株式投資が難しいし根本的な原因・・・くり返しですが

 実態→需給→株価の3つのずれが、株式投資を難しくする要因です。しかし、そのことを理解した上で利用できれば、チャンスも広がってきます。前回見たニコンの例はその典型ですが、これは、需給が実態を先取りしてしまった例でした。一般的な相場常識としては、ニコンの例のように、需給や株価が実態を先取りして先に動いてしまうことが多いのですが、その逆もあります。前々回、前々々回取り上げた98年の日興證券の相場はその典型でした。明らかに実態が良くなる好材料が見えているのに、株価はいったん安値を更新してしまい、しばらくしてから高値を取りにいったという例です。実は、大リストラなどによる復活株の動きは、98年の日興證券のような経過をたどることが多いです。そこで、復活株については次のような投資戦略が考えられます。

小泉流「復活株の捉え方」

(1)驚くような再建策が発表されることを確認する

(2)再建策発表直後は見送り、半年以上様子を見る

(3)経営に目を見張るような変化が出てくることを確認する

(4)さらに、業績に明確に回復に向かい始めたら買う

 この戦略で特徴的なのは、驚くべき再建策が発表されたらその直後の急騰を見送ること、さらに、半年以上経って、明確に業績回復が確認できてから買うことです。そんなことでは、株価の動きに乗り遅れてしまうのでは?という疑問もあるかもしれません。しかし、私の経験則では、8割方の復活株については、こうした戦略で上手くいくと思われます。記憶に新しいところでは、7201日産自動車で約3倍増、8248ニッセンで約5倍増、7969タカラで約5倍増と、この戦略を当てはめれば取れたはずです。よく、理想買いと現実買いということが言われますが、復活株においては理想買い局面は短く、現実買い局面での上昇幅はゆっくりと始まりながら大きく育つという特徴があります。
なぜ、復活株はすぐに上昇しないか

 なぜ、再建策発表直後の相場はあまり長続きしないのかについてですが、もともと経営状態がかなり悪化している状態であるわけですから、再建策の成果が出てくるのにも時間がかかるからだと思われます。目先一通り買い進まれた後には、「現実的には悪材料が、まだたくさん残っている」ことを投資家が思い直す局面が来ます。「大騒ぎしてしまったけど、よく考えると、まだいろいろ不安もあるよね・・・」という雰囲気になります。そうなると、その理想買い相場で高値つかみをしてしまった投資家も大勢出てきますし、その銘柄は投資家の信頼を一度は裏切ることになります。投資家の信頼を一度裏切ってしまった銘柄というのは、今度はなかなか好材料に反応しづらくなります。ですから、本当に企業体質が大きく変化して、業績が完全に回復トレンドに入ってきても、その初期段階では、投資家は半信半疑な態度を取ります。そして、株価は徐々に上昇していく傾向があります。しかし、経営が明らかに変化し(その頃には、経済雑誌や経済ニュースなどでも取り上げられはじめて、確認することができることが多いでしょう)、企業の復活を確信させてくれるような新製品も出てきて、さらに、業績も大幅な上方修正などが出てくるようになれば、それは、完全に回復トレンドに入ったと見て良い状態でしょう。株価は、最初はゆっくりでも、最終的には大きく水準訂正されることになります。ここで大切なことは、はじめからこのようなパターンを頭に入れておくこと。そして、「経営状態」、「新製品」、「業績」の3つをしっかり確認することです。特に、業績に明確に勢いが出てきて、それに裏付けられた株価上昇が始まると、しばらく上昇トレンドが続く可能性が高いです。復活銘柄の場合には特に「業績の裏づけ」を重視するのが良さそうです。
典型的な3事例・・・日産自動車、ニッセン、タカラ

 先ほど例をあげた3つの銘柄は、典型的にこれらのパターンが当てはまります。7201日産自動車はゴーンが乗り込んできてから一年程度たったころに、カッコイイ新車がどんどん出てきて、業績の回復トレンド入りも確認できるようになってきました。しかし、その時でもまだ株価は300円台で買うチャンスがありました。8248ニッセンの場合には、2001年4月に英国ロスチャイルド系の企業再生ファンドが筆頭株主になり、11月には早くも業績の大幅な上方修正がありましたが、株価が本格的に上昇開始したのは翌1月になってからでした。7969タカラは2000年4月にコナミが筆頭株主になり役員が送り込まれましたが、その年末にはベイブレードとイーカラのブームが明確に見えてきて、業績の大幅な上方修正見込みなども報じられました。しかし、株価が本格的に上昇開始したのはやはり翌1月からでした。今後もたくさんの企業再生例が出てくるでしょう。特に注目されるのはロスチャイルド、リップルウッドなど実力派の企業再生ファンドや、コナミのような“再建屋”として折り紙つきの企業などの動きです。そうした実力派の再建請負人が目をつけた企業については、以上のようにじっくりと再生の様子を確認して投資していくと、失敗を最小限にしながら、大きなチャンスをモノにできる確率が高められると思います。

以  上