記事より(NIKKEI)
東証1部上場の不動産会社、アーバンコーポレイションは13日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日受理されたと発表した。負債総額は2558億3200万円で上場企業では今年最大。主に外資系ファンドから資金を調達して分譲マンションやオフィスビルを開発、転売するビジネスモデルで急成長したが、不動産市況の低迷で経営環境が悪化。信用力が低下し資金繰りが行き詰まった。
同社は1990年5月に不動産仲介業を目的に設立し、その後、分譲マンション「アーバンビュー」シリーズで業容を拡大。オフィスビルや店舗、宅地など低収益の不動産資産を取得し、改修・改装して転売する「不動産流動化事業」で業績を急成長させた。
2008年3月期は連結売上高で2437億円、経常利益617億円、純利益で311億円を確保したものの日本格付研究所(JCR)が、アーバンコーポレイションが過去に発行した公募普通社債の格付けを「トリプルBマイナス」から「ダブルBプラス」に1段階格下げ。信用不安が広がり、経営が行き詰まった。
東証2部のスルガコーポレーション、東証1部のゼファー、そして今回のアーバンコーポレイションと上場不動産系の会社の倒産が続きます。
民事再生の適時開示と同時にだされた下記開示要項について、某有名法務ブログにおきまして『ただの備忘録』という形をとっておられますが実質的には問題提起をしておられます。
◆「2010 年満期転換社債型新株予約権付社債の発行(第三者割当)のお知らせ」の一部訂正及び営業外損失の発生について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120080813
このような法務的な問題は専門外でもありますので、ここでは触れず(触れるほどの知識もありませんし)、個人的に会計的な落ちじゃないのと思われるところを一点。
今回発生することになった58億円につきましては、これまた民事再生のお知らせと同時に開示された第1四半期にかかる決算短信におけるP/Lには盛り込まれていない模様です。
上記URLにて短信にいってP/Lを見ていただければわかりますが、デリバティブに関しては評価損として402百万円しか計上されていません。一方で支払手数料が40億円程度計上されておりますが、今回発生事項をこの科目では処理しないでしょうから、やはり計上はなされていないと考えられます。
しかしながら、短信発表時において既に損失の発生が確実なものである以上、修正後発事象として盛り込むべき可能性がるのではないでしょうか。
この「修正後発事象」とはこのような事象をさします。
財務諸表(商法の計算書類、連結計算書類及び証券取引法の財務諸表(連結及び中間を含む)をいう)を修正すべき後発事象(従来の第一の事象、以下「修正後発事象」という)は、決算日後に発生した事象ではあるが、その実質的な原因が決算日現在において既に存在しており、決算日現在の状況に関連する会計上の判断ないし見積りをする上で、追加的ないしより客観的な証拠を提供するものとして考慮しなければならない事象であるので、重要な事象については、財務諸表の修正を行うことが必要となる
ちなみに、ググって一番最初にでてきたので、あずさ監査法人のページから上記修正後発事象の説明は拝借してきました。
アーバンの監査法人は、そう「あずさ」監査法人
皮肉なものですね。。。
確かに、社債の発行が6月26日であるのに対して、直接的に損失を生じさせることになったスワップの契約自体は7月8日が取引日であるため、修正後発の対象にはならないってことなのかもしれません。
が、明らかに今回の資金調達スキームは転換社債とスワップは両方が組み合わさったスキームであり、またスワップ取引を行うことに関して社内的意思決定は6月30日時点では明らかに行われているでしょうから、やはり修正後発事象として取り扱うべきものだと思われます。
まあ上記ブログで指摘なされている事項に比べると、すでに民事再生が決定されている企業だけに、P/Lの金額が変わっったところで、そこからのインパクトなんて小さいですがね。