そんなんショートに決まってんだろ!
あ、ベリーはなしでね。
夏のこの時期…
どんな理由があるのかは別にして、バッサリ髪を切って、ふと身軽な顔をした女子が時々出現する。
たまに、とんでもなく似合ってない子もいるが、たいてい似合うかどうかは自分で把握してるから、失敗例は案外少ない。
[おぉ~♪髪切ったのかぁ☆]
たとえ普段蹴り入れてるような♀でも、ショートが似合っていれば途端にかわいく見えるもので…
思い切って髪を切ったのを見たら、褒めることにしているのだ。
というか、自動で褒め言葉が出て来るのだから仕方ない★
[…似合ってますか?]
とはいえ大絶賛するのもなんかだなぁと思うので、そこは軽く抑えて、普通の表情に戻す。
[いいんじゃん、かなり似合ってるよ]
[えっ?本当ですか?]
だいぶびっくり戸惑った反応が、なぜか毎回お約束のように返ってくるのだが…
[え~、何で切ったの?ってみんなに言われますよ]
それは、長い方がよかったのに…という意味なのか、せっかく伸ばしたのにもったいない…という意味なのか、突然切りたくなった背景を知りたくて言ってるのか…どれなんだろうな?
[結果、似合ってんならいいと思うけど]
[そうですかぁ?]
自分で切ろうと思ったんじゃねぇのかよ?と内心ツッコミ入れつつ…
[見慣れた頃に、みんなわかるよ]
[ん~、どうなのかなぁ?]
とか言いつつ…
普段は丸出しの素に、薄くはにかみをコーティングした表情になって、視線が上向きに変化し始める。
これも何だかみんな共通なんだけど、機嫌は悪くなさそうだ。
褒めるのも、単純に自分の[ショート好き]にすぎないのだろうけど…
一日くらい悪い気分じゃなく過ごせたら、それもいいんじゃないかと。
秋になって…
ショートだった髪が、肩くらいまで伸びていた。
[やっぱり、伸ばしたんかぁ]
[たぶん、またそのうち切りたくなりますよ]
現状維持…
そういう思考よりも先に、自分に輝きを与えるように変化を取り入れていくんだろうな、女子のみなさんは。
だから、止めない。
自分的には残念ではあるけど★
何年か経って、どこかでバッタリ出くわした時…
[あの時、褒めてくれましたよね]
またショートにした髪に手を伸ばして、軽く誇らしげに笑う。
よく覚えてるなぁ…
と思いながら、悪い気はしない。
褒められて元気が出る…髪を切ったのは、ちょうどそういうタイミングだったのかもしれないな。
しかし、夏の牝馬で、よくたてがみをモヒカンショートにしてるのがいるけど…
汗で膚がかぶれやすいとはいえ、あれはちょっとなぁ。
さて、アイビスサマーダッシュ。
鍼を打ちながらLSD状態で朦朧と考えていた、新潟千直の好走条件。
☆外枠有利。
開幕週であろうと絶対の鉄則。
おそらく踏まれ続けている内側と、千直(あるいは開催最後)にしか踏み荒らされない外側の差が慢性的に出ている気がする。
そして、基本的にラチに頼って走る馬の習性も影響しているように思う。
☆ダート馬が激走する。
これは理由がよくわからない。
巷間言われているような、ダートのワンペースの走りが千直のペースと直結するのが理由、というのは、たぶん違うと思う。
むしろ血統に理由がありそうな気がする。
これは、新潟千直のペース特性と関連するので、詳細は後述する。
ちなみに、条件戦とアイビスサマーダッシュで明らかに異なるのは、極限のスピード勝負になるこの重賞では、ダート馬なんか用無しということだ。
ダートを使っていたとしても、本来の適性が芝にある馬しか来れない。
☆牝馬が強い。
牝馬の方が夏に強い。
それは確かだが、これほどまでにアイビスSDで牝馬優勢なのは、明らかに千直の特異な特性を物語っている。
これも理由は後述する。
☆騎手は村田、西田
千直に最も乗り慣れているのはローカル騎手で、この二人は千直の勝ちパターンを知悉しているとみていい。
[千直の一誠は本当に上手い]
双璧を成す西田も舌を巻いていたほどだ。
ここで千直の特性を考えてみると…
テンの1ハロンは飛ばさないで、抑える。
ここでスピード任せにガンガン行くと終いタレるから、ここが最初の鍵。
これがいい位置を取りに行くために激化する普通の短距離戦との違い。
この後の3ハロンで徐々にスピードを乗せていくから、ラップは上がる。
そして最後の1ハロンで終いがかかる。
レース全体で見ると、そういうラップになる。
条件戦だったら、スピードで圧倒した馬が、後続に脚を使わせて、終いかかりながら逃げ込めるが、重賞ではそうはいかない。
カルストンライトオが内枠から好ダッシュで一気に外に切れ込み、圧倒したレースは、大西直宏の神業騎乗と絶賛されたが、GⅠを逃げ切るくらいのスピードがあってこそ出来る芸当。
むしろ、その後が上手かったのである。
外ラチに沿わせて、真一文字に駆け抜けながらも、スタートのアドバンテージを生かして息を入れ、最後の1ハロン、ビュッと脚を伸ばした。
レース全体ではテンと終いがかかって、間の3ハロンが速いラップになるが、勝つ馬は、2~3ハロン目で脚を溜めて、最後にビュッと伸ばすパターンでレースを運ぶ。
ここで脚の使い所を誤ると、終いタレて餌食になるという、勝つためのラップが一定の形に特化したコースなのだ。
これで牝馬が強い理由がわかる。
終いの1ハロン、ビュッと切れる牝馬の特性が、千直の特性と一致しているのである。
さらにダート馬が一変する理由が、おそらく血統だというのもここにある。
終い3ハロンで長くいい脚を使えるのがサンデー系の特性だとしたら、エイシンフラッシュの話でよく書いたように、1ハロンだけビュッと来るのがミスプロ系の特性。
これも千直の特性と一致している。
そしてもう一つ千直の重要な特性がある⇒
☆コーナーがない
当たり前だろ!
って言うだろうけど、それに関して、考え方が一面的すぎる気がする。
これが新潟ダート1200だったとしたら…
左回りだから、馬はコーナーを左手前で回り、直線に向いて右手前に変える。
コーナーで左脚にかかっていた負荷を解放して、右手前でスパートする訳だ。
だから余力があって、手前を変えたら、途端に伸びるし、手前を変えるのが下手な馬は最後伸びない。
千直は、どっち手前で走っても構わない、日本で唯一のコースだ。
1000mなら、手前を変えなくても走り切れなくもないだろうが、これがダート1200だったら、1ハロンちょっと右手前に変えて走れるのだから、千直だとしても最後に手前を変えたら、ビュッと伸び切れる。
これが器用にできるかどうかで大きく変わる。
人気はビウイッチアス。
新聞の印はこれでもかというほど◎だらけだが…
実際は、抜けて強い訳でもなく、千直が向いているという確証も何もない3歳馬。直近の成績と斤量で人気になっている気がする。
次がアフォード。
連勝中の上がり馬で、千直で準オープン勝ち。
しかも鞍上は村田。
人気になるはずだが…
実際の所、このメンバーでは格下だと思うけど?
まともならエーシンヴァーゴウが真っ先に注目馬に挙がる所で、実際この馬はコースに関係なくベストは1000mだ。
しかし、ドバイ遠征帰りで内枠。
今回ばかりは、終い息切れする可能性が否めない。
気になるのは、GⅠ2着のパドトロワ。
スプリンターズの4コーナーの手応え的に、あれで粘っちゃうの?というほど驚異の粘り腰で連対したレースが頭を離れない。
アンカツさんという人は、非常に合理的な考えの騎手で、[俺の豪腕でもたせたる!]みたいなことは微塵も考えない。
先行して、ロスなく進め、見た目の手応え以上に脚を溜め込んでいたのだろう。
それをゴール板で全部使い切るように逆算して、最後に粘り切らせたのだ。
あのレースぶりは、明らかに千直に向いている。
何より、引き出しの数が半端ない安藤勝己という騎手が一番恐ろしい。
本来なら、涼しい北海道で温泉でも浸かって、乗りたい馬だけ乗ってのんびりしてる人が時々新潟に来る。
しかも勝負にならなきゃ絶対に来ない。
この人は、隠れ新潟巧者で、ひょろっと来て、サラッと重賞勝って去っていく。
一番驚異的だったのは、ゴールドアグリの2歳S。
内は最終週で荒れはじめていた。
テン乗りのアンカツさんは、外ラチまでぶっ放して、大野くんのマイネルなんとかと一緒に追い込んで来た。
外ラチを上手く使い、ブレずに真っすぐ走らせる。
本気で追ったのは最後1ハロン、並走する大野の馬まで利用して、併せ馬に持ち込み、ハナ差で勝ちをもぎ取った。
完全に技勝ちであった。
この時、確信した。
千直のイメージなんかこの人には一つもないのに、アンカツさんは千直の勝ち方を知っている…
エーシンダックマンが外枠から好スタートを切り、懐かしい快速チリエージェの子、ハクサンムーンが馬場のど真ん中、ハナを切ってゆく。
ちなみに両馬とも左手前だった。
内からエーシンヴァーゴウも先団に取り付いてゆく。
田辺は馬場を気にせず、真一文字に走らせる。
蛯名さんは、何が何でも外ラチから離れないぞ、という気構え。名手がこの有利を放棄するはずがない。
気になるパドトロワは、慌てず騒がず中団の外目。
千直は本当に映像が見づらいが、何度も確かめてると右手前のようだった。
残り300の辺りで、ハクサンムーンが外にヨレ始める。格下にはやはりオーバーペースだったのだろう。
石橋脩も御し切れず、外に外に膨れてゆく。
ヨレながら、馬が苦しくなって自分で右手前に変えているのが見えた。
エーシンダックマンの脚色に衰えはない。
しかしそれ以上にロスなく脚を溜め込んでいたのがパドトロワ。
全くブレずに走り、直後に取り付いていた。
残り100、パドトロワの脚が、シュパッと左手前に変わった。
おそらく騎手が扶助で変えさせたのだろう。
その途端に、目の覚めるような脚で突き抜けた。
恐るべし、安藤勝己。
久しぶりにこの人の鳥肌の立つような騎乗を見せつけられた。
交わされても、エーシンダックマン自身の脚は衰えず、最後伸び切って2着。
内枠もあったが、3着エーシンヴァーゴウは一回叩いていればという感じだった。
ヨレヨレのハクサンムーンが4着に粘る。
よく頑張っているな。
鍼を打ちながら、もう一つ考えていたのは、小牧が中京記念のショウリュウムーンをどう乗るかだった。
中京1600は2コーナーポケットからの発走。
言わば小型の府中2000。
改修で多彩な距離を組めるようになった代わりに、距離によっては条件に歪みも出る。
芝では、この距離。
しかし最も歪んだダート1400と芝1600で重賞を組むとは恐るべしJRA。
やはり外枠は先団に取り付くには不利で、まして内にも入れられない。
その状態で小牧は折り合って上手く立ち回っていた。
しかし、改修しても所詮は小回り、外外を回るロスは避けられない。
内枠だったら、違っていただろう。
運のない2着だった。
高倉くんは、内枠を生かして、ケツからロスなく内々を進み、4角で斜めに大外に出すセオリー通りの競馬。
上手いのはそこからで、一番外に出さずに、間を割って来る形でショートカットしてコースロスを防ぎ、一気に突き抜けた。
元々松山や川須より乗れていた若手。
祝、初重賞。
松永ミッキー先生、本当によく若手を育てているなぁ。