今週から公開されている「A Man Called Otto」(オットーという男)は今年のアカデミー賞候補。予告をみて「ヘぇ、面白そう。週末、時間が空いたら観に行こう」くらいだった。しかし、一緒に行ったうちの相棒が号泣し、私ももらい泣き、という前代未聞の映画となった。えーんショボーン

 


妻を亡くし一人暮らしをするオットーが定年で退職する日から始まる。近所でも頑固で孤独だと知られている男。向かいにメキシコ人家族が越してくる。陽気な彼女の遠慮のない言動で、自分の命を絶つ予定だったオットーは何度も邪魔される。偏屈オヤジなのに、何故か色んな人々を助ける結果となり、その人々との交流と亡くなった妻の事が浮上する。

 

短調でモノクロな生活をしていた彼にとって、妻は彼の人生に色彩をもたらした。「読書を好み、料理が好きで、パニック障害の人を助けたりする妻は自分の全てだった」とメキシコ人の奥さんに告白する →ここで相棒号泣。これは私ではないか?私が先に死ぬことを想像している?と考えながらも、もらい泣きでマスクが鼻水で濡れる。

 

 

トム・ハンクスが前面に出てハリウッド映画を呈しているが、実際はスェーデンで数年前に大ヒットだった本が原作の映画。スェーデン版も観てみたい。そして、癌と闘う彼の奥さん、リタ・ウィルソンがプロデューサー。最初から最後まで笑いあり、涙あり。

終了後に席を立つ人はなく、拍手する人も。「命を絶つ決心をする前に988に電話」というメッセージが出る。こんな番号があるなんて知らなかった。

 

妻を亡くした男性はナイーブで、女性より現実を受け止めるのが苦手な気がする。一見、健康そうで順調そうな人も、家族の介護中、災害に遭ったとか、それでもみんな生きている、と再認識する。