握手会から帰ったが、僕は途方に暮れていた。
センター試験まで100日を切ったというのに、やる気もくそもない。
仲川遥香の相手は誰なんだ?
あの週刊誌の男なのか?
みたいな話も度々耳にした。
そんなことはどうでもいい。
ただ、はるごんが手の届かない遠いところに行ってしまうのが悲しかった。
(どうしたらいいんだろう)
「どんなに私のファンが減っても、みつ太郎は絶対握手会に来る!」
そう約束したのははるごんからなのに。。。
握手会に行けないじゃないか。
間に受けてたのは僕だけなのか。
あれが釣りってやつなのか。
バカみたい。。。
ふと部屋を見回すと、ポスターがあることに気づいた。
ずっとそこにあったはずなのに、毎日同じ場所に貼ってあると意識しなくなる。
毎日同じ笑顔のはるごんが今日もそこにいる。
忘れたいけど忘れたくない。
できれば、はるごんを知る前の自分に戻りたい。
でも、きっとまたはるごんを好きになる。
やっぱりはるごんを嫌いになることはできないよ。
僕は、ポスターを剥がそうとしている手を止めた。
はるごんが決めたことなら応援しよう。
恋だって応援してやる。
はるごんが惚れたんだから、きっと良い男なんだろう。
女優になるには恋もしなきゃ。
苦しい言い訳だったかもしれない。
だけど、僕の中で何かが変わった。
(僕も一歩踏み出さなきゃな)
はるごんが遠くに行ってしまう、それなら追いかければいい。
僕の夢は、実はちょっと前に決まっていた。
医者になろう。
決めたのははるごんのお見舞いに行った時。
あの時、何もできない自分が情けなかった。
そして、医者ってすごいな、そう思った。
この夢を追いかけよう。
はるごんの行く道とは違うけど、先に進めばまた何かが起こる気がする。
それは別に、はるごんと付き合えるとか、そういうことじゃない。
遠くに行ってしまうはるごんに着いていける、そんな気がした。
今回はあまり面白くないですね(笑)
すぐに次をアップします(^^ゞ