ヘンリー卿に仕える画家のモデルになるほど美しい青年、ドリアン・グレー。

しかし、このヘンリー卿が途中から曲者だと分かる。展開がおどろおどろしいのに次が読みたくなる名作。

 

アイルランドを代表する作家、オスカー・ワイルド。この小説は彼自身の破滅の人生を描いたもの。

 

ドリアン・グレーの肖像画が完成し飾られるが、ヘンリー卿から「若さと美しさこそが、最高価値のあるもの」とそそのかされる。

 

 

ドリアンは自分の肖像画に向かって「(自分自身の代わりに) 絵が老けて醜くなれ」と念じる。

すると、ドリアンが不貞や裏切り行為をするたびに、屋根裏に置かれた肖像画が恐ろしい形相になっていく。

 

そしてドリアンは20年後も同じ美青年。老けこんで醜い肖像画こそが今の自分だと気づき、懺悔するが、ヘンリー卿から馬鹿にされ、ようやく裏切られたと気づく. そして、ドリアンは狂ってしまう。

 

人々が駆けつけた時には、恐ろしい顔つきのドリアン老人と美青年の肖像画が残されていた。

 

この本が出版される頃のオスカーワイルドは、パリで同じような奔放な生活を送り、投獄されたり、人間関係もうまくいかない。肖像というのは比喩であって、人間の感情の中に必ず存在する「憧れ」「理想」「永遠に持ち続けたい若さ」「後悔」が極端に表現され、それが読者に様々な形で伝わることが、この作品が長く評価された一つの理由だったのかも、と思った。

 

学習メモ - 自分を受け入れるしかない。勘違いはなはだしい老人になるよりも。