運動習慣がある人は、その習慣がない人に比べると、健康的で若々しくなることに疑問の余地はありません。過度な運動は体に悪い、あるいは運動だけでなく食事を含む生活習慣が重要であるなど、さまざまな側面があります。どちらにしても、適度に運動すること自体に真っ向から反対する人はあまりいないでしょう。
運動が健康や長生きに寄与するとしたら、どの種類の運動がもっともアンチエイジングに効果的なのか。このことについて研究した論文(1)を紹介します。
研究内容
この研究で被験者に選ばれたのは、健康ではあるがあまり運動習慣がない男女122人。そして被験者たちは、6か月の調査期間中に行う運動の種類に応じて以下4つのグループに分けられました。
A) 有酸素運動
B) HIIT(高強度インターバルトレーニング)
C) 筋トレ
D) 運動をしない
AからCまでの3グループは、各種類の運動を45分間1セッションとして週3回、それを6か月間継続。実施した運動は以下の通りです。
・有酸素運動(A):最大心拍数の60%程度でウォーキングかランニング
・HIIT(B):最大心拍数の80〜90%の強度の運動4分間を4セット(セット間に3分間の休憩)
・筋トレ(C):8種類のマシン(バックエクステンション、クランチ、プルダウン、ロウ、レッグカール、レッグエクステンション、チェストプレス、レッグプレス)をサーキット形式
なお、Ⅾグループはその間、もともとの生活習慣(ほとんど運動しない)を変えませんでした。

「テロメア(telomere)」を用いて加齢による劣化を比較
研究者たちが着目してグループ間の比較に用いたのが、「テロメア(telomere)」と呼ばれる染色体の末端部にある構造の長さと活動性の変化。このテロメアが長いほどDNAの劣化を防ぐ、つまりアンチエイジングに繋がるのだそうです。
人が年齢を重ねるとテロメアは自然に短くなり、活動も鈍くなっていきます。そして、体内の細胞がダメージを受けやすくなるのだとか。つまり、このプロセスを少しでも遅らせることで加齢による老化も遅らせることができるという理論です。

研究結果
6か月後の調査では、有酸素運動(A)とHIIT(B)の2グループが運動をしない(D)グループに比べて、テロメアの長さと活動量が2〜3倍に増加。そこまでは予想通りですが、とても興味深いことに、筋トレ(C)のグループにはテロメアの長さと活動量にほとんど変化が見られませんでした。
考えられる仮説として、テロメアの活動を促進させる働きがある体内酵素レベルは有酸素運動によってのみ増え、筋トレは無酸素運動のため同レベルに変化がなかったからではないかということです。