南房総の笹川湖(片倉ダム)へ釣りに行った日は、朝3時起き、夜23時帰宅という過酷な日程を余儀なくされました。


GWの日本の国土の狭さを象徴するような道路交通事情に堪え忍びながら、僕はエクストレイルのバンドルを握りしめていました。












すっかり遅くなってしまい、途中どこか適当な所でお子達に飯を食べさせなきゃと親父とふたりで喋っていました。


けれども適当な所は何処にもなく、適当に車を走らせ続けて、適当な時刻に僕らを乗せた車は地元に戻っていました。


友達と笹川湖へ行ったときに良く行く定番のラーメン屋さんは既に閉まっていて、和食のチェーン店もお店の駐車場に車を停めて直ぐにやる気を無くしたのか、閉店となってしまいました。


仕方なく近くのデニーズに入って、各々自分の好きな料理を注文し始めました。














だから次の日でもあるGW最終日は家でゆっくり過ごそうと思っていました。












けれどもその矢先に実家から電話がかかってきて、親父が救急車で運ばれたと連絡が入りました。


そういえば最近心臓が苦しくなるとか、昨日の朝も調子が悪いみたいなこと言ってたよな?


そこに昨日の釣行で一気に疲れが来て、まさかの展開・・・



最悪の事態も考えとかないとならない。














姉からも連絡があり、こちらも急いで病院に向かうことになりました。


小学生以下の子供は来れないとのことたったので、Rukiだけ連れて総合病院へと向かいました。









病院に着くとすっかり病人のように少し小さくなった親父がベッドに横たわっていました。



「うっ、うぅ~!!」




何やらとっても苦しそうです。


それでも初孫のRukiの顔が見れて、やっと来たかと少し安堵したご様子でした。




「うぅ~!っうう~・・・」



「親父、大丈夫か!?」



どうやら深刻なご状況です。


苦しそうな親父の姿を見て、とても見ていられない気持ちに苛まれました。















「うぅ~!うぅ~ぅぅう~!!」




「あぁ~喉が乾いたぁ~!」


「あぁ~水が飲みたい!!」



(えっ?苦しんでるのそこ・・・??)






ただ水が飲みたくて苦しんでいる姿を見かねた母親は、「さっき、ドクターに水は控えるように言われたじゃないの?」と優しく呆れ顔でなだめていました。



それから、気持ちの良い程の呆れ顔で母親は、「どうやら胃潰瘍らしいよ?」と言葉を放ちました。


「えっ?心臓が苦しいとか言ってなかったっけ??」


「そうなんだけど、救急の医者が言うにはどうやら胃にポリープがあり、肝臓も悪いみたいよ?」



「そんなことより水だ!水飲まないと本当に死んでしまうよ?」



そんなやり取りをしているところへ、若干若い感じのガタイの良い看護師の男性がやってきまた。



「お父さん、どういう状態でお家へ帰りたいですか?」


と言葉を投げ掛けながら、「 申し訳ありませんが、これは聞かなければならないことですから」と言葉を濁しました。


唐突な質問を投げ掛けられた父は少し動揺しながら、「それは今までのような状態で家に帰りたい。」と言葉を選びながら、正しい日本語を口にしていました。


ガタイの良い看護師の男性は言葉尻は申し訳なさそうに、「そうですか?それでは『今までと同じように』というわけですね?」と態度では悪びれる様子もなく、問診票に適切な記載を事務的に書き記すことに成功すると部屋を後にしました。











僕はどうしてこんな当たり前の質問をしなければならないのか、病院のマニュアルに対して疑問に思いました。



何か問題が起きたときの措置だということは理解できますが、こんな意味のない質問に果たして意味はあるのかと思いました。












それでも水を飲んでも良いとお墨付きを言われた父親は嬉しそうに目の前に置かれたお水をごくごくと飲んでいました。


名残惜しそうな親父の背中にサヨナラを告げて、母と姉とRukiと一緒に病院を後にしました。















病院を後にした母は、「全く人騒がせなんだから・・・」と怒り口調ではあるけど、単なる胃潰瘍ということが分り安堵したご様子で呟きました。



僕と姉もそれに同調するように、「一体何だったんだろうね?」とお互いの見解を示し合わせました。



イトーヨーカ堂で入院に必要な衣類や備品を購入する母を見届けたあと、Rukiとふたりでお家へ帰ることにしました。










姉貴は実家にも寄るのが筋だろう的な発言をしていたので気にはしていましたが、明日から仕事なのでお家へ帰ることにしました。












GWは久し振りにオートキャンプに行って岩魚を食べて、清水公園でアスレチックや高尾山へのハイキング、それから笹川湖でバスフィッシングもやって盛り沢山の内容でした。












けれどもwichaが人様の車に小石をぶつけて器物破損の現行犯逮捕で損害賠償だし、最終日にまさかの親父の救急車騒動も加味されて内容が予想以上に充実し過ぎだと思いました。









GW明け早々に会社でも人事異動条令の内示があり、まさかの部署移動の人事が僕に発令されてしまいました。


折角、今まで自分が如何に楽に仕事を進める為に、色々と仕組みを構築してきたというのに・・・











サラリーマンなので1つ返事で承諾しましたが、正直移動する部署の人がその部署にいるのが嫌で移動願いを出した結果の完全なとばっちりなのです。


くじ運ないのに貧乏くじ引くのだけは得意なのであります。







そんな人事発令を別室で聞いたあと、珍しく僕の携帯に着信がありました。


電話に出てみると母の声が聞こえてきて、「やっぱり心臓の血管がつまっているらしく、これから緊急手術することになったから伝えとくわ?」と電話口からアナウンスが流れました。


少しずつ周囲で何かが変わろうとしていることを感じました。そして永遠不変なことなんて存在しないのだと思いました。



一体、胃潰瘍はなんだったのだろうか?





to be continued・・・