大便は、数々の病気リスクを伝える貴重な健康のバロメーターだ。それゆえ、毎日の観察=「観便」が大切なのだ。大便研究の第一人者で、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎氏がいう。
「人間は口から肛門まで、消化器官でつながっている。大便はその状態を如実に示します。どこかの部位に異常があれば、大便の異変となって現われるのです」
とりわけ胃から大腸にかけては、がん、潰瘍など、心配な疾病が発生しやすい場所でもある。それゆえ、毎日の観察=「観便」が大切だと大竹氏は力説する。
「とくに高齢者になるほど、腸内環境が悪化し、悪玉菌が増えて匂いがきつくなる、一気に出ずに残便感があるなど、異変が現われやすい。観便は、知られざる病気リスクを発見するうえで、最も簡単にして明快な方法です」
では、“理想の大便”はどのようなものなのか。大竹氏によれば、それは「水に浮く」ものだという。
「健康の人の大便は8割が水分でできています。残りの2割は小腸の粘膜がはがれ落ちたもの、消化されなかった食物、腸内細菌の死骸などです。ちょうどよく水分を含んだ大便は、軟らかすぎず硬すぎず、水にプカプカと浮いている。そんな大便が出ていれば、腸内環境は良好と考えられます」(大竹氏)
また、酸っぱい匂いがする場合も健康の証だという。
「生まれたばかりの赤ちゃんの大便は、ほぼ匂いがありません。悪玉菌がないからです。母乳やミルクを飲むことでだんだん匂いが増していきますが、ぬか漬けのような酸っぱい匂いがする程度。大人になっても、そうした少し酸っぱい匂いがする大便が出れば健康だといえます」(同前)
根菜類や海藻類など食物繊維が豊富な食事を摂っていれば、匂いが少なく水に浮く大便が出やすいという。「うんち博士」の異名をとる理化学研究所イノベーション推進センターの辨野(べんの)義己研究員が話す。
「理想の大便を作るのは、日々の規則正しい生活以外にはない。便器の中は、自分の生活の映し鏡だということです」
毎日の「観便」を習慣にすれば、自分の体に何が起きているのか、どうすれば改善できるのか、その答えが見えてくる。