いや今日ね先輩といつものように飯食ってて、突然たわいもない会話の途中で、
「俺離婚するから」


あ~そうですか。ってこら。いつもの冗談と思いきや、まじでした。そんな唐突に言われても返す言葉はないよ。あれだけ仲がいいと評判で、すぐさま家に帰ってたのに。タバコも酒も飲まない。ギャンブルも適度に自分の力量を知っての投資。


ま~詳しくは聞けませんでしたが、事情があるようです。


事情?


離婚率がものすごくアップしてきてる気がするんですが、そもそも離婚ってものすごく矛盾してる気がする。結婚という契り制度をいっそうの事この世から無くしたらどうだろう?そうすれば離婚も存在しない。ストレス要因だし。プレッシャーになるしね。


一生の契りを交わすのに離れてどうするん。裏切りやん。


自然に考えるとそういうことよ。やはり人間界には不変というものは存在しないのだろうな。
例えば君はいないものだと仮定して物事を進めてみよう。もう五年ぐらいたつからいい時期だと思うから。待ってた。ずっと奥の部屋の特等席を空けてた。リザーブドと書かれた札を立てて。よくぼくはそのテーブルの片方の椅子に座っては君との思い出を頭に思いうかべ、思わず笑みがこぼれるのを周りの席の人に見られるのを隠すために机に伏したものだ。携帯のサブディスプレイは常に見えるところに置いてある。いつも左腕につけた人から盗んだ時計を眺めてはあと10分だけと言い聞かせたものだ。



もういいよね?


君はどこにもいないんだよね?


きみがいないと仮定して生きてみよう。
ただ単に動いてるたくさんの物事を見るだけじゃあだめだ。本質を見逃すだけでなくその物事一つ一つの美しさに気付けない。

物事は常に動いてますから。様々なうねりを作りつつ。飲み込まれるのを恐れてはいけない。すでに僕は当事者であるから。途中下車は死を意味する。


と雪を見ながらの運転で思いました。パウダースノーは溶けずに道に振るいをかけて最後の飾り付けを行った。そこに無限のエネルギーを太陽が降り注ぐ。コープランドが聴きたくなった。雪は漠然と景色として捕らえるのではなく、一粒の動きを目で追う。そうすれば僕はかまくらの中にこそ神を見るだろう。