分な糖分を脂肪に変えて体に溜め込んだりするのです。

 

 

通常であれば、食後に血糖値はゆるやかに上昇し、2時間程度で正常値に戻ります。ところが、糖質を過剰に摂ると血糖値は急激に上昇し、それを下げるべくインスリンが大量に分泌されるため、血糖値は急低下。この乱高下を『血糖値スパイク』と言い、繰り返されると血管の動脈硬化が起こり、心筋梗塞や脳卒中、がんのリスクが高まるのです。

 

さらに近年は、脳細胞を傷つけ、認知症のリスクが高まることもわかっています」 糖尿病や肥満の対策として、これまではカロリー制限、つまり食事量を減らすことが有効だと考えられてきました。

 

 「しかし、血糖値を上げるのは糖質だけ。摂取カロリーを減らさなくても糖質を減らすだけで、血糖値の上昇は抑えられるのです」 「糖質を摂らないと脳が働かない」という情報も耳にします。 「脳が糖質を必要とするのは事実ですが、体には脂質やタンパク質から糖質を作る『糖新生』という仕組みがあるので、糖質制限をしても脳が血糖不足になる心配はありません」 現在、肥満や糖尿病などの兆候がなくても、「40歳を過ぎたら、糖質を制限したほうがいい」と麻生さん。

 

インスリンの働きをサポートする女性ホルモンの分泌量は、40代から急激に減少し、血糖値が上昇しやすくなると言います。

 

 

 「特に持病がなく、体重コントロールの必要もない人は、糖質を極端に制限するのではなく、ゆるやかに制限する『ロカボ』でOK。低糖質の食事を続けることで、将来の病気発症リスクの低減につながります。なお、健康診断で要再検査項目がある人や、糖尿病、腎臓や肝臓に問題のある人は必ず医師に相談してください」

 

 

 ◆ロカボの基本的な考え方

 

◆糖質コントロールで守るべき5ヵ条 ロカボを成功させる5つのポイントを紹介します。

 

今日から食生活を見直してみませんか? 【1】通常の半分弱の量が目安 現在、日本人の1日の糖質摂取量は平均270~300g。

 

ロカボを実践するには、その半分弱に抑えるようにしましょう。 「まずは、ご飯やパン、パスタ、うどんなどの主食の量を減らすことからスタート。併せて、イモ類や果物類、スイーツなど、糖質が多く含まれる食べ物の摂取も控えるようにしましょう。

 

主食はしっかり食べたいという人は、市販されている糖質オフのご飯や麺類、パスタなどを選べば、糖質を抑えながら満足感も得られます」(麻生さん。以下同) 適正な量の糖質を少しずつ摂取することで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。1日分の糖質を1食で摂るのではなく、3食に分けて摂るようにしましょう。 

 

 

◆●ロカボ基準は、1日の糖質摂取量70~130g 主食から20~40g×3回、間食などから10gの糖質を摂取する場合、以下を目安にトライしましょう ・主食の糖質30gの目安  ご飯(精白米) 82g(子ども用お茶碗1杯弱)  食パン 67g(6枚切り1枚強)  フランスパン 55g(長さ8弱)  パスタ(茹で) 112g(1皿の1/2強)  うどん(茹で) 150g(1人前の2/3弱)  そば(茹で) 120g(1人前の1/2)  中華麺(蒸し) 82g(1人前の1/2強) ・それ以外の糖質10gの目安  ジャガイモ 中1/2個  サツマイモ 中1/2個  イチゴ 9個  バナナ 1/2本  キウイフルーツ1個  アーモンドチョコレート4個  チーズケーキ1/3個  カステラ1/3切れ 

 

【2】血糖値を乱高下させない、カーボラストを意識 食事をする際は、食物繊維、タンパク質、脂質を先に食べておくと血糖値の上昇が抑えられます。 「野菜が先でも肉が先でもかまいません。大切なのはカーボラスト、糖質を最後に食べることです」加えて心がけたいのが、しっかりんでゆっくり食べること。 「カーボラストを行っても、ろくにまずに急いで食べると、血糖値が上がりやすくなるのです。よくめば食材の甘みが感じられ、少量でも満足感が得られます」

 

【3】タンパク質、野菜、きのこ、海藻類をしっかり摂る 「肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質は、1日に体重1kgあたり1.2~1.6g、体重60kgだと72~96g、肉や魚に換算すると360~480g摂取する必要があります。ほかに、食物繊維やビタミン、ミネラルを充分摂るために、野菜やきのこ、海藻類も必須。これらを合計で1日に400g、そのうち野菜は最低350g摂るように心がけましょう」 直径26cmのお皿を使うと、簡単に量の目安をつかめます。 

 

 

「お皿の半分に肉や魚などタンパク質のおかずを、もう半分に葉物野菜、豆や海藻、きのこをプラスすれば、1食に必要な栄養をしっかり摂ることができます」 【4】調味料は糖質ゼロやオフのものをチョイス 和食では、調理の際に砂糖やみりん、酒などがよく使われますが、これらは糖質を多く含みます。

 

また、ソース、ケチャップ、カレールウなども要注意。 「調味料は、買う際に必ず食品表示をチェックして、糖質控えめのものを選ぶようにしましょう。ノンオイルドレッシングは意外に糖質が多いので、気をつけて」とはいえ、料理に甘みがないと味気なく感じる人もいるでしょう。 「そこでおすすめなのが、エリスリトールという天然の甘み成分から作られた甘味料です。糖質もカロリーもゼロで、血糖値の上昇にほとんど影響を与えません」 

 

 

【5】外食やコンビニを賢く利用する 最近は、ファミリーレストランやコンビニエンスストアでも糖質表示のあるメニューや食品が増えています。 「なるべく糖質量の低いものを選ぶようにするといいでしょう。

 

 

外食では、丼物や定食ではなく、ご飯なしでおかず単品を選びたいところです。コンビニには糖質オフの食品が意外と豊富に揃っています。きのこサラダやサラダチキン、焼き鮭、ゆで卵、もずく酢、おでんなどがおすすめ。

 

小腹が空いた時には、ナッツ類やチーズ、おしゃぶり昆布、あたりめのほか、野菜不足の時は野菜スティック、タンパク質不足の時は豆乳や豆乳ヨーグルトなどをチョイスするのもいいでしょう」