自国でのオリンピック開催が何か良いことの様に思われているが、本当にそうだろうか?確かにある程度の経済効果は期待できそうだし、出場する選手のモチベーションもいつもより上がるのかも知れない。ただ問題はその後だ。運良くメダルを取った選手やチームが一時的に世間の注目を浴び賞賛されても、そのスポーツ自体の取り上げ方が一変するわけではない。ロンドン五輪でメダルを取った卓球やバドミントン、女子サッカーもそうだ。祭りのみこしと同じで、4年に1度だけの条件付きでもてはやされるだけなのだ。これが長年の夢を追い求めた結果だとしたら、なんと空しいことだろう。いつになっても野球、サッカー、相撲、ゴルフぐらいがマトモな名称で呼ばれるスポーツで、あとは「その他のスポーツ」に過ぎない。日本人のスポーツ観が皆一様でつまらないのも、世界的大会で日本人選手(やチーム)が勝つ事だけがスポーツの面白さだと誤解しているこの国のバカテレビのせいだ。

 女子マラソン中継の度に出てくるポーラ・ラドクリフの世界記録は、安っぽい金メダルよりずっと素晴らしい。たとえ世界一の称号を手にしても、一瞬で忘れ去られるメダリストなどとは本質的に違うのだ。