「相場は相場に聞け」という格言があります。それは、株式市場では目ざとい人たちがいち早く情報をキャッチしたり、相場の方向性をつかんで動き始めるものであり、そうした動きが相場の動きに現れ、今後の先行きを示唆するものとなる…という意味です。 最近では03年5~6月頃に、経済状況が暗い中で大きな出来高を伴って急上昇し始めました。当時は「この動きは何だ!」と思う人が多かったわけですが、後から振り返ると、それは目ざとい人たちが本気で資金投入し始めた動きだったのであり、日経平均が7000円台から12000円台に上昇する前触れだったといえます。 このように、「この動きは何だ!」というのは、サプライズを伴った感覚なわけですが、市場の雰囲気からして違和感があるという状態であり、値動きの大きさもさることながら、出来高の大きさを伴っていることが大切です。出来高が増えるというのは、大きな資金が動きだしている証拠だからです。 そうした意味では、今年(2005年)9月に入ってから、東証の出来高が9日に30億株、20日に32億株と、立て続けに史上最高を更新しました。80年代のバブルのピークも超えているということで、驚くべき出来高の増加ぶりだということになるでしょう。 2005年9月現在、株式市場では「なんで相場はこんなに強いんだ」、「いや、こんなに強いのはおかしい」というように気迷い感が充満しています。しかし、「この動きは何だ!」という感覚が起きたら、それは相場の大きな変化点に差し掛かっている可能性があります。 特に、出来高が史上最高を立て続けに更新しているというのは、相当大きな資金が動きだしていると考えられます。いろいろ理屈はあるでしょうが、史上最高の出来高が更新されているという事実は確かであり、相当大きな資金が動いていることも確かです。 そういえば、1980年代のバブルも、80年代半ばから急激な出来高増加を伴って上昇し始めて、89年のピークまで大きく膨らんでいきました。その背景では、NTT株の放出、JRの民営化など、民営化の大きな流れがありました。今回も道路公団や郵政事業などの民営化の流れがハッキリと見えてきました。そうした動きと、大きな資金の動きがリンクしていると考えることは、そう的外れではないと思います。大きな上昇相場が始まっている可能性が出てきているのではないでしょうか。
以 上