記事より~全日空、国内の全13ホテル売却へ・総額1000億円超

 全日本空輸は国内に保有する全13ホテルの土地、建物を売却する。不動産会社や投資ファンドなどを対象に月内に入札を実施、今年度中に売却先を決める。売却額は少なくとも1000億円を超える見通し。今月からホテルの運営を英系ホテル会社との共同出資会社に移管したのに続いて資産も手放し、航空事業に経営資源を集中する。

 売却するのは、旗艦大型ホテルの東京全日空ホテル(東京・港)や代表的なリゾートホテルである万座ビーチホテル&リゾート(沖縄県恩納村)など直営13拠点の土地や建物。運営受託や営業協力している18カ所は土地・建物を持っておらず、対象外になる。中国とオーストリアに持つ海外2拠点は引き続き自社で運営する


全日空もホテル事業の売り上げは

06年3月期にて46億円の営業黒字であるとのこと

(当中間はそれを上回るとの発表済み)


本業である航空事業は741億円の営業黒字ですので

その1割にも満たない営業黒字ですが

それでも黒字部門の売却になるので

全日空が本格的に本業である航空部門に

てこ入れしていこうとしているのがよくわかります


ちなみに前年度においては、このホテル事業部4億円の赤字でしたので

黒字に転換した今が売り時と思っての決断とも考えられますが

18年3月期にはホテル事業に対して422億円の設備投資を行っていることを考えると

全日空としては本当はこちらにも力を入れていきたかったのだが

売り手先から予想以上にいい金額の提示があったため

結局、売却に踏み切ったというのが妥当なところではないでしょうか



全日空はこの売却資金を09年に成田と羽田にて

発着枠が拡大することに伴った運行便の増加に費やすことのほか

08年に米ボーイングの新型中型機B787型機を世界で最初に導入するために用いるとのこと

ホテル部門の売却額が1000億円程度と新聞報道でいわれていますが

さてこの金額で全部航空機購入資金にあてるのかといえば

そんなことはありません


航空会社の航空機は全部が自社保有ってわけではないのです

なぜかって航空機は馬鹿高いってこと


では、ジャンボジェットがいくら位するのかってことですが

飛行機の値段とかでよく出てくるのが自衛隊でも使われているF15

このF15の値段はたまにテレビに出てきますが100億円位するとか言われます 

で、ジャンボジェットはというと現行のボーイングの747

これが200億円くらいらしいです

なんかここまでくると実感がわけない金額になってきますが


こんな馬鹿でかい金額の資産すべて自社保有にすることができません

そんな資金もないし、第一リスクが高すぎます

そこで航空各社は、航空機保有にあたって、リース取引を用いることになるのです


全日空の有価証券報告書をみてみると(有価証券報告書 設備の状況参照)

自社保有は109台、リース物件が87台とその約4割ほどを

リースにて保有していることになります

ちなみに有形固定資産として保有しているのが4,976億円、

リースを利用しているのが4,623億円となります


このように金額が大きい資産をリースする際に

用いられるリースがレバレッジドリース取引です


レバレッジドリースとは、リース会社が全額を出資して物件を取得するのでなく、投資家を募り少額の自己資金と第三者からの借入金により大型の物件を調達する仕組みだ。その背景には、航空機が100億円以上に上る極めて高額な物件であるということもあるが、最大の狙いは、投資家に対しキャッシュフローの安定を提供するところにある。レバレッジドリースの仕組みは、まずリース会社が営業会社(スペシャル・パーパス・カンパニー)を設立、全国から募った20~30の投資家が、物件価格の約20~40%を出資し、残りを金融機関から借り入れる。そして営業会社は、出資金と借入金をもとにメーカーから航空機を購入、それをユーザーである航空会社にリースするわけだ。出資した投資家は航空機のリース業から発生する損益を享受することになる。こういった投資家は高収益法人であり、その法人にとっては、中長期の利益計画の一貫として投資する。つまり、投資によって、投資家は小額の出資で大型の償却物件を所有したと同等の“償却”メリットが享受できるのである


200億円もの資産をリースするに際しては

リース会社自身も過大なリスクを負ってしまうことになります

そこで、投資家にリスクを分散することで自社のリスクを軽減することができるようになるのです

このレバレッジドリースにおいては

投資家側にも節税(実質的には税の先送りみたいなものでしょうか)効果が享受できます

17年の税制改革によって一部のレバレッジリースの投資家の

節税効果が見込めなくなったようですが

航空事業に関しては、改正法の適用が2年延長されたのでいまだにOKのようです


まぁ予断ですが、以前出張で金沢にいったとき

全日空ホテルに宿泊したのですが

エレベーター降りたら目の前にスッチー(今はCAですか)の集団がいました

やっぱり自社ホテルなのでANACAはここに泊まるのかと思い

ぜひ金沢にまた来たときには再度全日空ホテルをつかうと心に決めたのですが

今後は自社ホテルではなくせいぜい提携先程度になってしまうのでしょうね

そうするとANACAが必ず泊まるということにはならないのでしょうか。。。


ちなみに泊まったときに夜ANACAとホテルのバーで・・・

なんてことはなかったのでどちらでもいいんですけどね