http://news.livedoor.com/article/detail/6434467/
思春期の頃は、好きな人と目が合うだけで一日ハッピーな気持ちになれたもの♪ 大人になってからも、上目づかいはモテテクとされていたり、流し目がセクシーとされていたり…。考えてみると、恋愛と視線って非常に密接に関わっている気が! そもそも、どうして視線にはそんなにパワーがあるのでしょう?
「人間は、じっと目を見つめられると『もしかして、自分のこと好きなのかな? 』なんて感じてしまいますよね。これは視線には『自分はあなたの敵ではない』という情報が含まれているため。人間にとって、視線はときに言語以上に重要なコミュニケーションツールとなるのです。ところが、集団生活をしているサルの目をじっと見つめてみると、キィィと鳴き声を上げて敵意を示してきます。見つめられることを好意的に捉えるのは、動物の中でも人間だけなんですよ」
と教えてくれたのは、東京大学教授で視覚や顔知覚に関する研究をしている佐藤隆夫先生。驚いたことに、人間とそのほかの動物とでは目の構造がまったく異なるそう。
「じつは、霊長類の中で『白目』をもつのは人間のみ。ゴリラやチンパンジーに白目はなく、外から見えるのは黒や茶褐色に近い瞳の部分だけです。そのため、目を動かしても視線の動きが他者からあまり分からないようになっています。つまり、それらの動物にとって視線は、生きていく上でさほど重要な意味を持たないということでもあるのです」(東京大学教授・佐藤先生)
言われてみれば、動物たちって黒目しか見えない…! 佐藤先生いわく、その理由は人間とほかの動物の社会構造の違いに関係しているそう。
「人間は生活を営む上で他人との協力が必要不可欠。群れの中で暮らす以上、より精度の高いコミュニケーションを図る必要があったため、視線が必要だったのではないかと考えられます。また動物は、プレデター(肉食動物)とプレイ(被食者)のどちらかに分かれます。弱肉強食の世界で生きる動物にとっては、白目が目立つと相手に見つかりやすいというデメリットもあります。しかし、敵から身を守るには不利だったとしても、白目がある方が目の動きで仲間との意思疎通がしやすいもの。人間は、より集団行動に有利な方をとって進化してきたのかもしれません」(同)
普段は当たり前のように感じていたけれど、たしかに白目がなくなって視線が分かりにくくなったら、不自由なことだらけかも。改めて、人間の進化って奥が深いですね。
と、ここで話を少し戻して…そもそも「視線を向けられている=自分に対する好意」と捉えてしまうのはどうして?
「それは、人間の視野と関係があります。簡単に言うと、人の目は視野の中心にしか正確な視力がないんです。たとえば次の『☆★☆』という文字の★の部分をじっと見つめると、その1行下にある文字は読めますか? また、2行下は? …おそらくそれ以下は、ハッキリと読めないことでしょう。広い範囲が見えているようでも、実際の人間の視力はこれくらいでしかないのです。もし新聞を読むときに周辺の文字まではっきり見えてきたら、逆に読みづらいでしょう? つまり、視野の中心部だけはよく見え、周辺は曖昧。したがって、人は『見たいものには目を向ける必要がある』のです。その結果、『視線を送る=相手のことが見たい・興味がある』という気持ちの表れとして伝わるのです」(同)
なるほど! つまり、「見る」ということそのものが、相手に対し興味関心があることを伝える手段になっているんですね。また、佐藤先生からこんな視線の使い方もアドバイス。
「じっと見つめるだけでなく、『チラッと見てそらす』というふうに応用もできます。『見たいけど、見られない』という恥ずかしさや照れの気持ちを表現することになりますから、ある種、効果的な好意の伝え方かもしれませんね。また、視線に動作を加えることで、より正確に情報を伝えることも可能です。例えば、会話する相手の方に体を向けたり首を回転させることで、視線を送っている方向が明確になります。逆に、顔の向きは正面のままで視線だけ斜めに動かす『流し目』風の見方をすると、どこを見ているのか正確には分かりません。合コンのときこそ流し目を使うと、バレずに相手を観察できるかもしれませんね(笑)」(同)
さっそくこれは実践しなきゃ。それにしても、目だけで好意を伝えられるなんて、視線のパワーはやっぱり絶大! 効果的な視線の使い方をマスターできるよう、今後も研究を続けてみたいと思います!(池田香織/verb)(識者プロフィール)
佐藤隆夫/東京大学大学院・人文社会系研究科教授。知覚情報論を専門とし、主に視覚の研究に携わる。実験心理学を用い、運動視や立体視といった視覚の研究を重点的に行なっている。
思春期の頃は、好きな人と目が合うだけで一日ハッピーな気持ちになれたもの♪ 大人になってからも、上目づかいはモテテクとされていたり、流し目がセクシーとされていたり…。考えてみると、恋愛と視線って非常に密接に関わっている気が! そもそも、どうして視線にはそんなにパワーがあるのでしょう?
「人間は、じっと目を見つめられると『もしかして、自分のこと好きなのかな? 』なんて感じてしまいますよね。これは視線には『自分はあなたの敵ではない』という情報が含まれているため。人間にとって、視線はときに言語以上に重要なコミュニケーションツールとなるのです。ところが、集団生活をしているサルの目をじっと見つめてみると、キィィと鳴き声を上げて敵意を示してきます。見つめられることを好意的に捉えるのは、動物の中でも人間だけなんですよ」
と教えてくれたのは、東京大学教授で視覚や顔知覚に関する研究をしている佐藤隆夫先生。驚いたことに、人間とそのほかの動物とでは目の構造がまったく異なるそう。
「じつは、霊長類の中で『白目』をもつのは人間のみ。ゴリラやチンパンジーに白目はなく、外から見えるのは黒や茶褐色に近い瞳の部分だけです。そのため、目を動かしても視線の動きが他者からあまり分からないようになっています。つまり、それらの動物にとって視線は、生きていく上でさほど重要な意味を持たないということでもあるのです」(東京大学教授・佐藤先生)
言われてみれば、動物たちって黒目しか見えない…! 佐藤先生いわく、その理由は人間とほかの動物の社会構造の違いに関係しているそう。
「人間は生活を営む上で他人との協力が必要不可欠。群れの中で暮らす以上、より精度の高いコミュニケーションを図る必要があったため、視線が必要だったのではないかと考えられます。また動物は、プレデター(肉食動物)とプレイ(被食者)のどちらかに分かれます。弱肉強食の世界で生きる動物にとっては、白目が目立つと相手に見つかりやすいというデメリットもあります。しかし、敵から身を守るには不利だったとしても、白目がある方が目の動きで仲間との意思疎通がしやすいもの。人間は、より集団行動に有利な方をとって進化してきたのかもしれません」(同)
普段は当たり前のように感じていたけれど、たしかに白目がなくなって視線が分かりにくくなったら、不自由なことだらけかも。改めて、人間の進化って奥が深いですね。
と、ここで話を少し戻して…そもそも「視線を向けられている=自分に対する好意」と捉えてしまうのはどうして?
「それは、人間の視野と関係があります。簡単に言うと、人の目は視野の中心にしか正確な視力がないんです。たとえば次の『☆★☆』という文字の★の部分をじっと見つめると、その1行下にある文字は読めますか? また、2行下は? …おそらくそれ以下は、ハッキリと読めないことでしょう。広い範囲が見えているようでも、実際の人間の視力はこれくらいでしかないのです。もし新聞を読むときに周辺の文字まではっきり見えてきたら、逆に読みづらいでしょう? つまり、視野の中心部だけはよく見え、周辺は曖昧。したがって、人は『見たいものには目を向ける必要がある』のです。その結果、『視線を送る=相手のことが見たい・興味がある』という気持ちの表れとして伝わるのです」(同)
なるほど! つまり、「見る」ということそのものが、相手に対し興味関心があることを伝える手段になっているんですね。また、佐藤先生からこんな視線の使い方もアドバイス。
「じっと見つめるだけでなく、『チラッと見てそらす』というふうに応用もできます。『見たいけど、見られない』という恥ずかしさや照れの気持ちを表現することになりますから、ある種、効果的な好意の伝え方かもしれませんね。また、視線に動作を加えることで、より正確に情報を伝えることも可能です。例えば、会話する相手の方に体を向けたり首を回転させることで、視線を送っている方向が明確になります。逆に、顔の向きは正面のままで視線だけ斜めに動かす『流し目』風の見方をすると、どこを見ているのか正確には分かりません。合コンのときこそ流し目を使うと、バレずに相手を観察できるかもしれませんね(笑)」(同)
さっそくこれは実践しなきゃ。それにしても、目だけで好意を伝えられるなんて、視線のパワーはやっぱり絶大! 効果的な視線の使い方をマスターできるよう、今後も研究を続けてみたいと思います!(池田香織/verb)(識者プロフィール)
佐藤隆夫/東京大学大学院・人文社会系研究科教授。知覚情報論を専門とし、主に視覚の研究に携わる。実験心理学を用い、運動視や立体視といった視覚の研究を重点的に行なっている。