今日は俺の話を少しします。
俺は両親の顔を知りません。
実はハルさんの兄であるトクさんに、両親の居場所を探してほしいと以前から依頼していた。
そして・・・
母親が見つかった。
母親が居る場所は岐阜県の各務原市。
そして父親は・・・存命していませんでした。
トクさんの調べで、いろいろ分かったことがあるので、父親の話を少し・・・
俺の父親と母親はお互い19歳のときに結婚している。
そして両親が19歳のときに俺は生まれた。
両親とも施設育ち。身寄りがない同士だったそうです。
父の職業は暴力団の組員。
組の為に刑務所に入ったそうです。
俺が生まれて三ヶ月のときだったそうです。
そして3年の月日を服役し、出所後まもなく刺殺されたそうです。
そして残された母親は、俺を知人を介して施設に預けたそうです。
預けた理由は、俺を育てる環境になく自信がなかったからだそうです。
俺が施設にいた頃は、施設の人間は何度聞いても教えてくれなかった事。
そして・・・
俺は少年の頃、ある暴力団の組長に拾われた。
でも、それは偶然ではなく・・・
組長は父の知人だったようだ。
俺は組長に感謝したこともないし、恩も感じていない。
ただ金を回してくれる都合の良いおじさん程度に思っていただけ。
愛情を感じたこともない。
むしろ荒んでいた俺を、更に荒んでいくのを「将来有望」とか言って喜んでたくらいだった。
そして母親は現在、新しく家族を持ち、幸せに暮らしているそうです。
真っ当な人生を送っているそうです。
トクさんは・・・
「母親と会うのはやめた方がいい」
と言われました。
でも、どんなに傷ついたとしても・・・産みの親に一目会いたかったんです。
トクさんは・・・ついに折れて、俺が母親と会えるようセッティングしてくれました。
そして19日の土曜日に母親と会うことになりました。
ハルさんにも、このことで相談に乗ってもらいました。
ハルさんは一言だけ・・・「おまえの好きにしたら、いいんでないの?」とだけ言ってくれました。
とあるホテルの一室で母親と会ってきました。
トクさんはホテルのロビーで待つことに。
俺の母さんですか?
俺の第一声だった。
俺がイメージしていた母親像とは違った・・・それが第一印象でした。
母親が俺の名前を呼んだ。
○○○なんだね・・・と。
俺は涙が溢れた。
嬉しいのか?悲しいのか?なんかよく分からない感情が込み上げて止まらない。
そして母親に抱きつき言葉が何も出てこなくなった。
しばらくすると母親が言葉を発した。
「ごめんね・・・ごめんね・・・」
そして母親も涙で頬を濡らしていた。
そして・・・・こんなことを言われた。
「もう二度と会いに来ないで・・・」
俺は頭の中が真っ白になった・・・
話をを聞くと・・・こんな事情だった。
父親の血を引く俺は、母親にしてみれば忘れたい存在らしい。
そして思い出したくない過去だと。
今の家族にも知られたくないらしい。
俺の存在は、母親の過去を掘り出す原因になり、今の幸せを壊す存在だと。
俺は何も言葉が出なくなり、溢れる涙を止めることもできずに・・・
黙って部屋を飛び出していた。
悲しかったのかも分からない。
説明のつかない変な感情だけが溢れた。
俺はロビーで待つトクさんの所へ行くと・・・
「もういい。もう帰ろう・・・」とだけ言った。
トクさんは「そうだな・・・」
とだけ言って、すぐにホテルから出た。
帰りの車の中でトクさんは何も言葉を発しなかった。
そしてハルさんの家に連れて行かれた。
トクさんは、このことをハルさんに事前に話していた。
ハルさんの家に着くと、トクさんは何も言わず俺を置いて帰った。
会わなければ良かった・・・心からそう思った。
俺も家族がいる。だから母親の気持ちを理解できない訳じゃない。
でも理解したくない・・・
でもトクさんには感謝している。
後日、何度も御礼を言った。
トクさんは優しい笑顔で「気にすんな」って言うだけだった。
インターホンを押し真美さんが出迎えてくれた。
そしてハルさんの部屋に行き、全てを話した。
ハルさんは「二人で海でも行こう」と言い、ハルさんの車を俺が運転し二人で出かけた。
海に着くまで、車の中ではお互い無言でした。
名古屋港に着いた。
ハルさんの車椅子を降ろし、俺はハルさんを車椅子に乗せた。
そしてハルさんの車椅子を押し散歩した。
しばらくすると、ずっと黙ったままだったハルさんが言葉を発した。
「なぁ・・・・過去に捕らわれるはやめようぜ・・・未来だけ見据えてりゃ幸せだぞ?」
「悲しい思いをしただろうけど、このことで・・・おまえはもっと強くなれるよ」
「俺がいるじゃねぇか・・・なぁ・・・そうだろ?」
俺は再び涙が溢れた・・・
もうボロボロ泣いて・・・後ろからハルさんを抱きしめて泣いた。
ハルさんは俺を慰めたりはしない。
未来だけ見ようって道標を指してくれるだけ。
俺はハルさんの優しさが心に沁みた。
「ねぇハルさん。俺の父親は、やっぱりハルさんだけだよ!」
「それで母親は葵さんだけだ!」
「これからも、それだけは変わらない!」
俺はハルさんにそう言うと、ハルさんはこう言った。
「当たり前じゃねぇか!」
「おまえは拙者のかわいい息子だよ」
そう言った。
その言葉が何より嬉しかった。
例え嘘であっても嬉しかった。
俺にとってハルさんは父親であり兄でもある。
そして葵さんは母親であり姉でもある。
これだけは、これからも何があっても変わらない。
血は繋がっていないけど・・・それでも俺の父はハルさんであり、母は葵さんだ!
心からそう思った。
ハルさん・・・ありがとう。
これからも、よろしくね。
俺は、この人の背中を見て育ったと思っている。
そして、俺も・・・ハルさんと葵さんのような夫婦でありたいし、家庭を作りたいと思っている。
この男を目指して行きたい。
俺の両親・・・それは・・・
ハルさんと葵さん。
誇れる両親です。