ハルさんの事をいろいろ話してくれた。
この人、少し口が悪い。言葉はぜんぜん優しくない。
だけど心は優しいのが伝わってくる。
そして、すごく不思議な魅力がある・・・
俺はドンドンこのハルさんに引き込まれていった。
ハルさんが美人局に引っ掛かった経緯を聞くと、女から誘って来たこと。
一晩だけという約束でベッドを共にしたこと。
「罠だとしても女に恥じかかせるわけにはいかん!」
「それが男ってもんだろ?」
「それに200人斬り達成がかかってたしな!」
って訳の分からない主張をして正当化しようとしてたこと。
実戦空手の使い手だということ。
それも相当な使い手だということ。
趣味は女子高生をナンパして喫茶店とかでお茶すること。
ナンパした女子高生には決して手は出さないこと。
建設業が仕事なこと。
高校卒なこと。
中華料理人であったこと。
心理学者に教えを請い「心理学」に、すごく詳しいこと。
腹違いの兄と妹が二人いること。
幼少のときから父親に虐待され育ったこと。
母親は優しい人だということ。
女好きなこと。
バカなこと。
でも勉強はできること。
いろいろ分かった・・・
歳は俺と一回りくらい離れていることも分かった。
そして俺に「中学校には、ちゃんと行け!」「施設に戻れ!」
「卒業して行くところなければ俺と一緒に仕事しよう!」
「中学卒業までは我慢しろ!」
「辛かったら、いつでも訪ねて来い!」
「辛くなくても、いつでも遊びに来ていい!」
これだけ約束させられた。
そしていつでも電話できるようにテレホンカードをたくさんくれた。
そしてハルさんが施設まで送ってくれることになった。
俺は施設に着くまで、ハルさんの言葉をいろいろ考えていた。
嬉しかったのが、「俺と一緒に仕事しよう」って言葉だ。
その一言で中学卒業まで、がんばれる気がした・・・
そして、すごく勇気をくれた・・・背中をグイグイ押してくれる。
こんなことを考えてるうちに施設に到着した。
施設に着くとハルさんが、顎を突き出し「行け!」と促した。
一方ハルさんは施設の責任者と話してくると言っていた。
何を話したのかは、俺は知らないけど・・・
後で何を話したか聞こうとも思わなかった。