久々に大学で正規授業を受けている。障害児教育のクラス。

今まで会社員として、IT系やベンチャーキャピタルで同じ路線の仕事をしてきたけれど、一度やめた時に「もっと世の中の役に立つ、違うことをしてみよう」と重度の自閉症児の学校に教師アシスタントをボランティアとして週5日、朝7時半から午後3時半までやってみた。

 

きっかけは、10年くらい前から地元の幼稚園や小学校で、日本人の障害児のボランティア通訳をしていた。正確にいうと、児童達の父兄のためだったが、同じ家族を担当するとお子さんの成長が垣間見え、こちらも嬉しかった。自閉症は早期発見で、成長も変わる。数字や芸術に優れている子がいることは判明しているが、その陰でご家族は24時間、心も体も休まらない。

 

ボランティアをした学校では、13〜15歳のクラスのアシスタント。児童はみんなアメリカ人だったが(ヒスパニック系やアジア系も含む)、一度も言葉を発した事がない、または空想の世界のことを話し続ける、お手洗いに自分で行けない(オムツだったり、手洗いができない)、ほとんどは先生の名前も覚えていない、重度の子ばかり。1ヶ月も通うと、可愛いし、癖がわかって、懐いてくれる。しかし、あるところで感情移入を遮断して、論理的に行動しないと習慣化が最も大切でもある。

 

癇癪が出ると、色鉛筆と紙を持たせる。動物の絵をアルファベット順に次々に描くB君。Doraという漫画が好きで、空を見上げてはDoraに話しかける。ランチを見るとご両親が愛情を注いでいるのが分かる。

 

生まれて1回も話したことがないH君。声は発するけれど、言葉ではない。iPadの自閉症児用に作られたアプリを開いて、私たちと会話する。粘土を触っていると体を揺らしながら気分が良いみたい。とても落ち着いた男の子。 

 

身長が190センチあるR君は、噛み癖と自分の頭を殴る癖がありヘルメットを被っている(これは自閉症に多い行動)。先生もピリピリしながら注力している。

 

何もしない、話さない、座ったままが大好きな女の子。彼女がお手洗いに行くときは、手袋をしないと清潔にできない。週に1回は痙攣を起こす。

 

100問の計算が2分くらいで出来るA君は、宇宙や電車との交信に忙しく、逃走癖がある(どちらも自閉症の典型行動)。学習時間には常に喋っているので毎日注意されるが、なんだか愛らしい。この子だけ私の名前を覚えてくれた。

 

先生と私たちアシスタントは立ったり座ったり、目まぐるしいがやり甲斐があった。クリスマスにはR君の母親から「この学校のお陰でどれだけ助かっているか分かりません。少しずつでも成長しているのが分かります」という暖かいメッセージが。

 

毎日が目からウロコの体験。そして、奥が深い病気でもあることが、見てとれる。みんな症状が違う。みんな個性が違うように。


大学の授業は、眼や聴覚の身体障害の他に脳の障害、逆境に置かれた子供に出る疾患、法律のこと等、幅広い。アメリカで大きく関わったのが、JFKの妹でシュライバー女史。シュワルツネガーの元お姑さん。パラリンピックを創設した人。彼女の心の広さと行動力に、とてもインスパイアされる。