この著者の作品は初めて。垣谷美雨さん。社会問題化された事柄をユーモアと現実味で人気らしい。キンドル版を買ってみた。

 

最初から光景や大変さが手に取るように想像できる。どんどん引き込まれ、最後は読み終わるのが惜しいくらい。

 

内容は、突然、公団住宅で亡くなった義母の遺品整理をするお嫁さんの話。

ごみ屋敷ではないものの、重い消化器が2つとか、首をかしげる物が出てくる出てくる。しかも、エレベーターがない建物の4階。主人公の望登子さんは60歳近いし、家は東京の端。義母宅まで電車で1時間かかる。パートを休んで、ほぼ毎日義母の家に行く理由は、放っておくと家賃請求が彼女と夫に来るため。1ヶ月八万円、2ヶ月で、、、と換算すると、居ても立ってもいられない望登子さん。

 

深い押入れには昔の食器や義父の物までギッシリ。それも骨董ではなく、価値がないものばかり。

「自分の母は、こんなくだらない物は残さなかった」と実母と比べる。そして、人が住んでいない家は寒い。なのに、誰かが暖房をつけていることに途中で気づく。そして、物が少しずつ無くなっていることにも。慌てて家を飛び出るが、それでも翌日には戻って、市の清掃の証明シールが貼られたビニール袋を市役所で買い、どんどん詰め込んでは団地のゴミ収集場まで持って降りる。

キツイ口調の義母でも自治会の信頼は厚く、自治会のお年寄り達が手伝ってくれて何とか乗り切る望登子さん。




 

ふと浮かんだ疑問は「ご主人はなぜ手伝わないの?自分の母親なのに」。私の中ではあり得ない。

 

私の友人Nさんが「私も日本で先月してきました。義母は施設に入っているのに、その1DK の施設にさえ断捨離せざるを得ない荷物の多さ。洗面台の下にも箱、ベッドやクローゼットにも書類や不要なものがいっぱいで、20袋近く捨てました」と写真を見せてくれる。Nさん自身、お屋敷に住んでいてそこも片付けながら、帰国するとご実家(これも邸宅)を片付けるという、今は片付け人生。

 

そして、もう一人の友人も「人が住んでいない家は寒いんですよ」。Eさんがすかさず「アメリカに親戚がいない我々はどうなるの?生前信託に書いておくべき?」

 

贈答品や家具が多い実家を思い出し「ヒエ〜〜!」と両親に電話をかけずにはいられない。自分達では到底できないので、業者に依頼する前提で話す。日本では一部屋を片付けるのに3業者に依頼せねばならず、平均40万円かかるらしい。部屋が4つあると160万円!追加でキッチンや浴室、庭、、、チャリーン、チャリーン!とお金の音が頭に響く。

 

帰国する度に、両親に口を酸っぱくして言うのが、断捨離。母が入院した時に、キッチンの棚に潜んでいたタッパーウェアの数々と私が子供時代に使ったきりの機械、お歳暮の空き箱など捨てた(箱の中に箱で、本人はそれで片付けたつもり)。驚くことに2週間で母は嗅ぎつけた。親子喧嘩にもなるけれど、やっぱり念押ししておかないと。腰痛もちの私には無理なので、考えただけで憂鬱になる。