久々の更新です。

 

相変わらず俺は仕事に追われる日々を送っています。

 

忙しくて忙しくて・・・

 

でも・・・・・・・・・・・・ありがたいことなんですけどね。

 

ハルさんは今も毎日リハビリに励んでいます。

 

自力で立てるようになったものの、まだ一歩も歩けない現状に何度も落ち込み、そして奮起するのを繰り返し頑張っています。

 

落ち込む度に、妻である真美さんに抱きしめられ励まされ支えられながらの繰り返しですが、それでも前だけを見据え後ろを振り返らない。

 

ハルさんらしい日々を送っているようです。

 

 

 

突然、話は変わりますが・・・

 

現在、仕事を一緒にしている人で別会社の人なんですが、共同で仕事を毎日している人物がいます。

 

その人は男性で、あの3.11の被災者でもあり、津波による被害で妻と娘そして両親に兄を失っています。

 

その男性を仮に「健さん」と呼ぶとしましょう。

 

健さんの年齢は30代後半。

 

俺はその健さんと毎日仕事をし、そして仕事後に酒を共に飲むことも多くなりました。

 

要は仲良くさせてもらってます。

 

 

 

その健さんですが、どこか影がある男性で、仕事中は元気なんですが・・・・

 

仕事が終わり一人になると「死にたくなる」そうです・・・・・・・・・・

 

そして・・・・その「死にたくなる」原因になった、3.11の話を聞くことになる。

 

俺はその話を聞き・・・・・・・

 

言葉を失いました。

 

壮絶で悲しみさえ超越した現実・・・・・・突然に突き付けられる全てを奪われてしまう地獄。

 

俺もハルさんも技術者として復興支援のため、被災地である現地には行っていますが・・・・

 

知り得なかった現実が多くあるとは思ってたけど、実際に話を聞くと涙無しでは聞くことができないほどでした。

 

健さんは亡くなった家族の写真を肌身離さず持っていて、拝見させてもらったのですが正に幸せそのものの現状を撮した写真。

 

でも、ある日突然その幸せは奪われました。

 

健さんが「死にたくなる」という理由は十分に理解できました。

 

たぶん・・・俺でも「死にたくなる」でしょう。

 

 

 

そして俺は考えた末、健さんをハルさんに会わすことにしました。

 

俺のすぐ側にも、壮絶な人生を送りいろいろな大切なものを奪われ、自分自身の自由さえ奪われ、それでも笑顔で過ごす男。

 

俺はハルさんの話を健さんにしました。

 

俺の知る限りですが、ハルさんの人生の半生を健さんに話したんです。

 

健さんは自分とダブらせたのか涙を流しながらハルさんの話を聞いていました。

 

そして健さんは、「ぜひハルさんに会ってみたい」と言ってくれました。

 

そしてハルさんにも連絡し、健さんの壮絶な話をしました。

 

するとハルさんは「拙者で力になれるなら喜んで会おう!ただし傷の舐め合いはゴメンだが・・・」そう言ってくれました。

 

ハルさんらしい良い返事をくれました。

 

 

 

そして健さんとハルさんは、俺の仲介で3人で会うことになる。

 

 

 

 

場所は我が社のオフィス。

 

会社の営業が休みの日で、社員が誰もいないオフィスで三人で会い、話をした。

 

 

 

 

 

健さんがハルさんに会うと握手を求め、ハルさんはそれに答えるが指が自由にならず握り返すことができずに、ただ笑った。

 

そして健さんがハルさんに「死にたくなる」と話す・・・

 

健さんは一人になると寂しさで気が狂いそうになり、死にたくなるほど苦しむらしい・・・

 

そして自殺の衝動に苦悩するらしい。

 

ハルさんは健さんの話を黙って聞き、時折優しい微笑みを見せる。

 

そして健さんの話を最後まで黙って聞いていた。

 

その間、一言も言葉を発しなかった。

 

健さんが話し終わるとハルさんは暫く沈黙・・・

 

そしてハルさんは、ゆっくり話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから書くことは全てハルさんの言葉です。

 

 

辛いなぁ・・・

 

その辛さと苦しみは何年経とうが何十年経とうが、忘れられないだろう。

 

でもさ・・・癒されることはあるよ。長い時間が必要かもしれない。でも癒される時は来るよ。

 

拙者もそうだった・・・・・・

 

息子を失い、妻をも失った・・・死のうとも思った・・・

 

残される息子と娘の存在よりも自分が苦しくて・・・死にたくなった。

 

拙者も弱い人間だよ。

 

拙者が死んだら亡くなった息子も妻も喜ばないだろう・・・そんなことを亡くなった妻や息子が望むはずがない。

 

そんなことは百も承知だ。

 

でも苦しくて苦しくどうにかなりそうだった・・・

 

自分自身が苦しみから逃れ楽になれるならって想いが、何よりも先決で・・・他のことはどうでも良くなっていた。

 

妻がいない世界を生きることは、拙者にとって何の価値もないように思えた。

 

一緒に年取って、一緒にしわくちゃになってさ・・・そんな妻と二人で過ごすことを夢見ていた。

 

亡くなった息子にしても、未だに生きてたらどんな男になっていただろうか?って、どんな成長をしていただろうか?って想いが溢れる。

 

そんなとき母親を亡くした息子と娘、それをサポートする妻の妹。

 

息子や娘が懸命に生きようとする姿を見ると涙が溢れ出し、自分勝手に死にたいと思う自分自身との間の葛藤に揺れた・・・

 

それでも一人になる時間が毎日やってくるとさ・・・

 

死にたいと思った。

 

矛盾だらけだけど、自分自身ではどうしようもなかったよ。

 

頭で解ってても心ではどうしようもないんだよな・・・・・・・・・

 

でもさ・・・・・

 

でもね・・・・・・・

 

愛する人がいない世界を生きてみて・・・・・・・・・・・・・今は良かったと思ってるよ。

 

残された子供達の生活を必死になってサポートした、妻の妹である真美。

 

その後は拙者の妻となり、拙者は第二の人生を歩き出している。

 

亡くなった妻を忘れたわけじゃない。

 

亡くなった息子を忘れたわけじゃない。

 

ただ・・・・・

 

亡くなった息子や妻の分まで拙者が生きてやろうって思ってる。

 

ただ、それだけだよ。

 

今でも、今でも・・・・・・・

 

亡くなった妻も息子も愛している。

 

今後も・・・拙者が死ぬまでそれだけは変わらない。

 

人は誰でも弱い。誰も一人じゃ生きられない。

 

生きるためには、どんな形でもいいから共に人生を歩んでくれる人は必要。

 

それが仕事の関係者でもいいし、ネットの友達だっていいと思う。

 

拙者と健さんでは置かれる状況も立場も生き方も違うけど、あんたはあんたで第二の人生を見つけられるはず。

 

今は「死にたくなる」気持ちを抑えられないと思うけど・・・

 

健さんも「生きる意味」を見つけられるといいなぁ。

 

拙者の話が、健さんが生きるヒントに繋がればいいなぁ。

 

拙者には「死んじゃダメだ!」とか「生きなきゃダメだ!」とかは言えない。

 

それは健さん自身が決めることだし、拙者にそんなことを言う権利もない。

 

たださ・・・・大切な人がいなくなった世界を生きてみてどうだった?

 

生きてみてさ・・・悲しいことばかりでもないだろう?

 

些細なことでも嬉しかったこととかあっただろう?

 

人の優しさに触れて温かい気持ちににもなっただろう?

 

それだけでも生きた価値はあると思うけどな。

 

ちっぽけなことかもしれんけど・・・その積み重ねが生きるってことだと思う。

 

ここまで生きてきて思うことがたくさんあるだろう。

 

大切な存在を失っても、ここまで生きてきた健さんなら大丈夫だよ。

 

 

 

 

ハルさんは、こんな話をした。

 

実は、この会話・・・・・録音してたんです。

 

後で真美さんにも聞かそうと思ってね(笑)

 

 

 

健さんは泣きながらハルさんの話を聞いていた。

 

そして少しは心が楽になったのか、ちょっぴりだけど晴れやかな表情も垣間見えました。

 

そして「そうだね・・・」とだけ健さんはハルさんに答えた。

 

 

 

ハルさんが続けて言う・・・

 

「おお!そうだ!健さんペットでも飼ったらどうや?ペットも立派な家族になれるぞ?」

 

ハルさんが、そう言うと健さんは笑った。

 

健さんは「そうだね。ペットもいいかも」って言って笑ってました。

 

 

 

そして健さんが言いました。

 

「いままで、たくさんの人に励ましてもらい、いろいろ言われたけど・・・ハルさんみたいな人は初めてです」

 

「ハルさんに会えて良かったです!」

 

「ハルさんと話してると、なんか心が楽になれる。また、行き詰まったら会いに来てもいいですか?」

 

するとハルさん「いいよ」と即答。

 

そして続ける・・・

 

「拙者は今こんな体だけど、必ず元通りになるよう努力する!」

 

「だから健さん。あんたは生きる努力をするがええ」

 

「お互い踏ん張って生きようや!なっ!」

 

ハルさんは笑顔で、こう言いました。

 

 

 

この後は、くだらない雑談をしてバカな話ばかりしていました。

 

健さんも楽しそうに笑って。

 

それにしても健さんをハルさんに会わせて良かったと心から思えました。

 

 

それにしても俺にもあまり話したことがない「ハルさんの心の内」を聞けて、ハルさんだって普通の人間だったんだなと改めて思いました。

 

それにしても、健さんが言った「ハルさんと話してると心が楽になる」って言葉。

 

俺も思ってたことで・・・

 

このハルさんと話す行為自体が「ハルキマジック」だと確信しましたね。

 

本当に不思議な人だ・・・

 

 

 

 

そしてハルさんが「死のうと思った」ほど苦しんだことも知った。

 

どんなに辛くても苦しくても笑顔でいられるわけじゃない。

 

前を向いて努力し続けるから、ハルさんは笑顔でいられるんだ・・・そう思った。

 

言葉で言うほど簡単ではないと思う。

 

それでも・・・・・・・そうしないと生きられなかったのかもしれない。

 

それでも・・・・・・・ハルさんは笑顔で生きている。

 

簡単でないことを百も承知で、それでも生きるために笑顔でいられるよう努力しているハルさん。

 

そしてお互いが助け合い、補い合い、共に生きてきた妻の真美さんと息子Tと娘K。

 

みんながみんな強い家族。

 

ハルさんが作り上げた家族。

 

そこに葵さんも叶もいないが・・・きっと喜んでいるに違いないと思う。

 

幸せの形は人それぞれ違うかもしれないが、ハルさんの家族みたいな形の幸せも憧れます。

 

 

 

 

 

そしてハルさんと健さんは連絡先を交換した。

 

この先、ハルさんと健さんは良い関係を続けていきそうです。

 

 

 

 

 

この後、ハルさんからも御礼を言われた。

 

そして「健さんに会えて勇気がもらえたような気がしてる」とも言ってくれた。

 

俺もハルさんも、健さんを応援している。

 

 

「がんばれ健さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ですが、ハルさんの娘のKが4月から中学生になりました。

 

六歳で母「葵さん」を亡くし、Kはここまで成長しました。

 

それにしても、どんどん母の葵さんに似てくる・・・・

 

葵さんとダブったりして、ドキッとすることもしばしば。

 

 

Kの顔を公開することはできませんが、美人ですよKは。

 

モテモテだろうな・・・きっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はKの成長も楽しみの一つです。

 

もちろんTの成長も楽しみの一つ。

 

葵さんの忘れ形見的な存在のTとK。

 

我が子のようにかわいがってます。