マカロフをワルサーがコピーした?ワルサーPPスーパー | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

ワルサーPPは同社の傑作拳銃のひとつで、ドイツ軍や警察に愛用されましたが、いちばん口径が大きいものでも、.380ACP(9X17mm)なので威力不足が指摘されていました。そこで、PP用により威力の高い9㎜ウルトラ弾(9X18mm)が1936年に開発されましたが、適合する拳銃はとうとう開発されないまま敗戦を迎えることになりました。この弾薬に目を付けたのがソ連で、拳銃のほうはワルサーPPを参考に設計されました。これがマカロフ(PM)で、1951年に正式採用され、それまでの正式拳銃であったトカレフ(TT33)に取って代わりました。マカロフは将校用拳銃としてソ連軍に愛用されましたが、それに目を付けたのがワルサー社でした。9mmウルトラ弾を9mmポリスと改称して、ワルサーPPに採用したのでした。これがワルサーPPスーパーで、1972年に登場しました。警察用拳銃として、当時の西ドイツ警察に採用されることを目的としていました。しかし、すでにより威力の高い9mmパラベラム弾(9X19mm)を採用した拳銃が出ていて、ワルサーPPスーパーは西ドイツの一部の警察(バイエルン警察など)で採用されただけに終わりました。ソ連がワルサーPPをコピーしてマカロフとして、それを西ドイツがコピーしてワルサーPPスーパーとなったわけですが、9mmウルトラ(ポリス)と9mmマカロフにはわずかに寸法の違いがあるため、互換性はありません。なお、PPスーパーはシンプルブローバック、ダブルアクションの自動拳銃で、弾倉への装弾数は7発です。