パニック障害はなぜ多くの人が発症するのか?

パニック障害はなぜ多くの人が発症するのか?

多くの人がパニック障害を発症してしまうのはなぜか?パニック障害専門カウンセラーからの視点であらゆることを書き綴っています。

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■ パニック障害の症状について

 

パニック障害というのは、パニック発作という症状が中心となっており、このパニック発作が慢性化してしまった状態がパニック障害です。(前回の記事、パニック障害とはなにか?の後半にパニック障害の診断基準を記載していますので、あわせてお読みください。)


 

パニック発作の症状には様々なものがあり、どのような症状が現れるか?は人によって変わります。

 


下記に実際のパニック発作の症状をあげていきましょう。

 


【 パニック発作症状の一覧 】


 

 

・呼吸が苦しくなりうまくできない

 

 

・心臓が強くドキドキする

 

・身体全体、もしくは身体の一部の震え

 

・口のなかがカラカラに渇く

 

・喉が詰まる感じ、窒息感

 

・死んでしまうのではないか!?という不安感

 

・身体や顔の火照り、もしくは寒気

 

・自分の身体が自分のものでない感覚、離人感

 

・胃の不快感や吐き気

 

・胸がズキンと痛む

 

・手や足のシビれ、じんじんする感覚

 

・冷や汗をかく

 

・大量の発汗、じっとりと汗ばむ感じ

 

・正気から離れ自分自身をコントロールできない感覚

 

・立ちくらみや気が遠くなる感覚

 

・めまいや耳鳴りが頻繁に起こる

 

 

 

上記意外にもあるかもしれませんが、ここであげたものが、よく起こりやすいパニック発作の症状です。

 


どれかひとつが頻繁に起こることもあれば、いくつかの症状が立ち替わり入れ替わりになることもあります。

 


パニック発作の症状出現には規則性はなく、どちらかというと変則的です。これは個人差が大きく関係していると思われ、この症状は出るがこの症状は出たことがない、ということも起こります。

 


また、パニック発作自体はいつどこで起こるのか?という規則性もありません。(後述しますが、予期不安というものによってある程度わかることもあります)

 


多くの人はなにか嫌な予感に包まれ、成すすべもない状態のまま、パニック発作に飲み込まれてしまいます。「いつどこでなにが起こるかわからない」という感覚も、パニック発作の怖さに拍車をかけているのでしょう。

 


パニック障害というのは大別して、身体の嫌な感覚と感情などの感覚、二つの感覚に襲われます。ドキドキ感や震えなどの身体感覚、そして不安や怖さなどの感情の感覚が発生し、両方の苦しさを体験してしまうものです。

 


なにかしらのパニック発作が突然始まり、数分から数十分後にはピークへ達します。多くの方は数分、もしくは長くても30分以内に収まることがほとんどです。

 


ですが稀に1時間以上続く場合もあり、これもある程度個人差が関係しています。

 


はじめてパニック発作を経験する人の多くは、いったい自分の身になにが起こってしまったのか?わからず頭のなかが混乱してしまいます。

 


そして救急車を呼び病院に行くのですが、多くは数分から数十分で発作が収まってしまうので、着いたころにはすっかり調子が良くなっている、ということがほとんどです。

 


パニック発作をはじめて経験した人は、いったいあの感覚はなんだったのか?キツネにつつまれた感覚を持つことでしょう。

 


病院で精密検査を受けたとしても、ほとんどがどこにも異常を発見することがなく、パニック発作の原因が判明することはありません。

 


最近はパニック障害という言葉もある程度浸透してきたので医師によってはパニック障害と診断することがあります。ですが、すべての医師が知識があるわけではありません。

 


もしかしたらこころの病かも?と考え、精神科や心療内科をすすめる医師もおりますが、なかには「症状が出ているときでないと診察のしようがない」ということを伝える医師もいます。

 


検査を受けてもどこにも異常がないのであれば、自分から思いきって精神科、心療内科などを受診してしまうのもひとつの方法です。

 


■ パニック発作が起こる様々な場所、場面など

 


パニック発作はどのような場所や場面で起きるのか?これも人により様々です。

 


ですが、ある程度の起きやすい場所や場面というのはあります。ここでも下記にパニック発作が起こりやすい場所や場面などをあげていきましょう。

 


電車や車、飛行機といった乗り物のなかで

 

 

・病院などの待ち時間で

 

・スーパーやコンビニなどのレジ待ちで

 

・美容院のシャンプーやカット時に

 

・銀行や郵便局などの待ち時間に

 

・ビルやデパートなどの上の階に行ったときに

 

・歯医者で治療中の時に

 

・会議やミーティングなどのときに

 

・外出で家から離れたところに行くときに

 

・ウォーキングや散歩などの途中で

 

・家でリラックスしくつろいでいるときに

 

・夜眠るときや寝ている最中などに

 

 


など、上記にあげた場所や場面にて比較的多くの人がパニック発作を起こすことが多いようです。

 


そして、上記の場所や場面などでパニック発作が起きた場合、それがひとつのトラウマとなり、同じ場所や場面に身をおけなくなる、という循環に陥ることは多いものです。

 


本来はパニック発作が起きたことと、起きた場所や場面には関連性はありません。

 


たまたまその場所でパニック発作が起きたので、その場所でまたパニック発作が起きてしまうのではないか?という恐怖心から自分で関連付けをしてしまい、その場所や場面に身をおけない、という負のスパイラルに入り込んでしまいます。

 


■ パニック発作が起こる割合について

 


パニック発作が起こる割合は、これも個人差があるため一概には言えません。ですが、だいたい多くの人は初期の頃は2~3日に一回程度が平均でしょうか。

 


人によっては毎日起こる人もいますし、数時間に一度と頻繁に起こってしまう人もいます。起こる割合については本当に人それぞれです。

 


後で詳しく述べますが、パニック発作というのは心身に受けるストレスや元からの性格傾向、考え方の偏り、親との関係性、過去に経験したトラウマなどがきっかけとなり発生します。

 

 

本人はとくに気にしていなくても、深い意識のなかでそれがひっかかっており、なにかしら外部からの刺激を受けたとき意識のフタが外れ、それが起因となりパニック発作が起こります。

 


そして、深い意識のなかで外部からの刺激などを受け止めるキャパシティーを超えてしまうと、限界を超えてしまった代償としてパニック発作が起きるというプロセス成立していきます。

 


どの時点でキャパシティーを超えてしまう、限界を超えてしまうのか?刺激を受けた深さによってパニック発作が起こる割合も変わりますので、パニック発作が起こる割合は人それぞれとなります。

 


 

 

︎1800人以上のカウンセリング経験から見たパニック障害


私はこれまで「パニック障害専門カウンセラー」としてカウンセリングを通し、多くの方の改善までのお力添えをしてきました。

 

 

その多くはパニック障害と診断されてから10年以上経過している方がほとんどでした。いわばパニック障害を経験し尽くしてきたプロ、ある意味強者揃いです。

 

 

お力添えしてきた方々は、家から一歩も出れない状態の方、特定の場所に不安や恐怖を感じる方、毎日決まった時間になるとパニック発作を起こす方、電車などの乗り物に乗れない方、うつ病や拒食症を併発している方など多岐にわたります。

 

 

そのようなパニック障害になってしまった方々にはある共通した特徴があるのを感じました。ざっとあげますと、

 


・生真面目でガンバリ屋さん
・自分よりも他者の考えや行動を優先してしまう
・自分に自信がない
・白か黒どちらか、という考えかた(100-0思考)
・元来が心配体質
・なにかしらのトラウマ体験をしている(全てではない)
・思っていることや感じていることを溜め込む

 


というものです。上記のような考えかたや行動のしかた、心持ちなどを見ると、本来の自分を自由に生きているというよりも狭く不自由な自分を生きているという印象を受けます。

 

 

もちろん本人的にはある程度の合理性がある生き方なのですが、こころの奥深くでは心底納得してはいないという態度も垣間見えます。私はある意味、このような本来の自分ではない生き方をしパニック障害を発症したことを別名「生きかた障害」と呼んでいます。

 

 

現に、これまでの生きかたを省みて一歩ずつ着実に本来の自分を取り戻した方々は、パニック障害を改善され自由を取り戻しました。

 

 

後ページで詳しくお話しますが、パニック障害の医学的なメカニズムとして脳内における神経伝達物質の異常が原因と言われています。

 

 

これまで多くの研究がなされ、ほぼこの見解が正しいであろうとされています。それにともないパニック障害の医学的な治療には脳内の神経伝達物質異常を正常に戻す「薬物療法」がメインになっています。

 

 

病院という機関は基本的に「薬物療法」ありきの治療です。薬物には副作用や離脱症状が発生することがほぼ当たり前となっており、それを見越したうえで薬物療法の治療を施していきます(副作用や離脱症状には個人差があります)。

 

 

薬物も使い方次第ではありますが、そういったある意味「危険」を伴った治療ではなく、先ほど申し上げた通り、自分のこれまでの生き方を省みて、本来の自分を取り戻していくこと。

 

 

そうしていくことで脳内の神経伝達物質にも変化が起こり、薬物に頼りきりにならずともパニック障害からの回復はなし得ると多くのカウンセリングを通し確信しています。

 

 

パニック障害とはいったいなにか?から始まり、パニック障害からの脱却へのプロセス、自分を取り戻すとはどういうことか?にいたるまで、このブログを通し細部までお伝えしていきます。

︎パニック障害の歴史

「パニック障害」という病名がはじめて公表されたのは1980年代であり、米国の精神医学会で公式の診断のひとつとして認められました。

 

 

いまから約36年ほど前ですね。それまではたんに「不安神経症(不安/恐怖反応)」というくくりに分類され、ひとつの症状として認められてはいませんでした。それをひとつの症状としてとらえ、たんなる不安神経症とはまた違うという見解をもち「パニック障害」を発見したのは1960年代、米国の精神科医クライン博士でした。

 

 

博士は不安神経症で治療を施していた一部の方々に実験として、あるうつ病治療薬を投与しました。その結果、その薬を服用した方々の多くが不安/恐怖反応(現在のパニック発作)を起こさなくなったことに驚き、本格的にパニック障害の研究をはじめました。

 

 

そしてその後、博士はパニック反応はこれまでの不安神経症とはまったくの別物である、という趣旨の論文を発表し、先ほどお話した通り米国の精神医学会で公式の診断名となりました。

 

 

余談ですが、実は日本でも古くは江戸時代にパニック障害的な症状が確認されており、当時はパニック障害とはわからないまでも、古い歴史があります。

 

 

パニック障害の診断基準(DSM-Ⅳ)

(A)
※1と2の両方を満たす
1:予期しないパニック発作が繰り返し起こる
2:1回の発作後1ヶ月以上、次の症状のうち1つ以上が続いている
a:また発作が起こるのではないかという心配
b:発作またはその結果が持つ意味(例:取り乱す、心臓発作を起こす、気が変になる)についての心配
c:発作に関連した行動に大きな変化が起こる
(B)広場恐怖が存在する場合

 

(B2)広場恐怖が存在しない場合

(C)パニック発作の原因が、物質(例:薬物乱用、投薬)や身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない

(D)パニック発作は、次のような他の精神疾患ではうまく説明できない。社会恐怖、特定恐怖、強迫性障害、分離不安障害、外傷後ストレス障害(PTSD)