12月1日付けの新聞紙上等で発表されていましたので、すでにご存知でしょうが、今回の定期採用において大手法人はどこも大量雇用を行いました。
あずさ監査法人 ・・・554人
あらた監査法人 ・・・248
監査法人トーマツ・・・870
新日本監査法人 ・・・770
マジ多いですねこの人数。中規模監査法人でも大きいほうだと思われる「三優監査法人」のHPで公表されている人数構成を見る限り全体で150人程度のようですから、この大手各法人の採用人数って、そのような中規模の法人まるまる1つと合併したよりも、遥かに大きなインパクトがあるのです。
これだけ、多くの人員を採用するとなると、監査法人側にとっても相当なるコスト増になるはずです。
どれくらいの影響が出るかを試算してみますと、まず人件費ですが、大手法人は今期に軒並みスタッフ1年目の給料のベースアップを行ったようで、だいたいどこも月33~35万程度だといわれています。これを単純に×16ヶ月(賞与含む)で考えると、年間においては520~550万程度となります。したがって年間では30億円~40億円程度の人件費の増加となります。
また給与にまつわるものとして厚生年金がありますが、この厚生年金の会社負担分も結構なインパクトを生じさせます。単純に(賞与分の料率変更しないで)考えると上記の30億円に会社負担料率である7.5%をかけると2.1億円となり、結果2~3億円のコスト増加となります。
これに加え、それぞれに貸与することになるパソコンのリース料が1台あたり月額7000円程度だとしても年間で考えると84,000円、これが人数分だと4,500~6,000万円程度はかかるのでしょうか。
またこれだけの人員を増やすのだから既存のオフィススペースだけでは、収容できるわけはなく、今回の増加人数分を収容するためにフロアの増築をおこなわなくてはなりません。
そこで「東京オフィス検索 」なるサイトにて、東京駅周辺のオフィスビルの賃料相場をみてみました。
なんと都合のいいことに「トーマツ」の入っているPCPビルの16F、17Fが募集中だということなので、ここでの情報をみてみると、このビルのフロア面積は474坪だということ。
そして相場的に東京駅周辺の300坪を超えるオフィスビルの坪あたり単価は4万円くらいとのことなので、月額賃料にすると2000万円程度となり、年間で考えるとだいたい2億円程度が賃料と成ると見積もられます。
このほかにも、大量な新人に対する法人内での研修・各個人への交通費等々ありますので、やはり監査法人にとってかなりのコスト増になることは確実です。
で、なぜ各法人がこんなにもコスト増加がわかっているのにもかかわらず、だいたんな雇用をおこなったかというと、もちろん来年度より実施される四半期決算および内部統制監査に向けての人員確保であることは間違いありません。そしてこれらの実施にともなって監査報酬の大幅な値上げが可能であることを見込んでの大量雇用ということになります。
しかしながら果たして、どれほど報酬交渉がうまくいくのか。監査法人のパートナーには、そのような交渉には長けていない人も多いので、百戦錬磨の企業の役員との交渉においては、思ったほどの報酬アップとは行かない可能性もあります。そうなってしまうと、今回大量雇用した人たち(もちろん前からいる俺らもですが)を食わせていけなくなってしまいますので、パートナーのかたがた、くれぐれも頑張ってください。