今でも覚えている「 良い話 」が有ります。
靴屋で店長をしていた頃に聞いた話で( ※約20年前ぐらい❔)
『 職業に貴賎は無い 』という内容でした。
確か横浜に出張で行った際、参加した講演会で聞いた話でした。
内容はこんな感じです。
腕利きの日本人料理人の方がいました。
その方は日本国内で飽き足らず
本場の国(どの国か詳細な場所は覚えてません)に渡り
修行する事を決めました。
修行先は一流店に入れましたが、新人という事もあり、
掃除や皿洗いといった雑用が主な仕事でした。
海外に行き、腕を磨きたかったのですが、
1週間経っても1ヶ月経っても、半年経っても
何ら調理をさせてもらえません。
いつまで経っても雑用ばかりでした。
ある日、いつものように掃除をしていると、
清掃を専門にしているおじいさんが居ました。
すると、料理人の方はそのおじいさんに
ついつい愚痴を言ってしまいます。
「自分は調理の腕を磨きに来たのに、
いつまで経っても雑用ばかり」
「嫌になったので日本に帰ろうと思う」
すると、そのおじいさんは愚痴に応えるのでは無く
「あちらで食事を楽しまれている方を見てごらん」
「まるで窓ガラスが無いかのように
外の景色を楽しみながら最高の料理を嗜んでらっしゃる」
「最高の料理を最高の環境で提供出来る事が
私の一番の誇りなんだ」
と言いました。
その瞬間、料理人の方は気づいたんですね。
雑用や掃除は下っ端がやる事で、
料理は選ばれた一部の崇高な人間しか
出来ない事と差別していた事を。
その考えを凄く恥じたはずです。
その後、料理人の方は
「もう料理がどうとか、
掃除がどうとかではなく、
私もあのおじいさんみたいに
誇りを持てる人間になろう」
と決心したそうです。
数日後、お店の責任者の方が
料理人の方のところに来て
すっと包丁を手渡し、
一番得意な料理を作ってみて下さいと言い、
修行に行って初めて調理をしたそうです。
そして
『その時に握った包丁の重みは
一生忘れない』
こんな感じの講演内容でした。責任者の方は料理人の方が
どんな仕事であっても手を抜かなくなったのを
しっかり見てくれていたのだと思います。
会社員時代、
アルバイトの採用、研修時にこの話を必ず行ってました。
なぜなら社員とアルバイトの行う業務には差が有ります。これは
決して上位下位があるというわけではなく、指示を出す側と
指示を受ける側の業務内容に差があるからだと私は考えます。
でも一般的に見れば、アルバイトの業務は簡易的な事が多く
誇りを持てる仕事であっても、そうならない事の方が
目立ちました。そこで上記話を伝え、どんな仕事であっても
誇りを持とうね、と伝えました。手本となる為に
私自身、率先垂範して清掃や雑用も行いました。
このような話だったり、似たような話をあらゆる場所で
色々な方が発信してくれれば
「職業に貴賎は無い」という
気持ちを持った人が増えるのに、といつも思ってました。
たかが一個人のブログですが、上記料理人の話を読んで
皆さんが自分自身に照らし合わせ、
誇りをもってくれたら嬉しいです。