今月ブッククラブで読んだ本は、フランスで出発されたセネガル出身の若い作家の作品。

 

著者サール・モハメド・ムブガルの実体験、ゴンクール賞を受賞する。

 

フランス語だったからか、「悲しい」と書かずとも複雑な悲しみという感情が語彙豊かに表現されている。悲しみという感情にはこんなに色彩があったかと思うほど。

 

 

この国(セネガル)では死んでいても居場所がないのは同性愛者、という言葉が頭に残る。 実話だから。集団の正義のために暴力を行使する人間の根源的な愚かさと、社会から排斥されることへの潜在的な恐怖を克明に描いた作品。 セネガル人の若い文学教師はネット上で拡散されていた動画を目にする。 死んだ男性の墓を人々が暴いている様子だった。 同性愛には無関心な彼だったが、この事件に巻き込まれていくうちに、墓を暴かれた人物について興味が湧き始める。彼が知る真実とは家族間の複雑な感情、悲しみ、そして宗教をベースにした差別意識。

 

宗教と政治が分立しない国で起こる、法を超えた差別問題。同性愛者だけではなく、肌の色や宗教でも。

 

宗教を模範とする社会では、それと共存する世間体があって、それが我が子より優先になってそまう。信仰から外れた者は容赦がない。

 

日本も子供が犯罪者になると世間に謝罪。家族関係が薄いのに絶対に子供の味方をするのが当然のアメリカ。イスラム教の国では、もっと深い考えがこの本にはあった。