最近になって将雄さんと会うことができた。

 

正直やっと会えたという感じで・・・

 

そして長い時間、話を聞くことができた。

 

 

 

 

 

 

行きつけの喫茶店に行くことになり、席に着くなり「真美ちゃん元気?」と聞かれた。

 

「はい」と答えると・・・

 

将雄さんは・・・

 

「めちゃめちゃに、いい女だよな。あのとき襲っておきゃあよかったな・・・」

 

「う~思い出しただけでたまらんわ!」

 

俺はすかさず「将雄さんに襲えるような女性じゃないですよ真美さんは」と言ってやったら・・・

 

「だろうな・・・・・返り討ちにあうだろうな」

 

「ところで本当に40越えてるの?歳、誤魔化してない?」

 

俺は「はい」と答えると、将雄さんは「信じられん。この世の奇跡だわ」と・・・・・

 

「ところで、俺めんどくさい話は勘弁やでな」

 

「めんどうだと思ったら帰るでな!よろしく」

 

と、そっけなく将雄さんが言った。

 

相変わらずだな・・・と俺は思った。

 

やっぱり少し変わってるなこの人・・・やっぱり好きになれない。

 

俺の正直な感想だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず俺が真美さんに聞いた話をことごとく話した上で、恵さんのことを聞いた。

 

すると将雄さんは「あ~、そっちの話ね。話すのめんどうだけど話してやるとするか・・・」

 

偉そうに上から目線でそう言った。

 

「メグちゃんの動向は、その件以来ずっと追っているから・・・ほぼ把握しているよ」

 

「メグちゃんが結婚してからは会ってないけどね」

 

「俺が一方的にメグちゃんの動向を把握してるだけだが・・・」

 

「一応、五年に一度くらいは連絡とってたよ」

 

俺は「なぜ?」って思った・・・

 

すかさず将雄さんは「”なぜ?”って顔してるな!待て!何も言わなくていい。説明そてやるから・・・」

 

と言い続きを話始めた。

 

どうやら俺は気持ちが顔に出てたらしい。

 

「ハルちゃんに頼まれたんだよ。ハルちゃんが愛子ちゃんのお墓参りした後からね」

 

「ハルちゃんから、こう言われて頼まれた」

 

”メグちゃんのこと気に掛けてやってくれねぇか?酷い心の傷負ってるから陰ながらでいい”

 

「ハルちゃんの頼みだから俺は、ハルちゃんが”いい”って言うまでそうしていたってこと」

 

「で、知っての通りハルちゃん突然逝っちまった。なんにも言わずにね」

 

「それでメグちゃんも、ハルちゃんのこと気に掛けての知ってったから・・・・」

 

「俺が橋渡し役になろうと決めて、そうしていた」

 

「ただ・・・・メグちゃんには、ハルちゃんが亡くなったことをどうしても言えなくてさ」

 

「それだけは、すまないと思ってる」

 

 

 

俺は黙って将雄さんの話を聞いていた・・・が不思議に思ったことがある。

 

それを聞いてみた。

 

「将雄さんは、どうしてそこまでハルさんと恵さんに協力したんですか?」と、聞いてみた。

 

なぜなら普通はそこまで協力するってことは、余程のことがない限りできないと思ったからだ。

 

すると、将雄さんが言った。

 

「この歳になって、まだ心をエグられるようなことを聞かれるとは・・・」

 

俺は「え?どういうことですか?」と、とっさに答えた。

 

「まあ、いいわ・・・だけど、この話は心にしまっておいてくれ。約束な!」

 

俺は「はい」と答えた。

 

すると将雄さんが、とんでもないことを話し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛子ちゃんが輩達に捕まった原因は俺なんだわ・・・」

 

俺は「え?」と声が出た。

 

すると将雄さんは「順を追って説明するから」と遮った。

 

 

 

「俺は当時、いつもハルちゃんの金魚の糞みたいについてまわってた」

 

「ハルちゃんに憧れててね」

 

「ハルちゃんは、いつも宗ちゃんと一緒にいて、宗ちゃんの横にはいつも美香ちゃんがいてさ」

 

「俺は仲間に入りたくて、いつもハルちゃんのケツ追っかけてたんだよ」

 

「俺は女の子の匂いを嗅ぐ癖があって、いつも一緒にいる美香ちゃんの匂いを後ろから嗅いでた」

 

「俺は美香ちゃんのことが好きでさ・・・宗ちゃんが羨ましかったんだよ」

 

「それで、いつも宗ちゃんに”ついてくんな!将雄!どっか行けよ!こら!”って、どやされてたわ」

 

「すると決まってハルちゃんが”そう邪険にすんなよ”とかって言ってくれてたんだ」

 

「宗ちゃんは凶暴な男で、ハルちゃんの言うことだけは聞く男だった」

 

「いつも宗ちゃんに怒られ、ハルちゃんに庇ってもらってた」

 

「宗ちゃん昔は眼光鋭く、目を合わせるだけで恐かった!凶暴ででかい体で暴れると手がつけられない」

 

「美香ちゃんは小さくて可憐で素敵な女の子で、好きだったけど宗ちゃんが恐くて諦めた」

 

「美香ちゃんはヤンキーでもなく普通の生徒だったけど、ヤンキーの宗ちゃんと付き合ってると知った時は」

 

「ショックで眠れなかった・・・」

 

「そんな時は、よくハルちゃんが慰めてくれたよ」

 

「ハルちゃんは、宗ちゃんが認めるくらい強くて”魔人”って呼ばれてた」

 

「でも目が優しくて、おちゃらけてて、女好きで、頼りになって、真剣に悩み聞いてくれたりして・・・」

 

「俺はそんなハルちゃんが大好きだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、ある日のこと。ハルちゃんが急に俺に冷たくなった」

 

「しまいにゃ”もう拙者に近づくな!巻き込んじまうから、もう後をついてくんな!”って・・・」

 

「俺は”なんでそんなこと言うんだよ?嫌だ!いざとなったらハルちゃんが助けてくれるじゃん?”言うと」

 

「ハルちゃんは”うるせえ!黙れよ将雄!もう、ついてくんな!”って言われてさ・・・」

 

「そんな時、俺は輩達に捕まったんだよ・・・」

 

「そして輩達に”ハルの女の情報を集めてこい!”と脅された」

 

「俺には中学にあがったばかりの妹がいて、輩達に”妹を無茶苦茶にしてやる!”って脅された」

 

「その輩達は暴力団まがいの集団で、俺は心底ビビってさ・・・」

 

「ハルちゃんに冷たくされたことを根に持って、協力してしまった」

 

「愛子ちゃんの写真を隠し撮りして、名前を調べ住所を調べ通う高校を調べ使う駅を調べ・・・」

 

「当時は中学の卒業アルバムを入手すれば全てが分かった時代でさ・・・」

 

「こんな、とんでもないことになるなんて思わなくて、愛子ちゃんの情報を提供してしまった」

 

「妹には手を出さないという条件で」

 

「いつもハルちゃんを追っかけてた弱っちい俺が、輩達に狙われてしまったというわけだ」

 

「俺は正直、ハルちゃんなら何とかすると安易に考えてた・・・」

 

「そして事件が起きてしまったんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、そのあとハルちゃんに正直に全部話したんだ。殴られて絶交される覚悟で」

 

「するとハルちゃん何て言ったと思う?」

 

”将雄・・・すまねえ!巻き込んじまって・・・ほんとに許してくれ!”

 

”妹ちゃん無事で良かったな・・・”

 

「って、こう言った・・・ハルちゃんは自分の大切なひと愛子ちゃんを失ったのにもかかわらずだ!」

 

「普通そんな他人のこと心配した言葉出ないだろ?でもハルちゃんは俺を気に掛けてくれた」

 

「俺は涙が出て止められなかったよ・・・」

 

「罪悪感に嘖まされて立ちすくしてると、肩を叩き・・・」

 

”もう気にするな!おまえのせいじゃないよ!”

 

「って励ましてくれて・・・」

 

「その後のハルちゃんは鬼神と化した!俺のせいでだ」

 

「そんな俺ができることは・・・ハルちゃんのために出来ることは何でもやったよ」

 

「この話は宗ちゃんも美香ちゃんも知らない。もちろんメグちゃんもだ」

 

「俺とハルちゃんだけが知っている事実」

 

「ハルちゃんに”この話は誰にもするな!”と約束させられたからだ」

 

「でもハルちゃんは、俺を守るために・・・俺に約束させた・・・」

 

「こんな男に・・・ハルちゃんに・・・俺は出会えただけでも幸せだったよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は将雄さんから壮絶な事実を聞いた・・・

 

ハルさん・・・どんだけ辛い思いしてきたんだ?

 

それでも将雄さんを許し、自分にも罪があると将雄さんに謝罪までして・・・

 

どんな環境で育ったら、そんな高校生になれる?

 

責任転嫁するどころか、将雄さんを責めることしないで・・・自分に非があると認める。

 

俺には一生できないことだろう・・・無理だ。

 

感情のある人間なら無理だと思う。

 

今となっては聞くことはできないが、きっとハルさんは愛子さんのために将雄さんを責めなかった?

 

それとも・・・

 

今となっては分からない。

 

ちなみに将雄さんは愛子さんについては詳しく知らなかった・・・

 

ただハルさんがとても大切にしていた彼女だったということだけ。

 

愛子さんは、どんな女性だったぼだろう?・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将雄さんは涙を拭いながら話してくれた。

 

分かったことは・・・今も将雄さんは罪に嘖まれてる。

 

将雄さんが独身を貫く理由が分かったような気がする。

 

俺がハルさんを通じて知り合った人たちは、他人の心の痛みを知る人たちばかりだ。

 

きっとハルさんのが伝染していったんだと思う。

 

ハルさんに接して・・・・

 

ハルさんから優しさを受けて・・・

 

そして伝染していったんだと思う。

 

ハルさんが接した人たち。

 

俺もそのひとり。

 

ハルさんは若くして亡くなってしまったが、少なくとも接した人たちの心に爪痕を残していった。

 

そして俺たちは、その優しさを伝えて行く必要があると思った。

 

ハルさんは、この世にしっかりと爪痕を残していった。

 

誰にも真似できないような爪痕を。

 

俺は正直言って、ハルさんのルーツを探りたい。

 

どうしたら、こんなに優しくなれるのか?

 

憶測だが・・・

 

いっぱい辛い目にあって・・・

 

人の痛みが人一倍分かることができたのだろう・・・

 

ただ・・・どれだけ辛い思いをしてきのだろう?

 

ハルさんは高校生の頃で、これだ!

 

俺はとんでもない人と出会えたのかもしれない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できることなら・・・・

 

いや、もう叶うことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりハルさん早すぎたよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりハルさん魅力ある!

 

愛子さんが・・・

 

葵さんが・・・

 

真美さんが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルさんに惹かれたのが分かるような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルさん・・・どう考えても・・・やっぱり早すぎだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなことを考えながら帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも・・・・

 

将雄さんは・・・

 

どうして俺にこんな話をしてくれたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・聞いておけばよかった・・・・・・