8万円加算のこと | whytyのブログ

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介護の前線から退き後方で頼りなくウロウロしか出来ない者が意見するのは憚られると思いつつも今年の10月から予定されている「新処遇改善加算」の内容についてはやはり物申したい気持ちが押さえられない。それぞれ介護・社会福祉の各専門職の組織代表者(お偉さん)や大学教授が居並ぶ介護給付分科会に対して失礼とは思いつつも介護現場に分割統治を持ち込んであとは各自で良きに計らえとこんなアホな方針を決めたことにため息が出ます。

 

この「新処遇改善加算」を算定する条件として「10年以上勤務した介護福祉士である介護職員が、月8万以上の賃上げとなる人、もしくは年収が440万を上回る人を必ず1名以上生み出すことが条件とされる」ことが12月の社保審介護給付分科会で決定されました。当初は勤続10年の基準でしたが、その後業界勤務10年もOKになりました。

 

月8万の金額を一部の経験・技能がある介護職員の鼻先にぶら下げ、10年以上の人には飴を、それ以外の介護職員や他の職種には鞭を使う如くの政策がいかに介護現場の実情と乖離し介護職内部で矛盾と分断を生み出し職場を混乱させるのか先生方は現場をよく理解されてないのではと疑問符が生じます。元気な職場では20代の若きリーダーが優れたスキルで10年選手を牽引し、指導をしている処もあり優秀な若き人材のやる気をどのように大切にして行くのでしょうか。

 

仮に定期昇給が5,000円の会社であれば16年の勤務年月を必要とする昇給額を「10年勤続の介護福祉士の介護職員」及び「リーダーとして活躍できる人」だけに突然政府の方針で給与規定を無視した16年分の賃上げをする恣意的なやり方は一部の介護職を札束で頬を叩くようなもので長続きはしないし必ず破綻すると思われます。又新処遇改善加算分の分配方法を事業所に委ね、10年以上の介護職員、その他の介護職員、介護職員以外の職種への配分を2:1:0.5の縛りを課したとしてもこの賃上げの仕様では介護人材の不足は全く解消しません。

 

介護現場では介護を介護職員だけがしているわけではなく、特に小規模の事業所では介護職員同様に生活相談員、看護師、セラピスト等の各職種が入浴排泄介助、移動・送迎、食事、リハ、アクティビティー等利用者の生活全般に渡り身体介護と生活支援業務を行っており、業務を兼任しながら全員で協力する介護を行っています。勤務表には相談員・介護職員・看護職員の区別はありますが「介護は全職種」で等しく支え合って行うのが利用者に優しい介護現場であり、その前提があるからこそ一人の利用者の自立支援に各職種の専門性が発揮されるのです。

 

そして介護福祉士資格を持つ生活相談員は介護にも相談援助業務にも優れているから介護職員から移動された人が多く、生活相談員を見ればその事業所の質が判ると言うくらいにある意味で会社の看板であり同時に優れた介護職員です。「新処遇改善加算」は介護福祉士資格の生活相談員との整合性、さらに介護福祉士資格のベテラン介護支援専門員との整合性が図られておらず木を見て森を見ない内容になっており、又病院で働く勤続10年の介護福祉士は加算から除外されており意図的なものか判断は出来ませんが分断が最初から仕組まれている加算です。

 

各専門職が連携を図り医療・介護の役割分担と連携の一層の推進を方針とする地域ケアシステム実現の基本方針と各専門職に分断要素を待ち込む「新処遇改善加算」の発想は言っている事とやっている事が全く逆であることに何故気付かないのか不思議です。

 

国が介護職員の賃金を引き上げようとする気持ちが本当にあるなら、8万円加算(手当)で一時しのぎをするのではなく基本の介護報酬(基本給)を上げるべきである。加算を複雑に益々歪(いびつ)にして一部分だけに飴を与え、残りの大部分を抑制する方法は全体の介護報酬(介護職全体の給与)を下げているのに、あたかも賃上げをしているような効果をねらう介護職や利用者を騙すようなものである。8%増税時の選挙公約「消費税を全額社会保障の充実と安定に使います」同様のたぶらかしをせず、つまり消費税を大企業の法人減税の補填に回さずに公約通りに全額を社会保障に使って介護報酬の基本部分にも少しお金を回せば介護職の賃金は自ずと上昇する。

 

国は介護サービス提供に益々制限を課しており、その結果今まで利用できていたサービスが自費でしか出来なくなり、介護保険サービスを出来るだけ使用しないように誘導している為、低所得者層は介護保険サービスから排除され始めている。介護報酬も大企業中心の利益の囲い込みが優先され、小規模事業所は散々に痛めつけられている。利用者の誰でもが理解できるように簡素化し大企業も小規模事業所も公平に扱う介護報酬にすべきである。

 

一方「新処遇改善加算」が施行出来るのだろうかとの疑問も残る。財源の内訳は10%の消費税値上げ分より1千億、介護保険料と利用者負担で1千億、合計2千億円の予算が組まれているが、果たして10月に消費税の値上げをしない時はどうなるのであろうか。政権はアベノミクスの肝であるデフレ脱却を謳い異次元の金融緩和を6年間行った。結果国民の年金資金までつぎ込んで大企業だけが優遇される官製バブルが継続した。

 

しかしこの年末に2万円を割り込んだ株安を日銀がETF(上場投資信託)に715億円買い入れてようやく平均株価2万円を維持したことがネットにも散見しており、従来からも日銀が買い支えして官製の株相場を作ってきたことを見ても本当にデフレ脱却が出来たと言えるのだろうか。デフレ状況下で消費税を値上げすれば景気は低迷し弱者は益々追い詰められ、格差社会に一層の拍車がかかるだろう。

 

介護職員こそ消費税値上げ反対に声を大にして叫ばねばならない。介護人は弱者への感度を鋭くすることも大切である。デフレ状況で消費税を上げれば年金だけの高齢者や生活保護世帯の生活がどうなるのか想像に難くありません。昨年10月に3年連続して保護費の支給額が減額されることが決定された生活保護世帯はさらに厳しい生活に追い込まれます。

 

一方選挙で不利になると思ったら前回のように政治判断だけで値上げ延期の選択肢もありうるし、そうなった時でも新処遇改善加算を施行するのであろうか。今年はこの厄介な新加算に悩む方が多いと思いますが、目先の現金に心を奪われることなく介護職全員での利益を最優先し一致団結して解決されることを望みます。