S&W M36「チーフス・スペシャル」の兄弟、M38とM40 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

S&Wのリボルバーで、いちばん人気があるのは現在ではM29やM500などのマグナム拳銃かも知れませんが、.38口径ではM10ミリタリー&ポリスか、M36チーフス・スペシャルでしょう。前者は制服警官用として長い間使われましたが、後者は私服警官によって愛用されました。なぜなら、M36は弾倉(シリンダー)を5発として、小型化したからです。また、銃身は2インチの、いわゆる「スナブノーズ」が多かったのも、私服警官が隠し持つために便利だったからでしょう。

 

この隠し持つ(コンシール&キャリーなどと言われます)能力をさらに高めたのが、M38「ボディーガード」とM40「センティニアル」(または、「レモンスクィーザー」)です。M38は拳銃の服の下から取り出すときに、ハンマー(撃鉄)がひっかからないように、「ハンマーシュラウド」というカバー部分で覆われたM36のバリエーションです。しかし、ハンマーの一部は露出しているので、一般のリボルバーのように、ハンマーを指で起こして、シングルアクションで撃つこともできます。また、M36のハンマーをカバーする「ハンマーシュラウド」ラバーも売られていて、M38と同じようなスタイルにすることもできます。現在では、M38をステンレスフレームにしたM649があり、.357マグナム弾も撃てるようになっています。また、アルミ合金にしたM49「エアーウエイト」もあります。

 

M40はフレームが完全にハンマーを隠してしまった撃鉄内蔵式で、ダブルアクションオンリーのリボルバーになっています。このため、服にひっかかる確率はM38よりもさらに低いのですが、トリガーに指をかけながら引き出すと、暴発の恐れが高いのです。このため、グリップ後部に、いわゆる「スクィーズ・コッカー」があり、これを握らないと内蔵撃鉄がブロックされるようになっているのです。このために、「レモンスクィーザー」と呼ばれるのですが、S&W創立100周年記念モデルのため、「センティニアル」と呼ばれることのほうが多いのです。なお、このM40もステンレス製フレームのM640と、アルミ合金製フレームのM642「エアーウエイト」もあります。

 

M49「ボディーガード」はそのスタイルからか、日本の刑事テレビドラマによく出てきます。映画では「狼の挽歌」(Violent City、1970年)でチャールズ・ブロンソンと愛人ジル・アイアランドが使います。また、「The Job」(2003年、日本未公開)ではダリル・ハンナがこの拳銃を使用します。

 

M40「センティニアル」はメル・ギブソン主演の「リーサル・ウエポン2」で、女性警官のジャネット・ゴールドスタインがステンレスモデルのM649を使用しています。

 

 

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