山本貴さん(58歳、仮名)は、結婚と同時に購入した築32年のファミリータイプのマンションにお住まいです。子どもが独立したため、都心への住み替えを検討しており、当時4800万円で買った新築マンションの現在の査定額を不動産会社に尋ねたところ、1800万~2000万円程度だと言われ、がっかりしてしまいました
長年、マンション住まいをしているご家庭のお子さんが成長して独立した後など、ライフスタイルの変化によって、夫婦2人で住むのに十分な広さの物件に住み替えを考えたとします。
しかし、市場では売れると想定されるマンションの査定額を住宅ローン残債が上回っていたり、売りたくてもなかなか買い手がつかなかったりなど、売りたいのに売れず、現金化できずに負債となっている「負動産」マンションは全国にあふれています。
一般的にプレミアムがつくようなヴィンテージマンションを除いては、築年数が経つほど物件の価格は下がります。新築~5年以内に比べて、築6~10年以内では10%前後、さらに築11~15年になると20%以上値下がりします。その後、築20~30年ではあまり価格は変動せず、販売価格の半値ほどで下げ止まりするのが一般的です。
売れないマンションの典型的な特徴
山本さんご夫婦のマンションの査定額が低かったのは、管理状況が悪く負動産要件が多かった、バブル景気の影響を受けたマンションだったからです。」(2019年3月16日配信)に続いて、拙著『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』でも紹介している、売れないマンションの典型的な特徴をいくつかご紹介しましょう。
① 最寄り駅から徒歩7分以上かかる
最近は夫婦共働き世帯が増え、通勤に便利な駅近物件が人気です。また、子育て世代でも買い物や子育てのしやすさから、商業施設の近くなど利便性の高いマンションも人気です。さらに再開発が進む今日においては、駅直結・徒歩0分や駅徒歩1分などのマンションも存在します。
マンションは一戸建てと違って、物件の多くが最寄り駅から徒歩圏内。一昔前は、徒歩10分でも近いと思われていましたが、現在では5分未満と5~9分以内を合わせると、全体の約70%にもなります。もし最寄り駅から徒歩7分以上でその帰り道に商業施設や活性化している商店街などがないマンションは、相対的に売却しにくい負動産といえます。
少子高齢化をはじめとした人口問題、労働力の減少、都心部と地方との二極化など、マンションの需要と供給のバランスから、今後はますます駅近という立地の利便性が重要視されていきます。
② チラシがあふれている郵便受けがある
郵便受けに郵便物があふれているマンションを見たことはありませんか。そういう部屋は、長期間の空室の可能性が。所有者本人が住みにくい、募集をかけても賃貸人が付かないなど、人が寄り付きにくいマンションの可能性があります。もしこのような光景が頻繁にみられる場合、売れない、貸せない「負のスパイラル」の第一歩ともいえます。
また宅配ボックスの有無もポイントです。利便性のほか、宅配業界の人手不足解消により需要が高まり、新築マンションでは標準的に設置されています。既存マンションでは2017年11月以降、早々に設置スペースについて建物の大きさを制限する容積率の算定から除外し、宅配ボックスの新規設置がしやすくなっています。今後、すべての建物で規制緩和されるため、宅配ボックスがないマンションは敬遠される傾向です。
管理状況のバロメーターになる施設
③ゴミを24時間出せない
近年多くのマンションでは、1階や各階などの共用施設にゴミ置場があり、24時間捨てることが可能です。ゴミを24時間出せない場合、朝など決められた時間にしかゴミが出せないマンションは利便性に欠けます。ゴミ出しにストレスを感じる高齢者や単身者の場合、ゴミ屋敷化が進み、マンション全体の負動産化も進んでいきかねません。
④自転車置場が整頓されていない
自転車置場の整理整頓は、管理状況のバロメーターともいわれています。管理状況が悪いと認識されると、自転車のかごへのゴミのポイ捨てや不審者の侵入、駅近マンションでは無断駐輪に発展しかねません。
そもそも自転車置場はマンションの規模によって、条例・指導で台数を義務づけられていることが多く、各住戸1台以上の保管場所があるのが望ましいとされています。とくに駅から離れたマンションでは、住民1人につき1台の必須アイテムといえます。
自転車置場がぐちゃぐちゃになっている要因は、例えば住民に対して自転車置場が足りない場合や、住民以外の第三者が駐輪しているなど、さまざまな理由があります。もしあなたのマンションにあてはまる場合、まずはステッカーの運用、台数の確保などが解決の第一歩です。それでも根本的な解決ができないマンションは、需要に対応できない負動産でしょう。
⑤ 機械式駐車場がある
機械式駐車場は、メンテナンスなどの維持費がかかり、「金食い虫」といわれています。近年は若者の車離れや高齢者の免許返納により車を手放す人が増え、全国の管理組合で駐車場の空き問題が生じています。あなたのマンションで駐車場使用料を管理組合の収入源としている場合、管理費・修繕積立金会計の収支にまで影響を及ぼし、値上げを検討しなければならないなど、深刻な問題にまで発展する可能性があります。
機械式駐車場があり、かつ空き駐車場が多く「駐車場会計」もない場合、管理組合運営が破綻する恐れがあります。
⑥ ペット飼育禁止
大手デベロッパーがペット飼育可の新築マンションを販売するようになってから、マンションでも一戸建てと同じようにペットを飼える物件が増えています。例えば「中型犬2匹まで」など、種類、頭数、大きさなどそれぞれのマンションのルールに応じてペット飼育が認められています。なかにはペット専用のエレベーターやドッグランが併設されているマンションも。
資産価値が低く見積もられてしまう可能性も
今やペットは家族同然ともいえ、ペット飼育ができるかできないかは、資産価値にも大きく影響します。
また、隠れてペット飼育をする住民が出てくるなど、トラブルの原因にもつながりかねません。ペット飼育禁止のマンションは、世の中のライフスタイルの変化に対応できておらず、資産価値を下げています。
⑦部屋の床がじゅうたんや畳でフローリング変更不可
じゅうたんや畳だと、しみやカビ、重たい家具などを置いた跡が目立ちます。またシックハウス症候群やダニアレルギー対策の観点から、いま多くのマンションでは、じゅうたんや畳ではなくフローリングが多く採用されています。
畳の場合は、裏返しや表替えといったメンテナンスも必要ですが、フローリングは掃除がしやすく摩擦に強いため、長持ちしてメンテナンスの手間があまりかかりません。
床がじゅうたんや畳の場合、管理組合や管理規約で確認してみて、フローリングに変更不可の場合、相対的に資産価値は低くなります。