ハルさんと事務所を出たときは、もう夕方だった。
公園で少し休もう!となって途中、自販機で飲み物を買っていった。
ハルさんは公園のトイレで顔に付いた血を洗い流し、ベンチで仰向けに横になった。
俺は心配になって「大丈夫」って聞いた。
ハルさんは「大丈夫に見えるか?」と言い俺の顔を見る。
俺は首を横に振り「病院に行った方がいいよ?」「なんなら救急車呼ぶ?」と答えた。
ハルさんは突然笑いだし、「救急車なんて小っ恥ずかしいモノ乗れるか~」と言い、
「心配すな。そのうち治る!」
と、にやけた笑顔で言った。
ハルさんが話を続ける・・・
「なぁ?T.Sって言ったっけ」
俺は頷く。
「俺はハルキって言うんよ。ハル様って呼んでくれ」
俺は受け答える。
「様って必要?」
ハルさんが言う。
「必要」
俺は反論した。
「嫌だ!様は付けない」「なんて偉そうなんだ・・・」
ハルさんが言った。
「しょうがねぇな・・・じゃあ、「さん」でいいわ・・・」
なんか、このハルさんと話していると、心が晴れてゆく気がした。
俺は話しかける・・・
「ねぇ?ハルさんって歳いくつなの?」
ハルさんが答える。
「教えたらん」
俺は言う。
「なんで?」
ハルさんが言う。
「人に歳を聞くときは、まず自分から歳を言うもんだろ?」
俺は答えた。
「あ・・・ごめん。俺13」
ハルさんが驚く。
「本当にまだガキンチョじゃねぇか・・・」「拙者はな永遠の17歳でござる!」
俺は驚いた・・・
「え?十代なの?」
ハルさんが慌てて言う。
「バカ、冗談に決まってるだろうが」「二十代半ばのナイスガイだわ」
そんな、たわいもない会話を今でもはっきり覚えています。
ハルさんから質問が投げかけられる。
「なんで、あんなとこに居たんだ?」・・・・・・・・・・・・
俺はハルさんに隠さず正直に全てを話した・・・
両親の顔も知らず居場所も知らず、施設育ちのこと・・・
暴力団事務所に居た経緯も全て正直に話した。
気づけば夜が明けるくらいの時間、ハルさんは黙って真剣に聴いてくれた。
不思議と何でも話せた。
真剣に話を聴いてくれるハルさんは、時折泣いてくれもした・・・
それが、すごく嬉しかったのを覚えています。
朝になって、ハルさんが有料駐車場に駐めてある車を取りに行き、ハルさんの運転でハルさ
んの家まで行った。
ボロいアパートだった。
その日は日曜日で、ハルさんが朝食に「焼きそば」を作ってくれた。
めちゃめちゃ美味かった。
今も、その味は忘れられない。
焼きそばを食べながら、ハルさんに聞いてみた。
「どうして俺を連れ出したの?」
ハルさんは笑って答えた。
「そんなん気まぐれに決まっとるやん」
それからハルさんの事をいろいろ話してもらえた。
そのボロいアパートで昼過ぎくらいまで話を聞いた。
話の内容は次で。