まさかのテント受付終了の看板に、かつては『氷のメス』と呼ばれた男も
ワナワナと動揺の音色を隠せずにおりました。
「パパ、僕たちどうなっちゃうの?」
心配そうにRukiが呟きました。
僕は手にしたメスをもう一度氷に浸しながら、冷静沈着に己のスーパー勘ピューターの中央演算装置を起動しました。
そして直ぐに入口にいたガードマンのおじさんに状況を尋ねてみました。
「いや~、今日は三連休の中日だからお昼でもう受付を終了しちゃってな~?」
「そっ、そんなに早くですかぁ?!」
僕はおじさんに話し掛けながらも、密かにマヌーサの呪文を唱えてやりました。
それからいつものお得意のセクシーポーズで懇願するように見つめてやりました・・・
僕たち3人はちょっぴり挑発的な目つきで
あるいは少し欲している風に
お得意のセクシーポーズで迫りました。
・・・・
僕はブラウスの第2ボタンを外して
更なる挑発を繰り広げました。
するとガードマンのおじさんはニコリと微笑んでから
「よし!どうやら車ではないみたいだから6時以降に来なさい。管理人さんが6時に帰るので、そのあと入れてあげるからね?」と仰いました。
僕らはガードマンのおじさんにお礼を言い、来た道を戻って日帰り温泉へ行って6時過ぎまで時間を潰すことにしました。
この日は奥多摩駅から徒歩10分位の所にある日帰り温泉『もえぎの湯』は大変混雑していて入場制限がかけられていました。
ここではクーラーボックスからビールを取り出して飲みながら30分ほどの時間をやり過ごさなければなりませんでした。
お子達ふたりはアイスを食べながら待ち続けました。
そんなお子達ふたりの様子をニコルは微笑を浮かべながらギターの弦を気持ち良さそうに弾いていらっしゃいました。
周囲にはニコルの音色が鳴り響き、ニコルの近くの岩には焚き火のオレンジ色の光りが揺らめくスコッチウイスキーの入ったグラスが静かに置かれていました。
何故かwichaがニコルの方へ向かっていき、ニコルの足元に転がる炭を拝借しようとしていました。
僕は慌ててwichaをニコルのエリアから切り離しました。
そこそこ炭が集まりましたが、どの炭も湿っていてそう簡単には火などつきません。
この日は朝のwichaのぐずりから始まり、Rukiの神隠しや管理釣り場でのお子達のライントラブルやキャンプ場の受付終了に困惑しながらも、ネルシャツの網の目を纏ったおじさんやガードマンのおじさんにも助けられて、最後には自分達で釣ったニジマスを焼いて食べることの出来た恵み深い1日でした。
いつの間にかニコルのギターは鳴り止み、辺りはすっかり夜の静寂に包まれていました。
ニコルはシングルモルトのスコッチウイスキーを飲み過ぎ、慌ててトイレに向かいました。
僕たちもアウトドアチックな原始的な食事に満足をした後、食器を片付けたり、トイレに向かい就寝の準備に取りかかりました。
いつもの日常とは違う
不便さを楽しむということ・・・
僕達3人はこのように、ちょっぴりワイルド過ぎる夜を過ごしました。
W.Cから出てきたニコル氏は
すっかりC.W ニコルになっているご様子だったのであります・・・
to be continued・・・