(前回までのあらすじ)
喉の渇きを『桃太郎さんのお話し』をすることで紛らわすことに成功した僕達は、西沢渓谷の入口にたどり着きました。
・・・の続きです。
11時半に西沢渓谷のハイキングを開始して、約4時間半の道のりを飲まず食わずでしたので、キャンプ場に行く前に僕達は道の駅『みとみ』で遅い昼飯を食べることにしました。
(動物たちとお話ができる『翻訳こんにゃく』があるかどうか確認したかったのですが、この『蒟蒻館』は今回は素通りです・・・)
このあと今回のテン場である『笛吹小屋キャンプ場』へ行くわけですが、道の駅『みとみ』から道路挟んで向かいの直ぐのところにあります。
(道の駅『みとみ』。味は広州に在り!?)
ここは西沢渓谷の入口でもあり、秩父山系の主峰『甲武信ヶ岳』の登山口でもあるため、笛吹小屋キャンプ場は登山者のベース基地として利用されているとのことです。
僕達は道の駅『みとみ』の発車時刻ギリギリまで『中国四千年の味』を堪能していましたが、三千五百年付近に差し掛かったときに店のお婆ちゃんが出てきて「もうここも閉店ですからね~?」と腰を曲げながら僕達に分かるハッキリとした声の大きさで話し始めました。
それから「悪いね~?」ととても申し訳なさそうに言われたので、五百年ばかりの余韻を残したまま、笛吹小屋キャンプ場に向かうことにしました。
(なんと4000年の味が800円!!)
笛吹小屋に着いたのは、辺りが暗闇に溶け込み始める17時を少し回った頃でした。それまで全く到着が何時になるか連絡をしていなかったので、念のため小屋に連絡を入れておきました。
笛吹小屋のスタッフはとても愛想が良く、僕の80リットルのザックを見て管理人のお爺ちゃんは「ハイキング行く前に寄って荷物を置いてから出掛ければ良かったのに~」ととても残念そうに言いました。
それから「遅く来たから500円引き!」と嬉しそうに顔に皺を浮かべながら言いました。
お爺さんは、明日のバスの時刻表を持ってきて「明日はこのバスに乗って・・・、ここの温泉に入って・・・、一時間くらいしかないけど・・・このバスに乗るのが良い!」ととても親切にお爺さんのお薦めのプランを教えてくれました。
それから「焚き火はやるのか?」とか「ご飯はこれからつくるのか?」等の質問とトイレや洗い場の場所などの説明があり、西沢渓谷に行ってきたことを伝えると・・・
「それじゃ~明日は、このバスに乗って・・・、ここの温泉に入って・・・一時間くらいしかないけど・・・このバスに乗るのがエエ・・・!」とお爺さんのお薦めプランをまた親切に教えてくれました。
それから暫くお爺さんと話し込み、頃合いを見計らって明日のことに話題を移すと・・・
お爺さんは少し考えるように皺の形を複雑に浮かべた後、
「明日はこのバスに乗って・・・、ここの温泉に入って・・・、このバスに乗るのが良い!」とまたまた親切に教えてくれました。
僕は心の中で「一時間くらいしかないけど・・・」と付け加えました。
とても親切なお爺さんの皺の数を数えすぎた為、すっかり辺りが暗くなってからのテントの設営となり、このあとはいつもの米炊きに神経を削り取られたり、洗い場で水を張りビールをキンキンに冷やしたり一連の通過儀礼をやり過ごしました。
今夜は星空はお休みで、その代わりに夜半過ぎから雨が降ってきました。
「雨降りと紅葉・・・」
みんなが寝静まった後、そんなことを考えていました。
それから天幕に当たる雨の音を独り数えながら・・・
『眠りの国』の入口の門の前を右往左往する時間をとても静かにやり過ごすのでした。
to be continued・・・