今期の決算は、会計上の負の連鎖に悩まされる企業が多いだろう
①:業績悪化に伴う保有株式・子会社株式等の減損
②:固定資産の減損
①、②により税前利益に多大なインパクトを生じさせ、タイプ①以外に企業においてはスケジューリングを行わなくてはならないのに対し、固定資産の減損・子会社株式の減損はなかなかスケジューリングができないものが多いため、結果その部分に関しての繰延税金資産が計上できなくなる。
結果①、②で落としたものに対して繰延税金資産が計上できなくなり、ダブルのインパクトを生じさせることとなる。
税効果ものは、ダイレクトに金額が動くのでクライアント側からも、なんで取り崩さなくてはいけないのと突っ込まれることが多い。『監査委員会報告第66号繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い』にあてはめ、機械的に処理せざるおえないところがある会計士と、実際の企業力を見てくれと言ってくる会社側と、なかなか着地点は見出せない。
クライアント側のいいぶんも、わかるだけにつらいことが多い。
タイプ3とタイプ4、この2つにも差がありすぎる。かたや5年分の課税所得をみれるタイプ3と、翌期分しかみれないタイプ4。この2つのタイプ間での判断だけでも、うん億という金額が変わるだけに、慎重な判断が必要となる。
あるクライアントの経理担当取締役から、「平準化するという名目の税効果が、一番企業の財務諸表にインパクトを生じさせることになっている。こんななら、繰延税金資産なんて計上しないほうがいい。あんまりいい会計基準ではないと思う」
この意見には俺個人的にも賛同する部分が多い。
今期の決算は監査人としても、胃が痛い。