ユニークな分解式小口径自動小銃AR-7 | ジャック天野のガンダイジェスト

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スモールアームズ(小火器)に関するエッセイです。同じアメブロで書いていたブログを継続して、不定期で更新して行きます。

アーマライトAR-7はフェアチャイルド社の銃器設計部門であるアーマライト部門が設計したユニークな自動小銃です。特長のひとつは分解できて、銃身や機関部をストック(銃床)の中に収納できることです。もうひとつはその状態で水に浮くと言われています(これには反論もあるようですが)。なお、このAR-7の設計にはあの有名なユージン・ストーナーは関係していません。彼がアーマライトに入社する以前に設計されたものです。

AR-7はもともとAR-5として、パイロットのサバイバルガンとして開発されました。不時着したときなどの自衛用ということです。口径は.22ホーネットで、収納してしまうと狭い戦闘機のコクピット内にも置けるというのが開発の狙いでした。しかし、実際にはアメリカ空軍に採用されず、AR-7として市販されることになるのです。口径はより一般的な.22LR(ロングライフル)に変更されました。これは小動物を撃つのに都合がいいからです。

AR-7は拳銃の銃身を延長し、ストックを付けたような形状であまりバランスがよくありませんでした。このため、アメリカでは当たり前になっている小動物狩猟用としてもあまり売れませんでした。しかし、ストックに銃身などを格納できる点がスパイ用とか、暗殺用として、映画にはたびたび登場することになるのです。

その代表は有名な「007/ロシアより愛をこめて(007/危機一発)」ですね。ジェームズ・ボンドが武器係Qから渡されたアタッシュケースの中にこのアーマライトAR-7が入っていました。そして、敵を狙撃するのに使われるわけですが、AR-7を撃つのは現地諜報員でした。ジェームズ・ボンドは肩を貸して、銃を安定させる役目でした。敵は大きな女性の顔の看板の口の部分に来たときに射殺されます。「やはり女性の口はこわいな」というジェームズ・ボンドの名台詞で締めくくりでした。

さらに、この映画では敵のヘリコプターにおそわれたジェームズ・ボンドがケースからこのAR-7を出して組み立て、反撃するシーンがあります。しかし、狙撃用はともかく、ヘリコプター相手では.22LRのAR-7ではまったくの威力不足のはずなのですが・・・。

このAR-7をやはり狙撃用に使ったのが、チャールズ・ブロンソン主演の「狼の挽歌」です。自分を裏切ったカーレーサーをレース場で待ち伏せして、やはりケースからAR-7を出して組み立て、レーシングカーのタイヤを狙って発砲。車は横転炎上して、相手は死亡します。さらに、裏切りの中心である元恋人役のジル・アイアランドをガラス貼りエレベーターの外から狙撃するのです。これも.22LRには威力不足だと思うのですが・・・。

また、AR-7はシドニー・ポラック監督の「ザ・インタープレター」という映画でも使われていました。プロの暗殺者はAR-7を使う、というのが映画のひとつの決まり事であったようです。

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