この頃の俺は、仕事に充実していた。
技術者としてエキスパート集団の仲間入りも果たしていた。
そして技術者のひとりが引退した。
そして、新しくやってきた社員が増え、不景気の波に抗い続けながらも社員一丸でがんばっていた。
そして、ハルさんに営業や設計、書類製作、是面作製を教えてもらっていた。
営業では、いろいろな会社をハルさんと一緒に回った。
取引のある会社も一緒に回って、俺を紹介してくれていた。
夜は酒の席に連れ回された。
このハルさん・・・酒にものすごく強い!
また、この業界は酒豪が集まっていることも分かった。
俺も、そこそこ酒に強い自信はあったけど・・・
想像を超えていた。
そしてトクさんも、ハルさんと同じくらい酒が飲めるという。
酒・・・営業するのに重要なものだと知ったのも、この頃。
じきにハルさんは、この酒の席を俺に任せるようになる・・・
余談ですが・・・
このハルさんより酒に強いのが宗二さん。
体がデカイのもあってか、酔いが遅いように思える。
そして・・・俺が出会った中で酒に強いベスト5。
この中にはハルさんもトクさんも宗二さんも入っていない・・・
あらゆる酒の席には、とんでもない酒豪たちがいる。
2位~5位までは、その酒豪たちです。
1位は・・・2位と圧倒的な差を付けて、真美さんです!
この真美さん・・・俺が知る限りの人間の中で最強の酒飲みです!
世界中を回って、いろいろな酒を飲んできたのは伊達じゃない。
酒の席で言い寄る男どもは大変多いが、全て酔い潰して来る・・・
「ザル」とは真美さんのためにあるような言葉です。
彼女は酒のことを全て「水」と言う女ですから・・・
俺たちの合い言葉・・・
「真美と一緒に酒飲むな!飲むなら命を覚悟せよ!」
恐ろしい女性なんです・・・
え~と・・・話が反れました。元に戻します。
そしてパソコンの使い方、ExcelやCADを使っての書類製作、図面作製・・・
いろいろと教わる。
例えば、こんな風だ。
「おい、T.S!今日は午前中に現場あがれ!」
「ほんで、Excelの○ページから○ページまでやってみな!」
こんな感じで本を見ながら試行錯誤。
ハルさん曰く「Excelマスターになれ!」だそうです。
実際ハルさんは、かなりExcelを使いこなす。
そして、どうしても分からないことは教えてくれます。
俺は書類などもハルさんの指示でこなすようになる。
そしてハルさんはコンビニにJKをナンパしに行っちゃうんです・・・
ハルさんに「どこいくの?」って聞くと・・・ほとんどがコンビニ。
そこでハルさんはJKに声をかけて、スイーツ奢ったり、
ファミレスでデザート奢ってお茶したり・・・
まあ手は出さないのが信条のようで、少し安心なのですが・・・
JK観察と、楽しい一時のお喋りが憩いの時間のようで・・・
とんでもない不良親父でもあります。
職務質問されること多数・・・職質される達人ですね。
良い風に考えてみると・・・心理を読む訓練なのかもしれませんが・・・
なぜかJK限定なのが腑に落ちません・・・
こんな感じで俺はどんどんスキルを身につけて行く。
この頃トクさんが、自分の仕事のスケジュールを調整し、我が社の手伝いをしてくれるようになる。
この頃のトクさんは、探偵事務所と化粧品のネット販売の仕事をしていたが、
探偵業に疑問を感じ、俺たちの業界に戻りたいと言っていた・・・
人のトラブルの中で金儲けをする仕事に、嫌気がさしていたようだ。
この後、トクさんは個人事業を立ち上げ、この業界に戻ってくるんですが・・・
それは、もう少し後の話。
今では、俺の切り札的な存在で、ピンチのときは自分の仕事を速く済まし、駆けつけてくる。
応援という形で、今は大切な下請けさんです。
俺は、このトクさんにはパソコンのシステム関連の知識を、ことごとく教えてもらいました。
ほんとうに頼りになる人です。
このトクさんも、やはりすごい人で・・・
探偵業を営むうえで、すごいソフト開発に乗り出す。
グーグルマップにターゲットのSNSアカウントを表示させ、リアルタイムで追跡するソフトを、
ある人と共同開発してしまう。
仮にターゲットのアカウントが分からなくとも、
ターゲットが呟きそうなキーワードや興味のあるキーワードを入れて検索することで、
ターゲットのアカウントを割り出せ、地図の絞り込みによって、現在地を割り出す。
いろんな要素を入れることで、人捜しに役立つソフトを開発します。
もちろん、このソフトは門外不出で、悪用すればとんでもないことに発展してしまうからです。
公安委員会も認める凄腕の探偵でもあるようです。
ほんとうに、何をやらせてもできる人です。
ハルさんが、トクさんのことを「あいつは天才だよ!」というのが分かる。
学歴だけが全てじゃないですね。
あるとき刑事さんが、こんなことを言ったそうです。
「トクとハルが組んで、悪意を持って動いたら、日本の警察で止められるのか?」と・・・
トクさんの情報収集力と頭脳、ハルさんの心理を読んで裏をかく行動・・・
悪意を持って動いたら・・・想像するだけで恐いです。
とにかくネット関連のことや、システムのことに、トクさんはズバ抜けています。
こんな感じで俺は技術者以外のスキルを身につけて行くことになります。
二人の御陰なんですけどね・・・
その傍ら、真美さんはハルさんの息子と娘との関係も深まっていたようです。
真美さんはハルさんと葵さんの子供達を溺愛してて・・・
未だに高校生になった息子に、自分の胸に息子の顔を抱きしめてギューってしたりします。
国際感覚のすぐれた真美さんは、オープンな性格なので平気で頬にキスしたりハグしたりします。
もちろん娘ちゃんにも同じ行動をする。
三十代も後半なのに、二十代にしか見えない真美さん・・・
俺はハルさんの息子Tが、少し羨ましい・・・
もちろんT自身は嫌がって抗ってしますが・・・
テレて顔真っ赤にしてるTもかわいいですね。
娘のKは、どんどん葵さんに似てくる・・・
親子の遺伝子は偉大ですね。
もう真美さんは、亡き葵さんの後の育ての母になっていました。
ハルさんの子供達と良い関係を築き、本当の親子のようになっていた。
もちろん子供達の心の中には葵さんがいるのですが・・・
お互いが気遣いし合える良い関係になっていた。
そしてハルさんはというと・・・
ファイナルファンタジーというオンラインゲームに没頭していた。
その頃、白騎士物語というゲームのサービスが終了していて、
その白騎士物語というゲームで知り合った、オンラインフレンドと、
ファイナルファンタジーを始めたようです。
ハルさんは没頭できる趣味を見つけたようです。
俺は新しい趣味を見つけたハルさんが、元気になって行くのが嬉しかった。
ハルさんは、よくゲームの話をしてくれた。
そしてハルさんには、もう一つの想いがあった・・・
「もし葵が生きてたら・・・必ずファイナルファンタジーやりたかったはずだ!だから・・・」
こんなことも言っていました。
たぶん・・・ハルさんの中では葵さんと二人でゲームをしているのかもしれない・・・
俺もそのゲームに誘われたけど・・・
この頃の俺は仕事に忙しく、家族との時間も大切にしたかったので・・・
ゲームする精神的余裕はなかったので、やらなっかたですね。
そんなこんなで・・・
ハルさんは幸せの時間を取り戻す。
そしてハルさんを取り巻く人たちも幸せを取り戻して行きます。
続く