リーマン・ショックが終わった頃からであろうか、東京の都心には「コンパクトタイプ」という新築マンションのカテゴリーが登場した。

 

 面積はだいたい60平方メートル台まで。10年前はこのカテゴリーの主流は50平方メートル前後で、単身者とカップルの購入を想定していた。

 

 最近、このタイプのマンションの面積が狭まる傾向が顕著になっていた。大手財閥系のデベロッパーでも28平方メートル程度の住戸を作るようになったのだ。ちょっと前なら考えられない商品企画である。

 

 28平方メートルは、ほぼワンルーム。キッチンとトイレ、浴室を除くと、実質的な生活空間は9畳程度になる。ベッドを置けば、残りのスペースはさらに狭くなる。

 

 そういったマンションが都心エリアなら4000万円近くで販売されている。それをまた、買う人も一定数いる。

 

 今回のコロナ騒動で、テレワークを経験した人も多いはずだ。面積が限られた空間で長時間過ごすことに、息苦しさを感じた人も少なくないと思う。

 

 

 また、多くの企業とともにビジネスマンたちもテレワークで、ある程度の業務をこなせることに気づいてしまった。今後、コロナが終息してもテレワークを完全にやめてしまう企業は多くはなさそうだ。何といっても、オフィス面積を縮小することはコストの軽減につながる。

 

 例えば出社日が週に2日程度になれば、残りの3日は自宅で仕事をすることになる。であれば、都心の9畳よりも、郊外のもう少し伸びやかな住空間で過ごしたい、と考えるのが自然だ。サーフィンをする人なら、海の近くに住みたい、という流れになる。

 

 

 今後、28平方メートルや30平方メートル台の前半程度の狭小型住戸の供給は減少するかもしれない。そもそも、そういう狭さの住戸は仮住まいであるべきで、何千万円も支払って住む、というのは何とも不自然ではないか。

 

 

 代わりに、自然環境の豊かな郊外型一戸建て住宅の人気が復活する可能性がある。

 

 コロナ以前は世帯年収1400万円のパワーカップルが、ちょっときつめの35年返済・ペアローンを組んで湾岸などでタワーマンションを購入する、というパターンがよくみられた。

 

 しかし、夫婦ともにテレワークが主体の働き方になれば、子育て環境のよろしくないタワマンよりも、郊外の自然環境が豊かな住まいの方が好まれるのではないか。

 

 

 コロナ騒動はくしくも日本人の働き方や住み方などに大きな変化をもたらしたのかもしれない。特に住宅に対する需要は、これまでの「都心」「駅近」志向から微妙に変化することも考えられる。それでも、郊外が都心よりも高くなることなどはあり得ない。

 

 

 ここ5年ほどの局地バブルで高くなり過ぎた都心のマンション価格には割合、強烈な下落圧力が生まれていることは確かだ。

 

 こういった市場の動きが一般の方にもみえてくるのは、この秋以降だろう