記事より~
東京証券取引所の斉藤惇新社長は22日、就任後初の記者会見で、上場廃止基準に当たらないが、不適切な会計処理などの不祥事を起こした企業の株式を通常の市場から分離し、こうした株式を取り扱う「特設注意市場」を10月にも創設すると発表した。
不正会計問題を起こした日興コーディアルグループが上場廃止とならなかったことで「何らかの中間的な措置が必要だ」との声が高まり、新制度の導入につながった。
同市場に移行した企業は1年ごとに改善報告の書面を提出。東証が法令順守体制が整備されたと判断すれば、通常の市場での取引に戻す。3回目の提出でも問題がある場合は、上場廃止とする。
新興企業向けマザーズ市場に上場企業を呼び込むための活性化策も公表。上場審査の際に設けていた売上高の基準を撤廃し、上場後5年間は、売上高が伸びなくても上場廃止としないことが柱。
斉藤社長は会見で「市場の信頼を得るためには自由と規律のバランスが必要だ」と強調した。
会見に先立ち開催された東証の株主総会では、市場運営会社と市場監視にあたる自主規制法人を傘下に抱える、持ち株会社「東京証券取引所グループ」を設立する議案の承認を受けた。
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・「特設注意市場」の創設
・マザーズ上場にあたっての売上高基準の撤廃
【マザーズ上場審査基準】
http://www.tse.or.jp/listing/b_listing/guide/mothers/2.pdf
このほかにもこんなことが制度化されるようです。
・上場会社が行使するMSCBの月間行使数を上場株式数の10%を超えないよう東京証券取引所が必要な措置を講じること
・マザーズが上場審査に当たっても株式の流動性を保持するため流通株式数を25%以上になるようにすること、また5%未満になった場合には上場廃止とすること。
ライブドア等々で用いられたことから、いまや悪名高き資金調達のスキームとなってしまったMSBCを証券取引所にて制限することを盛り込んだようです。MSBCの行使数を制限することにより、一度にMSCBを行使することに生じてしまう株価へのインパクトを少なくさせる(分散させる)ということでしょうか。
一方、流通株式数の確保に関して、現行の制度においては上場にあたっての公募および売り出しにあたって新規株主を300人以上作ることとされています。この現行制度に加え今制度においては流動株式数の割合も規定しています。
このことで、えてして流通性が乏しくなってしまいがちな新興株が、その流動性のなさに漬け込まれ、やもすると仕手株等につかわれてしまうおそれへの抑止的効果を狙ったものでしょか。
【東京証券取引所 定例会見】
http://www.tse.or.jp/about/press/070622s.pdf
まぁ、制度改正にあたってはいろいろな趣旨・目的があるでしょが、今回の新制度の一番の目的(ことマザーズにかかる制度の改正の目的)は今夏開設されるジャスダックの新市場「NEO」・・・New(新しい) Entrepreneurs'(起業家達の) Opportunity(機会) への対抗策だと、個人的には思います。新ジャスダック市場の対象とする企業は、マザーズが対象とする成長性の高い企業といところでかぶってきますので、従来からの垣根を一段さげたということでしょう。