3月11日の東日本大震災で発生した福島第1原発の事故は、約9カ月をへてようやく原子炉の冷温停止状態を達成した。原子炉格納容器を水で満たし圧力容器ごと冷却する「冠水」の断念など、多くの曲折を越えて一定の安定状態にこぎつけた。今後は廃炉に向けた作業が始まるが、溶融燃料の取り出し方法の模索など課題は山積している。(原子力取材班)

 ◆冠水断念

 津波による全電源喪失で冷却機能が失われた中、原子炉内や燃料貯蔵プールの燃料をどうやって冷やすかが、当初の焦点だった。消防車を使って原子炉に水を入れ、淡水が足りなくなると海水も注入したが、後の解析で燃料は1号機で早期に溶け、2、3号機も数日以内に溶けていたと判明している。

 冷却を進める中、建屋地下などに高濃度の放射性物質(放射能)を含む汚染水が見つかり、海への流出も発覚。保管場所の確保を迫られた東電は、比較的低濃度の汚染水を海へ放出し、国内外から批判を浴びた。

 こうした中、東電は4月17日、事故収束へ向けた工程表を公表した。燃料冷却のため、格納容器を水で満たす「冠水」計画を打ち出したが、大量注水にもかかわらず水位が確保できず、結局断念に追い込まれた。

 ◆循環注水

 冠水に代わり打ち出されたのが、「循環注水冷却」。原子炉から漏れて建屋にたまっている大量の汚染水から放射性物質を取り除き、原子炉冷却に再利用するシステムだ。

 6月に稼働した冷却システムは、再三トラブルを繰り返しながらも、高濃度汚染水を減らすことに成功。原子炉への注水を増やせるようになり、9月には1~3号機すべてで圧力容器下部の温度が100度を下回り、放射性物質の放出も減って、「冷温停止状態」の条件が整い始めた。

 ところが、11月初旬、2号機原子炉から放射性キセノンが検出され、一時、核分裂反応が連続して起きる「臨界」を疑う騒ぎになった。東電の解析で、溶融燃料は格納容器底のコンクリートを侵食し、外殻に当たる鋼鉄の板まで37センチまで迫っていたことも明らかになり、厳しい原子炉内の状況が改めて示された。

 年明けからは、最長40年とされる廃炉の工程が本格化するが、幾多の困難が予想される。

 強い放射線を出す溶融燃料の取り出しのため、格納容器を水で満たす「冠水」を計画しているものの、注水を続けながら漏洩(ろうえい)場所を特定、補修する作業が必要で、エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長は「前例も装置もなく、未知の領域だ」と指摘している。






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